Special Issue
<シスコシステムズ 導入事例>彦根市の市民サービスを最新コラボで改善 テレビ電話で職員の働き方改革にも効果
2017/03/02 09:00
週刊BCN 2017年02月27日vol.1667掲載
87施設を結ぶWANも含む全面的な刷新 最新セキュリティを備えた無線LANへ
彦根市
情報政策課
山本恭裕 氏
彦根市では14年度(15年3月期)から、業務に用いる情報基盤や情報系基幹システムなどの刷新に取り組んできた。16年9月には、LAN環境だけでなく、市の各庁舎や市立病院・学校など、市の関連施設87拠点を結ぶWANも含め、90年代に設計された旧ネットワークから全面的に刷新、利便性とセキュリティの両面で最先端の技術を採り入れている。
「新たなネットワークでは、有線でなく無線LANを基本とした。また、市民向けの無料通信サービスも提供し、災害時にも役立てられるようにしている。セキュリティに関しても、ネットワーク分離はもちろん、指紋認証システムや資産管理ツールなども導入している」と山本氏は説明する。
部署間の円滑なコミュニケーションと市民サービス向上のため最新コラボレーションを導入
「彦根市では、福祉関連業務を本庁舎から車で20分ほどかかる別の庁舎で行っており、例えば転入してきた方などは両方の窓口にきていただかねばならず、不便をおかけしていた。そのため、以前からテレビ電話システムによって遠隔での窓口対応ができないかと考えていた」と山本氏は背景を話す。
さらに、もう一つの事情もある。17年から19年にわたる計画で本庁舎の耐震化工事が行われ、それに伴い本庁舎の業務を一時的に仮庁舎へ移すことになる。今回の刷新で無線LANを基本としたのは、そうした計画を踏まえてオフィスのレイアウトや業務環境の自由度を高めるという意図があった。仮庁舎ではスペースの都合から、さらに複数の施設へ分かれなければならず、ここでも市民サービスや職員同士のコミュニケーションに問題が生じると予想された。こうしたことから、大画面ビデオIPフォンや会議システム、メッセージングを組み合わせたコラボレーション環境を導入することになった。
「窓口で市民の皆様に使っていただくことも念頭に置いていたため、混乱のないよう専用端末が必要だった。また離れた部署同士を結ぶテレビ会議にも使うほか、内線との統合のためPBXとの連携も行いたいと考えていた。将来的な汎用性や接続性も含むわれわれの要件に見合ったのが、シスコのコラボレーションソリューションだった」と山本氏は振り返る。
「Cisco Jabber」はPBXやグループウェアとも連携予定
こうして彦根市では、コミュニケーションの基盤として全職員に「Cisco Jabber」を導入した。音声通話ライセンスは100ユーザー分を用意し、音声通話の必要性が高い職員・管理職などに配布している。専用端末では、主に遠隔窓口対応で23インチ画面の「Cisco DX80」、市長および遠隔拠点の部長級職員などに「Cisco Unified IP Phone 8845」が、それぞれ5台導入された。「市民向けの窓口についてはテスト的に利用を開始しており、大画面かつタッチパネルなので細かいところまで伝わりやすいと好評を得ている。市長も頻繁に使っていて、『とくに操作を覚えることなく気楽に使えてすばらしい』と、気に入った様子だ。市長と会議するため、月に何度も往復1時間かけて本庁舎を訪れていた市民病院の局長も、テレビ会議により移動時間が不要になったと聞いている。資料を共有しつつ会議できる点も評価されている」と山本氏は満足げだ。
彦根市では現在、JabberとPBXとの連携作業を進めており、新年度にはJabberが内線電話としても利用できるようになる見込みだ。17年度にはグループウェアの更新も予定しており、Jabberとの連携を考えているという。
山本氏は、「チャットは、メールに次ぐ新しいコミュニケーションツールとなりつつある。Jabberはセキュアな通信が行えるので、職員が外出先でスマートフォンから利用することにも不安は感じていない。むしろ、災害などの現場からリアルタイムに画像を送るなどのメリットが期待できるだろう」と話し、今後も職員の働き方を変えるための環境を引き続き整えていく方針だ。
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