Special Issue
“思わぬ落とし穴”を解決、F5ネットワークスのマルチクラウドを統制する新商材
2017/07/05 17:00
クラウド対応を一段と強化
ADC(アプリケーションデリバリコントローラ)市場をリードしているF5ネットワークスジャパンが、この6月に発表した新商材は、主力の「BIG-IP仮想アプライアンス」として初めてGoogle Cloud Platformに対応したほか、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureといった主要パブリッククラウド向けのテンプレートを実装したり、オープンソースソフト(OSS)のクラウド基盤OpenStackに動作検証済みのF5製品を提供するなど、クラウド対応をより一段と強化した。開発環境やソフトウェアプラットフォームの変化に対応する商材も拡充している。クラウド時代に欠かせないウェブスケールモデルに対応するため、コンテナ技術による仮想化環境での開発やテスト、スケーリングを柔軟に行うアプリケーションサービスプロキシやコンテナコネクタを投入。また、マルチクラウド環境下でF5製品/サービスを自動的に見つけ出して、連携させるアプリケーションコネクタの機能を追加することで、近年のコンテナ技術や、ウェブスケールに欠かせないマイクロサービス・アーキテクチャへの対応力を強めている。
F5ネットワークスの新商材
こうした製品群の投入によって、ユーザーがより一段とマルチクラウド環境に適応し、統制もしやすくなる。
再発するサイロ化、散在化の危機
マルチクラウドとは、AWSのようなパブリッククラウドと、ユーザーが自社でITインフラを所有するオンプレミスの混在環境を指すだけにとどまらない。前述のように異なる環境が混在することによって、ソフトウェアの実行環境にもバラツキがでてしまい、ユーザーが求めるサービスレベルやセキュリティの一貫性が保ちにくくなっているのである。例えば、オンプレミスではレガシー環境が動いており、ハウジングではクラウド基盤のOpenStack、そしてパブリッククラウドでは最新のコンテナ技術による仮想化、マイクロサービス・アーキテクチャを採用しているといったバラツキ具合だ。
新商材発表のタイミングで来日した、米F5ネットワークスのプロダクト&テクノロジーグループのサンギータ・アナンド・シニアバイスプレジデントは、「マルチクラウド環境は手軽で便利だが、アプリケーションがサイロ化しやすく、サービスの品質や、セキュリティの一貫性が保ちにくくなることが最大の問題」だと、かつてのクライアント/サーバーシステム時代に起こったサイロ化問題が、最新のマルチクラウド環境でも起こりつつあると警鐘を鳴らす。
F5ネットワークスでは、クラウド向けに強みとするロードバランサーやWAFをはじめとする自社製品を仮想アプライアンスとして提供し、オンプレミスには従来のように物理アプライアンスで対応。マルチクラウド環境全体で均質的なサービスを維持する体制を強化している。今回の新製品もそうした取り組みを一段と補強するものになる。
マルチクラウド環境への対応イメージ
運用の効率化/自動化でもリード
米F5ネットワークス
サンギータ・アナンド
プロダクト&テクノロジーグループ
シニアバイスプレジデント
もう一つ無視できないのが運用の効率化と自動化である。一例を挙げれば、あらかじめ設定しておいた情報を適用することで、これまで9時間かかっていたAzure向けのクラスタWAFの実装を30分で行えるようになり、ほかにもAWS向けのオートスケールWAFの実装時間を7時間から、やはり30分に短縮している。マルチクラウド環境では、環境ごとの設定が必要になったり、使用ツールが違ったりと、何かと運用効率が低下しがちだ。F5ではこうした現状を踏まえて、マルチクラウド環境に適合した運用の効率化/自動化の実現に力を入れている。
F5ネットワークスでは、マルチクラウド環境に横串を通すような一貫性ある製品群を今後も拡充していくことで、ユーザー企業のアプリケーション・サービスを品質やセキュリティの維持向上を支援していく方針だ。
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