Special Issue

総務省 企業の生産性向上に寄与するテレワーク

2018/02/15 09:00

週刊BCN 2018年02月12日vol.1714掲載

政府の最新動向を紹介

 総務省の渋谷闘志彦・情報流通行政局情報流通高度化推進室室長は、「テレワークの最新動向と今後の政策展開~第1回『テレワーク・デイ』から見えた成果と課題~」をテーマに講演。テレワークの最新動向や課題などについて説明したあと、とくに2017年7月24日に実施した国民運動プロジェクト「テレワーク・デイ」の概要と効果について語った。

渋谷闘志彦
情報流通行政局
情報流通高度化推進室
室長

 渋谷室長は、テレワークは単に在宅勤務のことを指すのではなく、サテライトオフィスやモバイル端末など、「ICTを活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」だと説明。日本全体で取り組むことで、地方創生や一億総活躍社会、働き方改革という、安倍政権が掲げる重要課題につながると話す。

 また、テレワークは、社会、企業、就業者の3方向にメリットをもたらすという。具体的には、社会には労働力人口の確保、企業にとっては、生産性の向上や優秀な人材の確保・離職防止、就業者にとっては、仕事と育児・介護・治療の両立、通勤時間の削減などが挙げられる。企業においては、生産性向上を目的に導入するところが増えており、総務省の「平成28年通信利用動向調査」によると、実際に導入した企業の「一社当たりの労働生産性」は、導入していない企業の1.6倍になることが明らかになっている。

 ただし、テレワークを導入また導入予定としている企業は16.6%。導入済みの企業であっても、利用者数が従業員の5%未満の企業が45.4%にとどまる。テレワークの普及には、「認知不足や企業の意識改革などが課題」であると、渋谷室長は指摘する。

 そこで、政府では16年7月より、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房・内閣府でテレワーク関係府省連絡会議を開催し、テレワーク推進に向けた取り組みの共有や施策の検討・推進などを行っている。渋谷室長は、「テレワークマネージャー派遣事業」「働き方改革セミナーの開催」「テレワークエキスパートの育成」「テレワークセキュリティガイドライン」といった政府の施策や、働き方改革を実践する企業の事例を紹介。

 とくに、代表的な政府主導の取り組みであるテレワーク・デイは、昨年に初めて実施した。当日は、約950団体、6万3000人が参加し、実際に交通混雑の緩和や消費電力の削減といった効果があったという。渋谷室長は、今後も「テレワークの効果を分析し、経営層の意識改革を促進していく」と話した。
  • 1

外部リンク

総務省=http://www.soumu.go.jp/