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<働き方改革特集>シスコシステムズ 将来のシステム自動運転によってIT運用管理者の働き方を改革「Cisco Intersight」

2017/11/02 09:00

週刊BCN 2017年10月30日vol.1700掲載

システム状態を把握・分析し、自動的に設定、システムを保護する仕組みで
ITサービスの効率化、提供時間、ユーザー満足度の向上に貢献


 クラウド利用が拡大し、働き方改革やデジタルビジネスの取り組みも進むなかで、それらを支えるITインフラ管理が複雑さを増している。分散したインフラの管理は、管理者の大きな負担となり、ITサービスの低下も招きかねない。シスコシステムズが発表したクラウドホスト型管理プラットフォーム「Cisco Intersight」は、運用に関わるシステム状態の把握、トラブル予兆検知、より最適な対応策を提示、設定、運用の自動化、プロアクティブな保守サービスとの連携を強化することで管理者の業務を効率的、ITサービスの向上に貢献する。

世界中に分散するシステムに、
一元的な管理プラットフォームを提供

 企業のシステム管理がますます複雑化している。パブリッククラウドをはじめとするさまざまなクラウド環境の利用が広がり、マルチクラウド化が進んでいる。また、事業部門主導によるデジタルビジネスの取り組みも進み、働き方改革やIoTへの取り組みから、多様なモバイルデバイスや膨大なエッジ機器の導入が急増している。

 このように企業インフラが分散する一方で、24時間無停止のサービス提供も一般的になりつつある。システム管理者の負担は、以前にも増して高まるばかりだ。
 

石田浩之
データセンター
バーチャライゼーション事業担当
部長

 データセンター/バーチャライゼーション事業を担当する石田浩之部長は、「ITインフラの稼働環境はより肥大化・複雑化が進んでいるが、一方で運用管理にかけられる人員とコストはむしろ削減されているというのが現状」と説明したうえで、「本業で競争優位に立つために加速しているデジタル化によって、ますますITインフラ全体がミッションクリティカル性を増し、メンテナンスウィンドウを狭めている。こうした時代のシステム管理機能には、できるだけ簡素化し属人的な管理を排除するため運用を自動化していくとともに、スケーラビリティや高可用性を備えることが求められている。その課題を解決するために提供を開始するのが、クラウドホスト型管理プラットフォーム『Cisco Intersight』だ」と、システム管理の課題を指摘する。

 シスコシステムズが9月26日に発表したCisco Intersightは、ワイヤレス、ネットワーク機器管理のクラウドサービス「Cisco Meraki」の考え方をデータセンター環境に展開した管理方法だ。同社のサーバー「Cisco UCS」とハイパーコンバージドインフラ(HCI)「Cisco HyperFlex」を、クラウドで一元管理できる。

 UCSやHyperFlexはもともと、シンプルなマネジメントの提供に定評があったが、Cisco Intersightはさらにマネジメントをシンプルで直感的に行えるようにしている。Cisco Intersightはシスコのデータセンターで稼働し、ユーザー、パートナーが自分の管理対象とする機器を登録することで、対象範囲の構成情報、稼働情報を収集。ユーザーはCisco Intersightのダッシュボードから、オンプレミスデータセンター、プライベートクラウド、エッジコンピューティングなど複数個所に存在するUCS、HyperFlexを効率的に管理できる。また、システム認定情報と照らし合わせて、適切なファームウエア、ドライバなどのバージョンを推奨する。さらに、運用に関するデータおよび、世界中の障害情報などの機械学習をもとにトラブルの予兆検知や解決策を提示し、その対応処理実行の自動化まで行うようになる。
 

 「世界中に分散する数多くのサーバーを、クラウドで一元管理できるようにしたサービスは、業界唯一のものと自負している。システムに関わるインシデントの半数は人が原因とされる。Cisco Intersightで、従来はベテラン管理者のノウハウに依存していた属人的なインフラの運用管理をクラウドによる一元管理とAI連携で大きく変えることができる。まさに、新しい時代の運用管理を提供するサービスだ」と石田部長は力を込める。

ITサービス向上や
人的資源の再配置も可能に

中村 智
APJ データセンター
バーチャライゼーション
シニアプロダクトマネージャ

 新サービスは、ダッシュボード、遠隔情報の収集、インベントリ管理などの機能が利用できる無償メニュー「Base」エディションと、基本アナリティクス、モニタリング、オペレーションなどの機能を加えた「Essential」の提供を11月に開始予定。2018年度以降に、オーケストレーションのプロビジョニング自動化などを加えた「Standard」と、より高度な分析、最適化、オーケストレーション機能を加えた「Advantage」の提供を開始予定だ。

 Cisco Intersightが実現するのは、単なる運用の省力化や管理者の負担軽減だけではないと中村智・APJデータセンター/バーチャライゼーション シニアプロダクトマネージャは強調。「プロビジョニングや高度な分析をAIで行うことで、革新的なITインフラの運用・構築が可能になる。目指すのは省力化の先、つまり、ITサービスにおけるアジリティ向上やシステムの力を借りた人的資源の最適化を可能にすることだ。IT部門の限られた人的資源を新サービスの開発に振り向けるなど、攻めの投資に役立てることに本質がある」という。

 「Cisco Intersightはマルチテナントに対応しているので、パートナーがユーザーの運用を代行することも可能だ。サブスクリプションモデルでのサービス提供のため継続的なビジネスが期待でき、顧客とのつながりを通じて次のビジネスチャンスにつなげていくことが可能だ。このサービスを通じてパートナーの方々とともに新しいビジネスモデルを確立し、拡大していきたい」と石田部長は展望を語る。
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外部リンク

シスコシステムズ=https://www.cisco.com/c/ja_jp/