Special Issue
日立システムズ インド全土をカバーするサービス体制を強化
2017/06/22 09:00
週刊BCN 2017年06月19日vol.1682 第2部掲載
日立システムズは、インドでのサービス体制の強化に取り組んでいる。インドでの売上高は、この3年で倍増しており、成長を持続させるためにサービスラインアップの一段の多様化、高品質化を推進している。インドのグループ会社が強みとするインド全土をカバーするIT保守サービスをベースとしつつ、業務アプリケーションの構築やマネージドサービス、BPOなどの領域を強化。将来的には、南アジア地域のサービス提供の“ハブ(中核)”としての役割を担うことで、同地域におけるビジネス成長に、さらに勢いをつけていく考えだ。
日立システムズマイクロクリニックの拠点一覧
インド全国に計19の事業所に加えて、保守員が常駐するサイトとして約180か所を展開している
成長国インドで売り上げが急拡大
西村光誠
マネージドサービス事業グループ
グローバル事業統括本部
グローバル事業戦略本部
本部長
業績好調の背景には、インドの国内総生産(GDP)が約7%成長(2015年度)しており、パソコンやサーバー、ネットワーク機器が勢いよく売れていることが挙げられる。マイクロクリニックは、インドの情報サービス業界に先駆けて24時間365日の保守体制を確立させ、インド全土に19事業所と保守員が常駐するサイト約180か所を展開。機器販売だけではなく保守サービスを提供していることが顧客から評価され、業績を伸ばしているのだ。
成長市場であるインドは、「日本で例えれば、ちょうど90年代のパソコン普及期。裏を返せば、あと数年でハードウェアを軸としたビジネス成長は鈍化する」と、日立システムズでグローバル戦略を担う西村光誠・グローバル事業戦略本部長は捉えている。今の高度成長を持続していくため、インドにおけるサービスの一段の多様化、高品質化を推進していく。
GSCC構想で“日本品質”を後押し
草苅秀幸
マネージドサービス事業グループ
グローバル事業統括本部
グローバル事業推進本部
本部長
まずは、センターの運用や監視サービスなどから始めて、将来的に情報セキュリティやIoT、業務アプリケーションのアウトソーシングをはじめとする各種BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービス、そしてシステム構築(SI)ビジネスをインドで本格的に立ち上げていくことで、ハードウェア需要が一巡した後も高度成長を堅持していく。
また、マイクロクリニックを南アジア地域のビジネスの“ハブ”とする「グローバルサービスコントロールセンター(GSCC)」構想(コラム参照)を推進。日立システムズグループのグローバルビジネスの一翼を担うことで、グループとしての相乗効果をさらに高めていく。
インド事業の日本側窓口を担当する草苅秀幸・グローバル事業推進本部長は、「いま伸びているインド全土をカバーしたIT保守をベースとしながら、付加価値が高く、日本同等の高品質で多様なサービスを多層的に構築していく」ことで、インドで一層存在感あるITベンダーに成長させていく方針だ。
グローバルサービスコントロールセンター(GSCC)構想とは
GSCCは、日立システムズグループの世界各地域のITサービスを集中的に運用する拠点化構想である。南アジア地域は本稿でレポートしたマイクロクリニックが担い、ASEAN地域はマレーシアの日立サンウェイグループ、中国地域は日立系統(広州)、欧州はイタリアの日立システムズCBTの各グループ会社が担うことが検討されている。GSCC化によって運用監視や情報セキュリティ、BPOといった各種サービスのコントロールを集約することで、ノウハウや知見を集積させ、品質を高めていく。国内では横浜のセンターが全国のサービスコントロールの役割を担うことで、サービス品質の向上やノウハウ・知見の集積に成功している。GSCC構想は、これをグローバル規模で展開していくものである。
日立システムズは、南アジアやASEAN、中国、欧州にそれぞれサービス提供の中核会社を置き、それに日立システムズグループ各社、北米を中心とするグループ傘下の先進テクノロジー会社の技術をかけ合わせていくことで、グローバルでの競争優位性を高めている。今後、GSCC構想を推進し、“日本品質”を世界へと広げていくことでグローバルビジネスの拡大を図る。
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