Special Issue
富士通クラウドテクノロジーズ 法人向けサービスが新ブランド「ニフクラ」へ統合
2017/11/09 09:00
週刊BCN 2017年11月06日vol.1701掲載
富士通クラウドテクノロジーズは事業再編から約半年が経過した10月3日、「ニフティクラウド」を含むすべての法人向けサービスを新ブランド「ニフクラ」に統合すると発表した。提供している各サービスの名称も、11月1日から順次ニフクラの名を冠したサービス名に変更している。新井直樹・営業マーケティング本部パートナー営業部長兼マーケティング部長に直近の動向などを聞いた。
以前からの強みを生かした
新たな価値を提案する
4月1日に行われたニフティの事業再編に伴い、そのエンタープライズ向け事業を継承した富士通クラウドテクノロジーズ。同社の主力事業であるニフクラ(旧ニフティクラウド)は、2010年から提供されているクラウドサービスだ。ニフティ時代からの青色を基調とした新ブランド「ニフクラ」のロゴ
新井直樹
営業マーケティング本部
パートナー営業部長
兼マーケティング部長
新たなブランド名「ニフクラ」は、以前から関係者およびユーザーに親しまれてきたニフティクラウドの略称であり、かつ「Navigate Innovative Future」という新たな意味を込めたものだ。ここにも、これまでの実績を継承しつつ新たな価値を盛り込もうとする意図が感じられる。
富士通との関係をさらに強化
VMwareパートナーアワードも受賞
最近のトピックとしては、富士通がニフクラのサービスをOEM採用し、「FUJITSU Cloud Service K5 NC」として9月28日に提供を開始したことが挙げられる。「K5 NCは富士通自身のサービスとして提供されるため、サポートも富士通が行うほか、K5の他のサービスとも組み合わせてご利用いただけるようになる」と新井部長は説明する。
一方、富士通クラウドテクノロジーズでも、富士通のAI技術体系である「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」をもとにしたディープラーニング基盤をクラウドサービスとして4月から提供するなど、それぞれの技術を相互に活用している。こういった関係は今後も強めていく方針だという。
ニフクラおよびOEMのK5 NCの技術基盤はともにVMwareがベースである。富士通クラウドテクノロジーズは、5月に発表された「2016 VMware Global Partner Innovation Award」において、16年の業績が認められクラウドプロバイダとして「VMware Regional Cloud Provider of the Year」を受賞した。
VMwareのテクノロジーを用いたクラウドであることは、ニフクラのポイントの一つだ。これについて、「オンプレミス環境でVMwareによる仮想化基盤を使っている企業は多いため、その環境をクラウド化する際にも活用していただけると考えている」と新井部長は話す。さらに、「当社は、Zinraiのクラウドサービスなども含め、国内クラウドプロバイダとしてはサービスラインアップが豊富で、今後もサービス拡充に力を入れていく方針だ。ニフクラは、運用負担やコストの低減といった『守り』の手段として有効だが、ぜひ『攻め』の手段としても活用していただきたい」と続ける。
国産クラウドとして、日本のユーザーを意識した販売施策も用意している。例えば公的機関などによくみられる年間予算で購入を希望するユーザーに対しては、「ニフクラクレジット」という販売形態がある。利用料金をプリペイド方式で有効期限1年の利用権として最初に一括で支払っておき、利用した分の料金をそのクレジットから引いていく使い方だ。もちろん、クレジットが不足しそうな場合には追加チャージも可能だ。
「ニフクラクレジットはパートナー経由での販売だが、売れ行きは16年度に前年度比10倍を記録し、17年度にはさらに伸びる見通しだ。パートナーの皆様にとっても、見積もりが簡単になるなどメリットのある販売形態だ」と新井部長は説明する。
パートナーとの関係を強化
認定技術者などの支援策も
パートナーとの関係強化を図る施策も、ニフティ時代から引き続き積極的に展開している。ニフクラのパートナー制度は11年から実施されているが、現在では200以上のパートナーの活動を支援している。さらに、16年9月にはトレーニングプログラムとしてニフクラ認定技術者制度を開始し、認定者は約半年で200人ほどに達したという。ニフクラ認定技術者制度は引き続き増やしていく計画であり、例えば認定技術者が多く所属するパートナーに対しては同社のインフラを利用する料金を優遇するなど、さまざまな施策を考えている。
「当社ではパートナー経由の販売が7割にも及んでおり、その存在は非常に重要だ。クラウドインフラの提供だけでは意味がなく、さまざまなアプリケーションや新領域のAIなど、パートナーそれぞれの付加価値があってこそ、ユーザーの業務課題を解消することができる。多方面に得意分野をもつ新たなパートナーを引き続き増やしていきたいと考えている」と新井部長は明言する。
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