Special Issue
PTCジャパン パートナーと組んで新領域を開拓へ
2017/06/15 09:00
週刊BCN 2017年06月12日vol.1681掲載
IoT分野に積極的に投資
PTCは、CADソフト「Creo」やPLMソフト「Windchill」などをラインアップにもち、製品の設計、運用、サービスの促進など、製造業向けのソリューションを強みとしている。グローバル展開の企業を中心に顧客数は世界で2万8000社を超える。PTCがIoT分野に本格的に進出したきっかけが、2013年12月に買収した「ThingWorx(シングワークス)」。IoT向けアプリケーション開発・運用のプラットフォームThingWorxを中核に据えて戦略を拡張し、製造業に向けたスマート製品の開発やサービスで競争力を強化。さらに、これまでPTCの顧客ではなかった非製造業に向けてIoT関連のソリューションを積極的に展開していく基盤が整った。
山口達也
プラットフォーム
事業部
事業部長
「非製造業に向けたIoTソリューションの提供には、それぞれの分野に強いパートナーと組むことが不可欠。そこでIoTソリューション分野を別カンパニー化し、パートナーとのエコシステム構築を進めており、すでに全世界で465社が参加している。現在、世界で1000人以上がIoT分野に従事し、一連の買収を含めIoT技術に7億ドル以上を投資している。以前は、CADやPLMが売上高の大半を占めていたが、現在はIoT事業が急速に伸びている」とPTCジャパンの山口達也・プラットフォーム事業部事業部長はアピールする。
必要な要素を単一基盤で提供
IoTのアプリケーション開発ではスピードが重要だ。せっかく魅力的なビジネスモデルを思いついても、アプリ開発に何か月もかけていては好機を逃す。その点、ThingWorxはノンプログラミングによる開発効率の高さが大きな特徴となっている。ライブラリに必要な要素が揃うため、操作はドラッグ&ドロップですむ。また、画面作成やデータ連携用のサードパーティアプリが利用できるIoT業界初のマーケットプレイスも立ち上げた。山口事業部長は、「ThingWorxの利用で、開発スピードが10倍となって、開発コストを大幅削減できたというケースもある」という。IoTで収集された膨大なデータは、そのままでは製品やビジネスの改善につながらない。データの意味を「Analytics(分析)」し、どうすべきかを判断できるようにするのがThingWorx Analyticsだ。さらに、これまで一般消費者やエンタテインメントでの活用が多かったARをPTCの既存ソリューションと組み合わせることで、エンタープライズでの活用も進めていく。ThingWorx StudioとCreo、Windchillを組み合わせることで、デジタルとリアルを融合したソリューションが提供できる。例えば、設計面と現実の製品との整合性をとったり、保守作業をオーバーレイ表示して指示したりといったことが可能となる。
「IoTアプリの開発、データ解析、ARを用いたサービスまでを単一のプラットフォームで一気通貫で実現できる唯一のベンダーがPTC」と山口事業部長は強調する。
パートナー開拓を強く推進
PTCでは、IoTソリューションを再編して「ファクトリー(スマートファクトリー)」「シティ(インフラや環境に代表されるスマートシティ)」「ワークサイト(石油、ガス、鉱山などの資源採掘現場)」「アウトサイド(車両運行、コンテナ輸送などの野外の配送)」という4分野を軸として展開を進めている。山口事業部長は、「従来のような単なる業種別ではなく、これからは業種横断的なソリューションが求められている」と話し、次のように続ける。
「今後、有望なのはスマートシティやスマートファクトリーなどのシステムの分野。この領域は自治体や通信、流通など、われわれが未知の領域であるため、強みをもつSIerなどのパートナーの方々と組みたい。通常のリセラープログラムのほか、自社ソリューションへの組み込みやOEM提供、技術パートナーなど、各種プログラムを用意しているので、ぜひ活用してほしい」と呼びかける。
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