Special Issue
日立システムズ 金型の棚卸し作業や資産台帳の整理などIT導入前のサービスを本格化
2017/04/27 09:00
週刊BCN 2017年04月24日vol.1675掲載
資産管理の“前工程”から代行
日立システムズ
遠藤 尚
サービス・ソリューション事業統括本部
プラットフォームソリューション
事業推進本部
サービスライフサイクルマネジメント
推進部部長
金型は製造業の資産のなかでも高価な部類に属し、一個あたり数千万円から数億円するものもある。また、種類も多く、保有期間も長期に渡るため、管理しなければならない金型の数が数万点にのぼる企業もある。金型は、大きくて重いことから“所在不明にならない”と思われがちだが、日立システムズが製造業ユーザーにヒアリングしたところ、「実際は、手書きの台帳や表計算ソフトなどで管理されていることが多く、国内外の製造委託先に貸し出すこともあるため管理が非常に煩雑で、台帳に記載されている内容と実際の資産が一致しないケースが多数発生していた」(日立システムズ 遠藤尚・サービスライフサイクルマネジメント推進部部長)ということがわかった。
こうした背景を踏まえ、日立システムズは、実際に作業工数を90%程度削減することに成功した先行事例をもとに、金型の棚卸し作業や台帳整備、さらにはシステム化やデータ分析までを請け負う「統合資産管理サービス 金型管理モデル」をサービスメニュー化した。
資産の適正化で節税効果も期待
日立システムズフィールドサービス
西村泰延
取締役
サービス事業統括本部長
また、こうした現場力だけではなく、ITサービス企業としての強みも生かされている。例えば金型や工具一つひとつにカラーコード(色の配列によってバーコードやICタグを代替できる認識技術)を取り付け、タブレット端末のカメラをかざすだけで金型を自動で認識し、棚卸しリストを消し込むといったシステム化を実現している。これにより、誰でも簡単に棚卸し業務ができるようになり、外部委託先の工場での活用も可能にした。「単にITシステムを導入してもまったく意味をなさない。こうした現場の本当の困りごとを解決することが、我々のデジタライゼーションだ」(日立システムズフィールドサービス 西村泰延・取締役サービス事業統括本部長)という。
現場のデジタライゼーションを支援
今回のサービスメニュー化に先立ち、資産管理の“前工程”から支援できることを訴求して統合資産管理サービスの営業を行ったところ、昨年度(2017年3月期)の受注高は、前年度比で135%に拡大。日立システムズでは、こうした現場のデジタライゼーションを支援する取り組みをより一層加速させるため、4月1日付で工事に強みをもつ日立システムズファシリティサービスの全事業を、保守サービスやビジネスサポートに強みをもつ日立システムズ・テクノサービスに集約し、社名を日立システムズフィールドサービスに変更して新たにスタートした。全国のカスタマーエンジニアが顧客と一緒に現場の課題を解決し、最終的にITシステムの導入やIoTの活用などの管理効率の向上を実現していく。こうした一連の取り組みをグループ全体で進めていくことで、統合資産管理サービス全体の売上高を2020年までに累計200億円まで拡大させていく方針だ。
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