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<畔上編集長が今、いちばん気になるインフラ運用>連載 第11回 徹底分析 ネットワールドは開拓者だ! プリインテグレーションセンターが需要増加に対応するべく大幅拡張へ
2017/08/03 09:00
週刊BCN 2017年07月31日vol.1688掲載
できるエンジニアは
PICを使いこなす
納品先でのスピーディな作業は、ユーザー企業の好感度に直結する。1秒たりとも無駄にしない動き。できるエンジニアを演出するには、納品作業が絶好の見せ場となる。そこで欠かせないのが、事前の準備である。納品までに可能な限りの設定をしておけば、納品現場での作業がスムーズになる。また、設定の手順を一度経験しておくことで、本番を迎えるにあたっての心の余裕がもてるようになる。ネットワールドが提供している「プリインテグレーションセンター(PIC)」は、こうしたニーズに応える検証や準備のための施設である。
黒川拓生
執行役員
マーケティング本部
本部長
PICでは、サーバーの組み立てから設定までの作業ができる。VPN(仮想専用線)に対応しているため、時間のかかる設定の場合、リモートで作業を進めることもできる。PICに出向く必要はない。また、バーチャルドメインにより、インターネット回線越しでも、セキュアに作業を進めることが可能になっている。
しかも、PICの利用は無料である。「パートナー企業も、多くは社内に事前設定のための作業スペースをもっているが、有償で部門の負担となることが多い。PICは当社から購入した製品であれば、無償で利用できる」と、佐々木久泰・マーケティング本部インフラマーケティング部部長は、より多くのパートナーやユーザー企業が活用することを望んでいる。
8月にリニューアルオープン
PICのスペースが3倍強に!
現在では順番待ちになるほど人気のPICだが、当初はこれほどの需要があるとは考えられていなかった。「利用数が増えてきたのは、2年ほどまえから。最初は年度末ゆえの需要増だと思っていたが、切れることなく、利用され続けている。現在も予約でいっぱい」と、黒川執行役員は、うれしい悲鳴をあげている。佐々木久泰
マーケティング本部
インフラマーケティング部
部長
常に予約でいっぱいという人気ぶりから、ネットワールドは増床を決断。設備を拡張し、8月にリニューアルオープンする。「サーバーなどの設定では、机上で行う作業もある。その机のスペースも不足していた」と佐々木部長。パートナーからも、増床の要望がたくさんあった。
リニューアルによって、PICの床面積は3倍強に。サーバーラックを12本追加し、合計24本と倍増。机上での作業をこなすためのスペースも確保した。
HCIのビルドに加え
働き方改革で注目のVDIも
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)が、オンプレミス環境を望む企業で支持が広がっている。パブリッククラウドでスモールスタートしたシステムが成長し、HCIに切り替えるというのも、グローバルのトレンドになりつつある。HCIは扱いやすさが大きなメリットの一つだが、高い処理能力を生かし、多くの業務システムを集約するとなると、相応の作業が必要となる。納品先で時間をかけて作業するよりも、冒頭で説明したように、スマートに作業をこなしたいものだ。また、HCIは各メーカーの注力分野ということもあり、進化のスピードが速い。技術をキャッチアップし、最適な環境設定で納品するには、PICの活用が不可欠となる。
「PICは、パートナー企業だけでなく、ユーザー企業も利用できる。事前にサーバー環境をユーザー自身が確認し、出荷することも想定している」と、黒川執行役員はPICの役割を説明する。
HCIが注目される背景の一つとして、デスクトップ仮想化(VDI)の普及があげられる。VDIは、在宅勤務やリモートオフィスなど、場所を選ばない仕事環境を提供するため、働き方改革の本丸として導入が進んでいる。ところが、多くのユーザーが同時に利用するVDI環境は、最適なハードウェアの選択と設定をしなければ、十分なレスポンスが得られない。トラブルを避けるためにも、事前に本番と同等の環境でテストをしておきたいところだ。
PICでは、VDI環境を検証するための「PIC de PoC」環境を用意。業界標準とされるツールの「Login VSI」を使用し、ブートやログイン、アプリケーションの利用などについて検証できるようになっている。
「VDIをユーザー企業に説明するためのブリーフィングセンターとしての役割も想定している。想定されるユーザー数で快適に稼働することなどについて、実機を用いながら説明できる環境が整っている」と、黒川執行役員。HCIだけでなく、複数社のサーバーやストレージも扱っているため、ユーザー企業の多様なニーズに応えられるようになっている。
IBMのHPCを常設
リニューアルオープンするPICでは、IBMのHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)サーバー「IBM Power System S822LC for High Performance Computing」(通称“Minsky”)を常設している。「Minskyは、ミニスパコンと呼べるほどの高いパフォーマンス性能を誇る。ディープラーニングなどの高負荷な処理に最適なサーバー製品ということも、注目されるポイントとなっている。まずは検証してみたいというパートナーに開放していく」と、佐々木部長はリニューアルオープンの目玉企画としてアピールしていく考えだ。
PICは都心にあるため、アクセスしやすい。工具も揃っているので、作業に訪れる際にも軽装備で済む。現場での作業をスマートにこなすには、なんといってもPICというわけである。
働き方改革ブリーフィングセンターを新設
「働き方改革」のテーマのもと、最新のデバイスや機器を配備したブリーフィングセンターも新設する。コラボレーションツールの展示だけではなく、「働き方改革」をテーマに2時間余りのVDIのデモツアーおよび最新機器体験コーナーを用意している。編集長の眼
ハードウェアの進化が止まらない
サーバーやストレージなどのハードウェアは、低価格化とともに、コモディティ化したとされる時期があった。パブリッククラウドの登場も、ハードウェアがコモディティ化し、進化が止まったかのような印象を与えるきっかけの一つになった。
ところが、ハードウェアの進化は止まっていなかった。次々と登場する新しいコンセプトのストレージやHCI、人工知能ブームの受け皿となるHPC。顧客のニーズも多様化が進む。PICの需要増加は、そうした時代背景があるからだろう。PICをリニューアルし、最新の設備を整えたネットワールド。IT市場を開拓してきた同社の鋭い嗅覚を感じずにはいられない。
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