Special Issue
日立製作所 デジタルビジネスを支える「JP1 V11.1」安定運用と最適化を実現する運用管理
2017/03/23 09:00
週刊BCN 2017年03月20日vol.1670 第2部掲載
業務実行基盤を強化 健全性の維持を可能に
加藤恵理
サービスプラットフォーム事業本部
IoT・クラウドサービス事業部
IT基盤ソリューション本部
JP1ビジネス推進センタ主任技師
「今回のJP1のバージョンアップでは、企業のデジタルビジネスを支えるため、『業務実行基盤のさらなる強化』『業務システムの健全性を維持』『業務システムの運用を最適化』という三つのポイントが進化した」と日立製作所のIT基盤ソリューション本部JP1ビジネス推進センタ主任技師の加藤恵理氏は語る。
「業務実行基盤のさらなる強化」という点では、「JP1 /Automatic Job Management System 3(JP1 /AJS3)」においてサービスの高度化や大規模システム化に必要な機能強化を図った。JP1/AJS3では、これまでも利用環境の変化に合わせてジョブの実行性能の向上に継続的に取り組んできている。「プラットフォームのクラウド化でサービス利用者が大きく増加しているが、JP1は大規模ジョブ運用にも対応できる。実際、1日40万件を超えるジョブを実行するユーザーのシステム環境を支えるなど、大規模ジョブ運用に豊富な実績がある」と加藤氏は説明する。
そのうえで今回、ウェブコンソール画面にガントチャート表示を追加したことで、業務の進捗や遅延の有無といった状況確認が容易になり、過去の実績との比較もしやすくなっている。大規模なシステムにおいても、安定した業務実行が可能だ。さらに、ウェブサービスと容易に連携するためのREST APIの対応範囲を拡充した。外部のサービスと早く簡単に連携することで、サービスの高度化を可能にしている。このほか、複数エージェントへのジョブ一斉実行にも対応。エージェントの増加を自動認識し、定義を修正しなくても全エージェントでジョブを実行できる。これもクラウドサービス環境下で、オートスケール機能を活用した柔軟な運用を行う際に有用となる強化だ。
「業務システムの健全性を維持」では、複雑化した業務システムの健全性の把握やシステム障害時の原因究明を容易にする強化を行った。「JP1/Operations Analytics(JP1 /OA)」において、従来のサーバーやストレージ、ネットワークといったITインフラの構成要素に加え、新たにジョブの実行基盤やDB、ERPなどミドルウェア層の状況も可視化できるようにした。加藤氏は、「仮想化やクラウド化でIT基盤が複雑化し、システム管理者に幅広い管理対象の知識と運用スキルが求められている。JP1 /OAでは、業務システムの重要度別にシステムの健全性を1画面で確認できるようにした。ジョブがどのリソースやアプリケーションと関連しているかが一目でわかり、運用管理者と業務管理者のそれぞれの視点から障害の原因分析を迅速化し、障害復旧時間の短縮にも貢献できる」とアピールする。
運用プロセスを標準化 作業の自動化と運用の最適化が強み
昨今のサービスの高度化により、業務システムの運用を取り巻く環境は厳しくなる一方だ。システム運用部門の管理者には部門全体でのパフォーマンス向上と利用部門からの満足度向上が求められ、運用担当者には複雑な運用作業におけるミスのない確実な作業実行が求められる。これらの命題を解決するには、運用プロセスの標準化を含め、これまで人手に頼っていた作業を自動化し、運用を最適化していくことが不可欠といえる。 そこで「業務システムの運用を最適化」では、運用最適化ソリューションを提供する。従来の運用管理ツールの提供から一歩踏み出し、ユーザーの運用そのものにまで支援の幅を広げた。運用プロセスの標準化や自動化といったシステム構築支援をはじめ、利用部門からの要求件数、作業遅延の有無、期限の順守率といったKPIの見える化も行う。システム運用部門のサービスを継続的に維持・発展させるための総合的な支援だ。ソリューションの実行基盤には、SaaS型ITサービスマネジメント「ServiceNow」を活用。グローバルでクラウドサービスを提供するServiceNowだけに、海外展開している企業も利用しやすい。業務システムの健全性を可視化
業務システムのアプリケーションを含めた構成を収集し、インフラリソースとの関連性をビジュアル化
加藤氏は、「運用最適化ソリューションには、日立が20年来培ってきたJP1 /AJS3の業務運用ノウハウが盛り込まれている。また、コンサルティングも含めた、総合的なサービスの提供を目指していく。さまざまな業務システムに対応するため、各業種に強いパートナーの方々と組んでソリューションを拡大していきたい」との考えを示す。
今後JP1は、従来のIT分野の運用最適化に留まらず、OT分野への活用も見据えた機械学習やビッグデータ解析の適用による障害対処の高度化・自動化を目指して開発を進めていくと展望を語る。
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