Special Issue
日本HP 企業の生産性を高める「Office of The Future」資産の遊休リソースを使いきる“現実的IoT”でスマートオフィス化
2017/09/14 09:00
週刊BCN 2017年09月11日vol.1693掲載
新サービスやビジネスは
大都市で生まれる
九嶋執行役員は講演の冒頭、HPがメガトレンドからみえる将来の姿を次のように予測していると説明した。九嶋俊一
執行役員
パーソナルシステムズ事業本部長
兼サービス・ソリューション
事業本部長
九嶋執行役員は、「現在、10万円で買えるCPUリソースはネズミの脳レベルだが、2050年にはほぼ全人類の脳と同じになる。それだけテクノロジーが進化すると何が起こるかまったく予測できない」という。
「都市化」で注目すべきは、新サービスやビジネスは大都市で生まれる点。Airbnbなどのシェアリングエコノミーも、食品や日用品の即日宅配といったコンビニエンスエコノミーも、大都市だからこそ生まれた。また、「グローバル化」では世界を相互接続するデジタルプラットフォームによって、小さな企業でも短期間でグローバル化し、全世界で事業展開ができるようになっている。
「実際、わずか数年で世界のメジャーにまで急成長した企業がいくつも誕生している。かつてS&P 500は平均35年で入れ替わっていたが、今やそのサイクルは半分だ。既存の企業からすると、いつどこから敵が現れるかわからない状況になっている」と説明する。
注目すべきはセンサ
スマートフォンがコアになる
HPでは、このメガトレンドに対応すべく、製造の変革(3D/4D)、体験の変革(AR/VRなどのユーザーエクスペリエンス)、ビジネスの変革(ハイパーモビリティ)、サービスの変革(IoT)、労働の変革(スマートマシン)という五つの技術分野に投資している。とくに、IoTについて九嶋執行役員は「注目すべきはセンサ」と強調する。加えて、「IT化が進んで一人が多くのデバイスに囲まれるようになり、コンピュータはどんどんみえなくなっていくが、センサは確実に広がっていく。そのセンサを使って空間の状態を見極め、それぞれに適切なサービスを提供していくのが、『スマートxx』の本質。これを、当社はオフィスで展開していく」としている。
現状でも、オフィスに存在する電子機器内には多くのセンサが存在しているが、機器外での利用は考慮されていない。そこで、HPはスマートフォンをコアとして、電子機器のセンサから取得したデータを活用し、オフィスで働く人に向けた適切なサービスを実現するための取り組みを進めている。
また、仕事を取り巻く環境の変化を、労働力(Workforce)、仕事場(Workplace)、働き方(WorkStyle)から捉えている。労働力では、デジタルネイティブとITデバイスでコラボレーションできる世代が増加。仕事場では、世界の労働者の62%が複数の場所で働き、オープンスペースが増える一方で、セキュリティのぜい弱性が新たな課題となっている。働き方では、クラウドでいつでもどこでも情報にアクセスしてコラボできるため、仕事、生活、遊びの境が非常にあいまいになっている。
こうした仕事環境の変化をテクノロジーとして支えるため、HPは仕事の効率を上げるデバイス、カスタマイズできるワークスペース、共働をサポートする会議スペース、よりスマートなオフィス、社外でもシームレスに働けるインフラの提供を始めている。
ワークスペースにおいては、オープンな空間でワーカーの集中を支援するテクノロジーとして、クリアな音によるビデオ会議、周囲の視線を遮断する曲面ディスプレイ、空間を創造するマウントディスプレイを紹介した。
会議スペースでは、ボタン一つで臨場感のあるビデオ会議にすばやく参加できる仕組みを紹介、限られた時間を無駄にせず参加者の理解を深められる。スマートオフィスに貢献するサービスでは、スマートフォンをHUBとして、PCやプリンタなどをオフィスで運用する際の識別IDやセンサとして活用するソリューションの開発を進めている。スマートフォンアプリ「HP WorkWise」を使えば、PCの状態を監視したり、スマートフォンとの距離情報をもとにロック/アンロックし、PCの盗難やデータ漏えいを防止できる。
九嶋執行役員は、「さらに、会議室ソリューションと連動させれば、予約時間にメンバーが集まらず、会議室が使用されなかった時に、会議室を必要とする他のグループに開放するなどのソリューションを考えている。このようにスマートフォンをIDとして、センサとして、HUBとして活用することで、オフィスのリソースをより有効活用できるようになる」とした。
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