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Microsoft Dynamics 活用事例/山善(上海)貿易有限公司 導入から3年、新たなITパートナーとともに再活用を開始

2017/12/21 09:00

週刊BCN 2018年02月26日vol.1716掲載

 工作機械から産業用機器、住宅建材、家庭用機器を取り扱う大手専門商社の山善(大阪府本社)は、北米・中国・東南アジアを中心にグローバルに事業を展開する。中国では上海と深セン、香港地区を加えた3つの現地法人を構える。2002年の上海法人の設立以来、中国市場の拡大に伴って各現地法人の業績は右肩上がりの成長を続けてきた。そして14年、中国事業の次なるステージに向けて導入したMicrosoft Dynamics AXとCRM※だったが、当初目指した活用の目的は十分に果たせず3年が経過。あわや負の遺産となる寸前、中国でDynamicsを専門に手がけるシーイーシー上海を新たなパートナーとして業務改善の再チャレンジが始まった。

※ Microsoft Dyanmics AXは、現マイクロフトサービス体系のDynamics 365 for Operations、Dynamics CRMはDynamics 365 for sales に該当します。

課題

平山 奨士
董事 財務総監

 中国では主に日系メーカーの工作機械や産業用機器を商材として幅広く取り扱う専門商社の山善(上海)貿易。機械の据え付けや各種メンテナンスを手がける技術者を自社で豊富に抱え、メーカーさながらの体制で他の商社とは一線を画す存在だ。市場の追い風も受けて順調に業績を伸ばし、14年度には連結売上高が200億円に迫るまでに大きく成長してきた。

 だが、規模拡大の一方で上海、深セン、香港の各事業法人とその傘下の16拠点がそれぞれに個別最適化した業務プロセスを構築。「従来の量を追い求める拡大路線から今後の質を求める安定路線に転じるには業務改革が必要だった」と平山奨士董事 財務総監は振り返る。そこで14年、台湾地区も含む5法人でマイクロソフトの統合ERPパッケージDynamics AXと営業支援をはじめとするDynamics CRMの導入を開始。各法人で運用してきたバラバラのシステムを統合し、中国全体の数値を一元管理することで経営効率の向上を図った。

 しかし、「経営視点の要求と実際に業務でシステムを日常的に使用するスタッフの意向が十分にかみ合っていなかった」(平山董事)ため、現場からは、Dynamics導入後は業務効率が下がったと以前のシステムへの回帰を求める意見もあった。加えて、数多くの部門や拠点が、当時導入を担当したITベンダーに直接要望した機能や仕様がその必要性を十分に吟味されることなく実装された。その結果、機能の部分最適と開発・運用コストの増加に拍車がかかり、当初目指した業務改革を実現するシステムとは言い難いものとなってしまった。

改善

森井 郷
機工部部長

 「実はDynamicsというパッケージ自体に懐疑的になっていた」。そう話す平山董事と森井郷機工部部長らは継続利用を諦めようとすら考えていた。だが、山善(上海)貿易が中国全社を横断する統合システムとして機能すると改めて信じ、Dynamicsの再活用に向けて動き出したのは、シーイーシー上海の存在が大きかったという。「IT専任の情報システム部門を中国現地にもたない弊社にとって、パートナーとして頼りになるITベンダーの存在が欠かせない。導入時の轍を踏まないよう、とにかくDynamicsに精通して、我々に適切な提案をしてくれるパートナーを探していた」と森井部長は述懐する。

 導入自体に直接関わっていないシーイーシー上海が山善(上海)貿易のDynamicsに携わり始めたのは16年。慢性的に遅く、業務に大きく支障をきたしていたレスポンスの調査を皮切りに、当時のDynamicsのパフォーマンスの改善案を提出した。Dynamics AXにない機能だと思い、仕方なくエクセルやCRMで代替していた機能が、「実は本来備わっている標準機能だった」(森井部長)ことも判明したという。

 改善案の一つにユーザーIDの登録がある。従前は新規ユーザーが増えた場合は導入担当のITベンダーに外注し、その都度費用が発生していたが、「現在はシーイーシー上海からマニュアルを提供してもらい、内製によるコスト削減を図れるか検討中」(平山董事)という。この7月からはDynamics AXとCRMの保守サービスをシーイーシー上海に完全に切り替え、新たなパートナーとともにシステム導入時に目指した中国全社の経営情報の一元管理による経営効率の向上を図る。
 

溝道 修司
シーイーシー
上海 総経理

 弊社は日本及び海外での豊富なMicrosoft Dynamicsの導入実績のもと、中国ではMicrosoft Dynamicsに精通した技術者とコンサルタントによる専門集団を組織し、日系企業のグローバル活用を支援しています。海外でのERP導入は、本社主導で日系企業へ営業活動を行い、日本国内、中国、アジア、ヨーロッパ、北米などの導入支援及び保守・サポートを実施しています。新規導入に限らず、保守・サポートからのお取引や個別の機能改善などのご要望も承っています。最近は、日本本社の基幹システムに関わらず、海外拠点におけるコストパフォーマンスの観点からDynamics AXを選択する日系企業が増え、その導入からシステム連携、そしてサポートまで幅広くご相談が寄せられています。

 Microsoft Dynamicsは世界各国の言語から通貨までマルチ対応し、グローバル展開する企業に適しています。一方でユーザーのなかには「自社の業務に合わせて何でもできるように」といったご要望をもつ方々もいますが、その機能とパッケージとして利用するメリットを熟知した立場から、時にはそのご要望にはそのまま応えず、別の課題解決の手段をご提案することがあります。Dynamicsの専門集団として、お客様の業務効率が本質的に改善することがシーイーシー上海の使命だと考えているからです。
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