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<畔上編集長が今、いちばん気になるインフラ運用>連載 第10回 インフラ構成運用管理ツール Puppet
2017/07/20 09:00
週刊BCN 2017年07月17日vol.1686掲載
自動運転車の世界観を実現
富田章義
SI技術本部
統合基盤技術部
データセンタソリューション課
係長
サーバーにアプリケーションをデプロイするまでには、ミドルウェアをインストールしたり、ストレージを構成したり、ネットワークを設定したりするなど、さまざまな作業が必要となる。テスト環境や開発環境を用意するにあたって、手作業で設定するのでは、時間がかかるだけでなく、作業の漏れや設定ミスというリスクがある。用意した環境に不備があれば、テスト環境や開発環境として機能しない。本番稼働中のサーバー環境が、どのような設定になっているかを把握することも、作業ミスを誘発する要因の一つとなりかねない。また、担当の人員を確保するのが難しいのも、現実問題として存在する。
こうしたインフラ構成の課題を解消するべく、Puppetは情報収集のためのエージェントを使用し、CPUやメモリ、ストレージ、ネットワークなどの状況を把握する。新たなサーバー環境を用意するにあたっては、その情報を使用し、正確にクローンを構成することができる。
DevOpsの運用にも最適
DevOpsは、システム開発担当者とシステム運用担当者が連携して、新機能のリリースやバージョンアップのスピードを上げることを目的としている。DevOpsでは、新機能をリリースしたい開発側と、トラブルを避けたい運用側との摩擦をいかに減らすかがポイントとなる。PuppetがDevOpsツールとして有効な理由としては、本番環境と同じ設定のテスト環境が数分で用意できること、本番環境の設定を変えたとしても自動的にテスト環境に設定情報を更新してくれることなどが挙げられる。「最近では、開発とテストのサイクルをスピードアップする『DevTest』という概念も普及し始めている。そこで必要となるのは、インフラとデータ。そして、1日に何回のデプロイができるかが重要となる」ことから、富田係長は数分で環境が用意できるPuppetがDevTestでも有効だとしている。
環境構築後の運用にも強み
Puppetの魅力は、サーバーの構築だけでは終わらないところにもある。「大切なのは運用管理。Puppetでは単なるインフラ構成ツールではなく、運用管理の機能も充実している。例えば、インフラを維持し続ける機能をもっていて、誰かが不用意に設定を変更してしまっても、本来あるべき姿へとPuppetに自動で修復させることも可能」と、富田係長は運用のための機能をアピールする。米国の金融機関では、Puppetがコンプライアンスやセキュリティの対策で導入されている。稼働状況や設定変更などの情報を簡単に把握でき、ログなども正常に稼働していることの証明となるため、外部監査対応で利用しているという。サーバー環境の構築から運用管理まで、Puppetはコーディング不要で活用できる。ネットワールドは、こうしたPuppetの機能をアピールしながら、インフラ構成運用管理ツールの市場を開拓していく。
編集長の眼 クラウドの手軽さを手元に
オンプレミスの面倒な作業を排除することで、パブリッククラウドは多くのユーザーを獲得してきている。とはいえ、オンプレミスでも、パブリッククラウドと同等の展開スピードが得られるとしたら、クラウド化への風向きが変わる可能性がある。Puppetは、その中心的な役割を担うツールといえよう。クラウドかオンプレミスかの議論は、Puppetによって、さほど重要ではなくなっていく。ネットワールドはこれまで、インフラ関連を中心に製品を取り扱ってきている。その意味では、より上位レイヤの製品となるPuppetは同社にとってチャレンジ領域ともいえよう。どのように国内市場に展開するのか。開拓者としての手腕に要注目である。
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