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新世代サーバー製品の発表会で「モダンデータセンターのあるべき姿」をテーマにパネルディスカッション

2017/08/29 08:00

 Dell EMCは7月14日、東京・日本橋のマンダリンオリエンタルホテル東京で、販売パートナーとユーザー企業を対象にDell EMCの新世代サーバーを紹介するイベントを開催した。第14世代Dell EMC PowerEdgeサーバーのお披露目とともに、松本光吉・執行役員副社長インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括がモデレータを務め、インテル、日本マイクロソフト、ヴイエムウェアからゲストを招いて「モダンデータセンターのあるべき姿」をテーマにパネルディスカッションを行った。

次世代DCの実現に向けた各社のソリューション

 イベントの大きな目玉が、最新のテクノロジーを結集したDell EMCの第14世代PowerEdgeサーバーのお披露目。この日、ヴェールを脱いだばかりの第14世代PowerEdgeサーバーは、最新のインテル® Xeon® プロセッサー・スケーラブル・ファミリーを搭載し、動的なビジネスニーズに応える「拡張性の高いビジネスアーキテクチャ」、持続と成長を実現する「インテリジェントな自動化」、顧客および自社を守る「統合されたセキュリティ」を特長としている。PowerEdge R940、R740xd、R740、R640、C6420の5モデルの出荷が既に開始されている。

 展示会場では、多くの人だかりができ、各製品の担当者にさまざまな質問を寄せていた。

最新テクノロジーを結集した第14世代Dell EMC PowerEdgeサーバー

 パネルディスカッションでは、まず各パネリストが自己紹介を兼ねて自社ソリューションを紹介した。

 インテルの土岐英秋・執行役員技術本部本部長は、企業がもつ多くのデータを一極ですべて処理するのは困難。各レイヤでソフトウェア・デファインド(SDx)によって最適化して使用する環境が必要とした。また、インテルが開発中の次世代不揮発性メモリの3D XPointについて触れ、今後同技術の採用により、システムの大幅な高速化が進むとアピールした。

 日本マイクロソフトの梅田成二・執行役員コンシューマー&デバイス事業本部デバイスパートナー営業統括本部長は、エッジデバイス、AI、クラウドおよびデバイスのインテリジェント化で大きな変化が起きているとして、ヘッドマウントディスプレイ方式のホログラフィックコンピュータ「Microsoft HoloLens」を活用例を交えて紹介。また、次世代を支えるDCのインフラ技術にはソフトとハードの協調が不可欠であり、実際に、マイクロソフトとDell EMCの技術者が常に20ほどのテーマで共同開発をしているとした。

 ヴイエムウェアの小林泰子・ソリューションビジネス本部本部長は、次世代DCに向けたビジョンとして、DCのモダナイゼーション、パブリッククラウドとの連携、デジタルワークスペースの実現、セキュリティの変革を挙げた。そしてすべてのデータセンターリソースを仮想化し、ソフトウェアで自動的、自律的に制御できるSoftware-Defined Data Center(SDDC)を実現していくとアピールした。
 

(写真左から)Dell EMCの松本光吉副社長、インテルの土岐英秋執行役員、
日本マイクロソフトの梅田成二執行役員、ヴイエムウェアの小林泰子本部長

仮想化機能を活用して柔軟かつセキュアなモダンDCを実現

 続いて、松本副社長が「今は、各レイヤでコンフィグレーションとテクノロジーのバリエーションが増えている。だが、最終的には品質保証と運用サポートが重要なので、次世代のことも考え、ベンダーがきっちり検証したものを出さないとならない。それをどう考えるか」と問いかけた。

 インテルの土岐執行役員は、「CPUのアーキテクチャ構造も似ていて、その時代に合ったコンフィグレーションをシミュレーションで探している。今、それがDC内でも起こっている」と語り、その一つとしてインテルのFPGAソリューションを紹介。「ハードウェアアクセラレーション部分まで、ソフトウェアで変更できる。ハードは1種類で今まで以上に、使い方に合わせたコンフィグレーションに対応できるようになる」とした。

 「ネットワークの仮想化については」という松本副社長の問いに、ヴイエムウェアの小林本部長は、「ネットワークを仮想化する『NSX』なら、サーバー側でネットワークの部分までカバーできてしまう。ハイパーバイザー内で完結できるようになるので、高価なスイッチが不要。コストメリットが大きく、迅速かつセキュアな環境が提供できる。それがモダンDCであり、DCの形を変えると考えている」と語った。

 松本副社長は、「IPでドローンを制御するような時代だが、セキュリティ面はどうか」という問いに日本マイクロソフト梅田執行役員は、「最近も、WannaCry(ワナクライ)の脅威があった。こうした標的型攻撃はDCで止める水際対策が一番だが、巧妙化する中で完全な対策は難しい。そこでクライアント対策が欠かせない。Windows10からはテレメトリ(遠隔情報収集)のシステムが動いているので、振る舞いをモニタして検知できる。それだけインテリジェントになっている」とした。

 小林本部長も、「当社のソリューションでは、VDI化してその環境を1デスクトップごとにファイヤーウォールを設定(マイクロセグメンテーション)することができる。これにより、たとえ一台が感染しても、次々に隣の端末に感染が拡大するのを防止できる。この機能はDCにも応用できるので、各ユーザーのサーバーで設定すれば、専用ファイヤーウォールを購入せずにソフトでの対策が可能だ」と語った。

 また、松本副社長は「ディスクのフラッシュ化が進んでいる。当社の数字でも四半期ごとに倍の伸びで、価格もクロスすると磁気ディスクを購入する動機が無くなる。メモリとディスクの境界もなくなるのでは」と問いかけた。

 その問いに対して、土岐執行役員は「現状は、フラッシュの供給が逼迫しているが来年には供給は追い付くだろう。当社でも中国・大連の工場が稼働するので、価格も安定してくる。ITインフラのフラッシュ化も大きく加速するだろう」と展望を語った。

 松本副社長による「ほかに気になるテーマは」との問いに、梅田執行役員は「今は、グローバル企業が世界展開をいかに早くするかという目的にクラウドを活用するケースが多い。だが、どこにでもDCがあるわけではないので、レイテンシーが問題になることがある。そうしたカバレッジが薄い部分はオンプレサーバーを置き、ソフトウェアデファインド化した環境でパブリッククラウドのシステムと統合するようになっている」と説明した。

 パネルディスカッションの最後は、Airbnbがレガシーな南京錠をスマートキーに生まれ変わらせ最新ビジネスに活用している事例の写真と共に、「レガシーなハードウェアもモダンなソフトウェアにより活かされる」としてパネルディスカッションを締めくくった。

 第14世代PowerEdgeサーバーの新製品お披露目イベントでは、その他にも種々セッションが行われ、会場は、セッション、パーティー含め満員で、また、第14世代PowerEdgeサーバ製品のコンセプトである「モダンデータセンターの岩盤(Bedrock)」をイメージさせる岩盤に模したテーブルの上に、インテル® Xeon® プロセッサー・スケーラブル・ファミリーを搭載した第14世代PowerEdgeサーバーの実機が複数展示されるなど、イベントの演出にも同社のこだわりと勢いが感じられた。
 

会場で第14世代PowerEdgeサーバーを披露
 
第14世代PowerEdgeサーバ製品カタログはこちら>> http://ja.community.dell.com/techcenter/m/mediagallery/3804/
お見積りはこちら>> http://www.dell.com/jp/business/p/poweredge-rack-servers




最新のインテル® Xeon® プロセッサー・ スケーラブル・ファミリーは、新しいエンタープライズ・アプリケーション、科学技術計算、通信、ストレージ、クラウド、ビッグデータ分析など、さまざまな用途に、性能、電力効率、仮想化、セキュリティーの面で大きなメリットを提供し、IT部門の課題解決を支援します。Intel、インテル、Intelロゴ、Xeon、Xeon Insideは、アメリカ合衆国および/またはその他の国におけるIntel Corporation またはその子会社の商標です。
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外部リンク

Dell EMC=https://www.dellemc.com/ja-jp

インテル=https://www.intel.co.jp/

日本マイクロソフト=https://www.microsoft.com/ja-jp/

ヴイエムウェア=https://www.vmware.com/jp