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クエスト・ソフトウェア、米本社の幹部が新事業展開とパートナー戦略を語る

2017/10/31 15:00

 クエスト・ソフトウェア(クエスト)は、2016年11月にDellから分離して再び独立したソフトウェアベンダーとなった。新生クエストは、どのような方針で日本市場の開拓を進めていくのか。製品・サービス展開とパートナー戦略について、このほど来日した米本社のPresident & General Managerでデータプロテクション部門を統括するロニー・ウィルソン氏に聞いた。

世界2位の日本市場に積極的に投資する

米クエスト・ソフトウェア
President & General Manager
Data Protection &
Endpoint Management
ロニー・ウィルソン氏

 「クエストは、30年近くの歴史をもち、世界的に認められたソフトウェアのブランド。われわれのビジョンは、複雑な問題をシンプルなソリューションで解決することだ。そのために、すぐれた製品、すぐれたサービスを大切にして、簡単な取引を目指している」とウィルソン氏。

 クエストは、データ保護、エンドポイント管理(KACE)、データベース管理、マイクロソフトプラットフォーム管理など、さまざまなソリューションをラインアップする。今後、注力していくソリューションやマーケットについては、クラウド時代のニーズに対応していくとともに、各ソリューションを組み合わせてベストなものを提供することだ。また、グローバル規模のシステム管理やセキュリティソリューションを提供するため、AI技術の活用も進めるという。

 「現段階では、当社の顧客はオンプレミスが9割を占めるが、今後はクラウドの顧客を大きく伸ばすつもりだ。当然、オンプレミスとクラウドの双方に対応し、ハイブリッド環境もしっかりとカバーする。それをセキュアな環境で提供できるようにするためにも、さらにソリューションを拡大していく」とウィルソン氏はアピールする。

 現在、日本におけるクエストのビジネス比率で最も多く占めるのがデータ保護。主力製品の「NetVault Backup」は、日本市場でも高く評価されている。グローバルビジネスを展開するクエストにとって日本市場の位置づけは、「ドイツ、英国、北米と並ぶ重要なマーケットの一つであり、データ保護では世界2位の市場。積極的に投資していく」とウィルソン氏は力を込める。ビジネスの拡大にはパートナーとの戦略的な協業が重要であり、ともに市場開拓に取り組む方針だ。

 「われわれは、東芝、NEC、富士通、日立など、日本の大手ハードベンダーと長年にわたってパートナーシップを築いてきた。パートナーとは、これまでも時間をかけて信頼関係を積み上げることを重視してきた。ハイクオリティな製品を求める日本の顧客に向けて、優れた製品とサービスを提供していくためにも、パートナーと密に連携していく」との方針を示す。

 パートナープログラムも、時代に合わせて常に進化させており、パートナーにとって価値あるものを提供するとともに、フレンドリーであることを大切にしている。「クエストのソリューションをスムーズに展開できるようできるだけの支援をしたい」としている。

オンプレ、クラウド、ハイブリッド環境でDCの全体像の把握

 クラウドやアプラインスの普及で、データ保護市場も変化している。

 ウィルソン氏は、「現在、かつてないほどデータの重要性が増している。一方、クラウドベースのデータ保護が大きく成長しており、SD(ソフトウェア・ディファインド)がキーになるだろう。クエストのデータ保護技術は、アプライアンスベースのソリューションと、クラウドへの移行を支援する革新的なクラウド接続ソリューションを通じて、データ保護に最適なソリューションを実現できる」と強調する。

 「DR as a Service」などのクラウドサービスなどについても、すでに、ポートフォリオに載せているが、「日本市場では当社が直接、提供するのではなく、例えば、クラウドベンダーと組んで提供する。すでに、具体的なサービスに向けた話し合いを進めている」という。

 データ保護のもう一つの柱がDRアプライアンスだ。買収したOcarinaのすぐれた重複排除技術は、世界中のユーザーに評価されて数多くの採用実績がある。

 クエストの強みの一つは、1998年から20年近くにわたって日本のユーザーに製品を提供し、マーケットへのアクセスの仕方を知っていること。取り扱うパートナーも多く、もちろん日本語によるサポートを提供している。その豊富な実績が強みで他社との差異化になっている。

 ウィルソン氏は、「技術的な優位性もある。このほど発表した新ソリューションの『Quest VROOM』(国内未販売)は、オンプレ、クラウド、ハイブリッド、すべての環境でデータセンター(DC)の全体像の把握を可能にする。われわれのデータ保護技術と仮想インフラの管理技術を組み合わせることで、ユーザーはDC環境をさらに進化させることができる。VROOMは、クラウドベースのモデリングにより、クラウドへの移行を容易にし、最高レベルのデータ保護、レプリケーションを実現できる」としている。

 またKACEについては、「KACE Systems Management Appliance(SMA)」に加えて、昨年、資産管理アプライアンス(AMA)(国内未販売)を導入した。KACEビジネスは、世界的に27%という高い成長を遂げている。管理対象もPC、タブレット端末、スマートフォンまで、さまざまなデバイスをカバーできるようになる。

 ウィルソン氏は、「ユーザーもエンタープライズだけでなく、SMBまで幅広い。分野的には、教育、ヘルスケアに強いが、さらに電力、スキャナなど、IoT分野をカバーし、かつセキュアな環境を提供していく。そのための新しいテクノロジーを開発していく」と語る。

 最後に日本のユーザーへのメッセージについて、「結び付けること、パートナーとお客様をしっかりケアすること、そして、トランスペアレント(透明性)を提供していく」という三つの方針を示した。
 

代表取締役社長
瀧口昭彦氏

 日本法人の瀧口昭彦社長も、「クエストは、世界各国でそれぞれにベストプラクティスをもつ。そのノウハウを、日本のお客様にパートナーと一緒になって提供していく」とアピールしている。


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外部リンク

クエスト・ソフトウェア=https://www.quest.com/jp-ja/

データ保護=https://www.quest.com/jp-ja/solutions/data-protection/

KACE製品=https://www.quest.com/jp-ja/kace/