Special Issue

九州経済調査協会 地域課題の解決に期待されるIoT 経営者に刺さる提案がカギ

2017/02/09 09:00

週刊BCN 2017年02月06日vol.1664掲載

 九州経済調査協会の中川敬基・調査研究部研究主査は「IoTを活用した地域経済振興の方向性と課題」をテーマに講演。「地方でもIoTという言葉は注目されている」と前置きして、九州を例にあげながら地域施策としてIoT活用をどのように推し進めるべきなのかを説いた。

中川敬基
調査研究部研究主査

 九州は、生産・サービス現場の生産性が低く、それが所得格差、ひいては人口流出を招いている現状があるという。生産性の向上には、IT投資を進めることが有効と考えられ、そのための一つの方策として期待されているのが、IoTだ。中川研究主査は、「IoTは新しいビジネスを生み出す力である」と強調。データを収集・解析し、それを現実世界に製品・サービスとして反映する「CPS(Cyber Physical System)」のサイクルに地域の企業がかかわることが重要だと
訴える。

 しかし、実際にIT投資の効果が期待される事業分野は限定されていて、単純に生産性の向上を目的とするだけでは、IT投資が進まない。生産性の低い現場に対してのIT投資を進めながら、導入後の稼働率を上げて競争力の向上や効率化につなげることが必要となる。また、九州経済調査協会の調査によると、地域中核企業において新事業が起こるきっかけとキーマンはいずれも経営者で、いかに経営者に刺さる提案ができるかが、IoT導入のポイントとなる。

 そのため、中川研究主査は「SIerやリセラーの存在が重要になる」と強調。九州発の企業を例に、急成長を遂げている会社は、「単にシステムを納めているのではなく、パートナーの稼ぐ力をデザインしてプロデュースしている」という。パートナー企業と協業しながら、IoTの取り組みを進めることが、地域課題の解決にもつながると力を込めた。
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外部リンク

九州経済調査協会=http://www.kerc.or.jp/index.html