Special Issue

ジャストシステム創業者の浮川夫妻(現MetaMoJi)が、「働き方改革」に物申す

2017/09/21 11:30

キーボードが苦手な顧客をもつ会社に導入を加速

――谷畑 改めて、手書き日本語入力ソフト「mazec」とはどんなソフトでしょう。

浮川和宣社長 小さなキーボードをポチポチ押す入力から、画面に指やスタイラスペンで書いた内容を認識し、テキストに変換できる。字が下手でも大丈夫。字のクセや選んだ変換候補を学習するので、ユーザー好みに育ちます。実際に、mazecを使って漢字変換などのデモをすると、みなさんが異口同音に「これなら使える」との感想が出てくる。漢字が苦手な若者でも、SNSなどに投稿する際に、簡単に使える。
 

ATOKはいまでも使っているが、「Microsoft Officeは使っていない」という浮川和宣社長

――谷畑 他社でも、手書き入力ができるソフトは出しています。それとの違いは。

浮川和宣社長 極論すると、他の製品は、指やスタイラスペンで曲線を書こうと画面をなぞると、ギザギザなものしか書けない。しかし、当社のmazecは、そんな状況でも、しっかり書ける。ATOKで経験していますが、予測変換などもリアルタイムにできる。これらは、凄い技術なんですよ。文字認識は世界中を調べた。世の中に出したことのないコア技術を、東京農工大学で研究していた。それをiPadに乗せて使えるソフトにして、周辺ソフトを開発した。

 当社で開発したのは、「交ぜ書き変換」という部分。例えば、「へんかん」の「変」はわかっていても、「換」がわからない場合、「変かん」と入力すれば、「変換」と変換してくれる。キーボード入力が苦手で、ノートPCを使えない、あるいは、業務内容でノートPCが使えない、という場所に制限のある「現場」向けにmazecが使える。

――谷畑 余談ですが、浮川社長は、PCでジャストシステムの「ATOK」を使っているか。
 
浮川和宣社長 もちろん。「Microsoft Office」は使っていないですが(笑)。

――谷畑 mazecは、出した当初から売れたのか。

浮川和宣社長 最初は、個人向けですが、2011年にmazecを搭載した「7notes for iPad」を出し、どんどん売れた。ですが、当初から、「法人向け製品も必要」とアピールしていた。私は、必ず法人向けの製品がメインだと確信していた。

――谷畑 いまでは、法人版として「mazec for Business」を出しています。実際、どんな会社が導入しているのか。

浮川和宣社長 料理教室を展開するABC Cooking Studioからは、発表後すぐに問い合わせをもらい、導入してもらった。同社は、さまざまなコースを受講する前に、紙に住所などを入力させていた。その情報をもとに、その人にあった料理のコースを勧めていた。その情報をすぐにコンピュータに入れないと、すぐに的確なコースを即答することができなかった。その前は、キーボードをお客さんに渡し、情報を入力してもらっていた。専業主婦になると、キーボードが苦手。ABC Cookingは、なるべく紙と鉛筆のテイストで入力できるようにしたいと、検討していたところに、当社のmazecが出た。同じく接客業として、スーツ販売のはるやま商事にも導入してもらった。お客さんが欲しいサイズや形のスーツの在庫を探す際、バックヤードのPCを叩いて、状況を調べていた。だが、その間に、お客さんがいなくなるケースが多々あった。

――谷畑 いまでは、mazecが建設現場に多く入っているようだが。

浮川初子専務 大林組は、図面などを現場でチェックするために、iPadを数千台、一斉に導入した。だが、それでも悩んでいた。いまは、建設業向けの「建設mazec」というブランドで提供しているが、同社は早期に導入を決めてくれた。
 

浮川和宣社長に遠慮しながらも、大事な部分では横やりを入れ、詳しく説明してくれる浮川初子専務

 なぜ、mazecを同社が導入したかというと、土木現場にPCを持ち込めなかったことが理由で、iPadを入れた。ただ、立ち仕事であり、iPadのキーボードでの入力は無理があったようだ。片手で素早く操作できるようにしたかったという。大林組の事例を見て、浮川社長は「PCの入っていない現場に、当社の製品は入るんだ」と、確信した。いままで、PCでできなかったことを、当社は補っていくという方向性を見い出した。

浮川和宣社長 iPadで「Microsoft Office」が使えるので、すべてのユーザーがそれで満足ならば、当社にビジネスチャンスはない。建設現場やスーツを販売している現場は、待ったなしだ。この待ったなしをどう補うかを考えた。Microsoft Officeは、必ずしもリアルタイム処理でない、バッチ処理で、オフィス内のデスクワークで使うようにつくられていて、現場用ではない。

 MetaMoJiの浮川和宣社長は、9月22日(金)に大阪の梅田スカイビル スペース36で開催する「BCN Conference 2017 in OSAKA」(主催:BCN)で、「タブレットが開く新しいITビジネス」と題し講演する。
聴講希望者は、以下のリンク先からお申し込みください。
https://reg26.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=nc-nfogl-c98332aba68c99fe4dfbda5b14502749

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外部リンク

MetaMoJi=http://metamoji.com/jp/