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<畔上編集長が今、いちばん気になるストレージ>連載 第9回 徹底分析 ネットワールドは開拓者だ! 技術力と営業力とチーム力で地域のニーズを掘り起こす関西支店・中部支店・九州支店

2017/04/13 09:00

週刊BCN 2017年04月10日vol.1673掲載

 ネットワールドは、大阪と名古屋、福岡という大都市圏に支店を展開することによって、個性豊かな各地のニーズに応えている。各支店では営業部門に加え、技術力に定評のあるネットワールドのブランドイメージそのままに、少数精鋭の技術部門が活躍している。特徴的なのは、各支店が「西日本」というくくりで活動しているところ。支店のテリトリを越え、ゼネラリストとして能力を発揮している。

関西支店
ユーザーは仕事の質を重視


関西支店

 ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の引き合いが、関西支店で増えているという。要因の一つは、総務省主導で地方自治体が取り組んでいる「自治体情報システムの強靱性向上モデル」。庁内ネットワークの3分割などによってセキュリティを確保するという施策だが、一人の職員に対して複数の端末を用意するのが難しいため、デスクトップ仮想化(VDI)の導入が進んでいる。そこで、VDIの運用には、運用が容易なHCIという流れになっている。
 

山田 咲
営業本部関西支店2課

「民間企業でも、HCIの採用が増えている。HCIのメリットとして大きいのは、管理面。構成がシンプルなことから、管理業務を大幅に削減できる」と、営業本部関西支店2課の山田咲氏は説明する。

上田彩子
営業本部関西支店2課

 アシスタントとして営業部門を支える営業本部関西支店2課の上田彩子氏も、「これまではハイエンドのストレージが売上金額としては目立っていたが、最近はHCIの受注が多くなってきた」と実感している。

三島淳二
SI技術本部西日本技術部
次長

 SI技術本部西日本技術部の三島淳二次長は、HCIに手応えを感じている。「仮想化に強いネットワールドのイメージ通り、HCIを導入して終わりではなく、仮想サーバーの構築やセキュリティの設定などもサポートしている。おかげで、ネットワールドがHCIを取り扱っていると認知されるようになってきた」。最近では、ユーザー企業もHCIを研究していて、メーカーを指名してくることがあるという。

 HCIのような新しい領域の製品を提案するにあたって、山田氏は「SE(システムエンジニア)がいるので提案に困ることはない」と、SEに絶対的な信頼を置いている。関西支店のSEについて、三島次長は「まさに何でも屋。営業の同行支援から、構築まで引き受ける。しかも、一人で複数のプロダクトを抱えていて、ストレージ担当でもVMwareを扱うことができる。ただ、広く浅くになるので、深い知識が必要なときは東京の支援を仰いでいる」と説明する。

 ラインアップが増えたストレージ分野においては、「提案内容によって、最適なストレージを選択できるのはありがたい。当社には検証施設のプリ・インテグレーションセンター(PIC)があり、そこで得た情報をもっているので、複数製品の比較を求めるユーザー企業にも提案しやすい」と山田氏。三島次長も、「ラインアップが多いのはメリットとなる」と考えている。

 関西のユーザー企業は、必ず「価格が高い」と言うが、必要なところにはしっかりと投資する。「いい仕事ができると、次も声をかけていただける」ことから、三島次長は作業の質を意識している。また山田氏は、「流通だけでなく、トータルで提案できるのが当社の強み。小回りを利かしながら、速いスピードで提案をしていく」ことで、地場に根づいたディストリビュータでありたいと考えている。

中部支店
石橋をたたいて検討する文化


中部支店
 

野田朋哉
営業本部中部支店
係長

 中部支店には、商品を流して終わりとはならない実情がある。「案件を抱えてクローズするところまで、当社で担当している。本来なら、パートナー企業の担当となるところだが、リソース不足で対応できないため。とくに当社の技術力を期待するパートナー企業は多い」と、営業本部中部支店の野田朋哉係長は中部支店の役割について語る。案件によっては、入札の仕様の策定からかかわるという。ディストリビュータの範疇を完全に越えている。

 中部地区の傾向については、「東京で流行ったものが、少し遅れてやってくる。なかなか新しいものを入れようとしない文化で、石橋をたたいて進んでいくイメージ。ストレージも実績のあるベンダーの人気が高い」(野田係長)とのこと。HCIについても、問い合わせは増えているが、様子見の状態。導入に至るには、時間がかかると野田係長はみている。

田中美咲
営業本部中部支店

 とはいえ、のんびりムードというわけではない。アシスタントを務める営業本部中部支店の田中美咲氏によると、「見積もりや納期などは、早い回答が求められる。そのため、いかに早く回答するかを重視している」とのこと。中部支店のメンバーは地元愛が強いため、地域特性を受け入れながら楽しく活動しているという。

土田 孝
SI技術本部西日本技術部
ソリューション2課
課長代理

 石橋をたたくとはいえ、自治体における強靱性向上モデルへの対応は、中部地区でも必須。中部支店においても、関西支店と同様にVDIの取り扱いが増えているという。SI技術本部西日本技術部ソリューション2課の土田孝課長代理は、VDIにおけるストレージについて「基本的に実績を重視してストレージを採用するが、VDIをきっかけに新興ベンダーを採用するケースも出ている」と語る。とくに納得のできる材料があれば、採用に至ることが多いという。そこで検証施設PICでのPIC de POCのデータが生きてくる。

 「要件が300ユーザーだとしても、その数を超えたときの状況を気にするユーザー企業は多い。PIC de POCでは、1000ユーザーで検証しているため、データをみせると信頼していただける。しかも、複数社のストレージを比較検証しているため、提案しやすい。これは他社にはできない」と、土田課長代理はPIC de POCでの検証実績を頼りにしている。納得できる根拠を示すことが、重要だという。また、確かな検証データが、“技術力のネットワールド”のブランドイメージの向上にも貢献している。

 中部支店では、関西支店や九州支店と連携しながら、先進事例を共有している。今後盛り上がると期待されるHCIについても、各支店と連携しながら、キャッチアップしている。

九州支店
新製品の導入に積極的な風土


九州支店
 

鬼塚広聡
営業本部九州支店
課長代理

 「最近は導入の遅延を感じない。むしろ、首都圏よりも早い」と、営業本部九州支店の鬼塚広聡課長代理は話す。新しいトレンドは、まず首都圏で受け入れられて実績ができてから地方に展開されていく。そう思われがちである。ところが九州では、ユーザー企業が新しいプロダクトを積極的に受け入れるようになったという。

 背景にあるのは、情報伝達のスピードが速くなったということ。そして、ITの活用で競争優位性を確保しようと考える経営者が増えているためだ。「新しいプロダクトを提案しやすい」と鬼塚課長代理。九州支店のSEと連携しながら、顧客ニーズに応えている。

田中瑞穂
営業本部九州支店

 九州支店でこのところ引き合いが多いのは、バックアップ製品。東日本大震災以降、リスク分散を考慮し、首都圏から距離がある九州にバックアップサイトを置くユーザー企業が増えているという。受発注以降のパートナーとの調整を担当している営業本部九州支店の田中瑞穂氏は「安価なものからハイエンドまで、バックアップ系のソリューションを扱う機会が増えた」と実感している。

 最新のソリューションでも、提案から導入までサポートできる技術力は、ネットワールドの強み。少数精鋭で地域の多彩なニーズに応えている。

河田政喜
SI技術本部西日本技術部
ソリューション2課
課長代理

 「本社はプロダクトカットで担当のSEが決まっているが、支店はSI的な立ち位置。最低でも四つのプロダクトを担当している。例えば、VMwareの担当者が、IAサーバーやストレージ、バックアップに加え、最近ではネットワークの仮想化を担当することも。だから、“ひとりハイパーコンバージド”になっている(笑)」と、九州支店でエンジニア部門を担当するSI技術本部西日本技術部ソリューション2課の河田政喜課長代理は説明する。

 SEの業務は営業支援が多かったが、最近ではコンポーネントの互換性や仕様の確認など、よりメーカーに近い立ち位置の役割が増えている。「多くのユーザー企業は専任のIT担当を置いていないため、わかりやすく、扱いやすいソリューションの提案を求めている。さまざまなメーカーの製品を扱っている当社は、立ち位置はメーカーに近いが、顧客ニーズに応じて最適なソリューションを提案できるのが強み」(河田課長代理)。

 より深い知識が必要とされる場合は、東京本社のSEに問い合わせている。九州支店でも検証機を使ったり、東京の検証施設にリモートでアクセスしたりできるが、担当範囲が広いため、問い合わせたほうが効率的。最近では、シスコの会議ソリューションを採用したことで、「すぐに会議を始めることができ、音声の遅延も少ないため、コミュニケーションのハードルが下がった」と、河田課長代理は評価している。

 関西と中部、九州の各支店のSEは、西日本技術部という組織に属しており、必要に応じでサポートし合う体制になっている。四半期に一度の定例会で、情報交換も欠かさない。河田課長代理のたとえを借りるなら、「スケールする“ひとりハイパーコンバージド”」というわけだ。

編集長の眼 支店の組織も「技術力のネットワールド」

 支店のメンバーは、その地域の出身者が多い。東京本社からの配属ではなく、地域で採用しているというわけだ。それゆえ、地元愛が強い。ユーザー企業の無理難題についても、むしろ歓迎している節があるのは、地元愛が強いからに違いない。

 となれば、各支店の関係が気になるところだが、技術部門でいえば西日本技術部という支店横断の組織となっており、地域に関係なく案件に最適なかたちでSEがサポートする。西日本技術部というサーバーに、インタラクティブな仮想環境が設定されているようだ。「技術力のネットワールド」へのこだわりは、支店の組織からも垣間見ることができる。
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