Special Issue
JBCCホールディングス 佳報(上海)信息技術(JBCN上海)JBグループの中国ビジネス iクラウドや上海SMACで顧客ニーズに応える
2017/03/23 09:00
週刊BCN 2017年03月20日vol.1670 第2部掲載
「中国で長く安定的に成長したい」
佳報(上海)信息技術(JBCN上海)
森 浩二
董事長
JBグループは、日本IBMのトップソリューションプロバイダとして、伝統的に基幹サーバー「IBM i(旧AS/400)」ベースのシステム構築(SI)を強みとしている。中国でも、IBM iの環境をクラウド上で構築するJBグループの「iクラウド」サービスを始めたところ、大手製造業や流通サービス業の顧客からの引き合いや受注が好調に推移。日系企業のIBM iの運用支援をJBCN上海が担うことが多いことから、主力事業の一つに成長している。
iクラウドを活用すれば、障害発生時にバックアップ先での本番稼働を可能にする「ホットスタンバイ」環境の構築も容易に実現できる。JBCN上海では、iクラウドを自社で運営するデータセンター(DC)で稼働させているが、ある大手製造業ユーザーは、遠隔地に自社運営のプライベートクラウドをもっていることから、そこへiクラウドを移植してのバックアップサービスも手がけている。
中国は、大陸ならではの厳しい自然環境からくる停電、洪水などが発生したり、地震も少なからず起きる。もちろん、IT機器の純粋な故障も起こり得るし、外部から悪意あるサイバー攻撃も諸外国と同様に頻発している。JBCN上海では、こうした脅威に対して24時間体制でシステムの運用監視を行う上海SMACやiクラウドサービスによって顧客のニーズに応えている。また、2017年からIAサーバーなどのオープン環境に対応したバックアップ/ホットスタンバイのサービスも本格的に始めている。
エンドポイントとUCを組み合わせ
SMACでは、遠隔監視/運用や事業継続/災害対策の支援を行うとともに、ユーザー企業の情報システムやIT/IoT機器のセキュリティを監視運用する「セキュリティ運用センター(SOC)」機能を実装。ユーザー企業の情報システムを円滑に運用し、万が一、障害や災害が発生したときも情報システムへの被害を最小限に食い止め、事業を継続できるよう支援している。森董事長は、「BCP(事業継続)サービスの利用顧客を対象に、定期的に行っている情報システムの“防災訓練”は、非常に高い評価をいただいている」と話す。システム障害や災害発生を想定し、バックアップ先でシステムを本番稼働させるまでの訓練メニューを用意。定期的にユーザー企業のスタッフとJBCN上海のSE/CE、上海SMACのスタッフと連携して、本番さながらの実地訓練を行っていることが、ユーザー企業からの評価につながっている。
もう一つ、スマートフォンやタブレット端末、パソコンといったデバイス系のセキュリティを指す「エンドポイントセキュリティ」と、電話やメール、ビデオ会議などを統合する「ユニファイドコミュニケーション(UC)」を総合的に構築するサービスにも引き合いが強まっている。
基幹系システムやネットワークの情報セキュリティをいくら強化しても、エンドポイント(端末)が弱ければ、情報漏えいや不正侵入は防げない。森董事長は、「エンドポイントセキュリティを強化するとともに、例えば、従業員のもっている端末を業務に活用する『BYOD』端末と社用端末を一元的に管理し、なおかつ電話やメール、ビデオ会議などのコミュニケーション全般を統合するUC化も進めていく」との方針を示す。エンドポイントセキュリティの強化とUC化を絡めたJBCN上海の提案に対する顧客からの反応は上々で、「今後一段と伸びる領域」と位置づけて期待を寄せている。
JBCN上海では、中国のみならず、シンガポールやタイのJBグループの現地法人とも連携し、ASEAN市場へも横展開していく。こうした取り組みによって17年の中国/ASEAN市場での売上成長率を昨年と同様、二桁の高い伸びを維持していく構えだ。
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