Special Issue
プリンストン、シスコシステムズ ビデオ会議ソリューションで協業
2017/01/12 09:00
週刊BCN 2017年01月09日vol.1660掲載
2017年1月、ビデオ会議ソリューションで協業を開始したプリンストンとシスコシステムズ(シスコ)。プリンストンは、新たにシスコのビデオ会議ソリューションを取り扱い、他の製品とのセット販売や一次サポートなどを行うほか、共同で新たなソリューションも展開していく。協業までの経緯や今後の計画について、プリンストンの中出敏弥社長とシスコの高橋慎介・パートナー事業統括専務執行役員に話を聞いた。
競合しつつも互いに意識していた両社
その思いが通じ合い協業をスタート
――協業に至る背景として、それぞれに課題意識があったと思います。そのあたりからお話しいただけますか。高橋慎介
シスコシステムズ
パートナー事業統括
専務執行役員
また、これまでのシスコは、主にネットワークソリューション系のパートナー経由で販売していました。こうした既存パートナーは大手ユーザーに強いものの、日本企業の大多数を占める中堅・中小ユーザーにはあまりリーチできず、プリンストンのような、よりフットプリントの大きいパートナーがほしいと常々考えていました。
中出敏弥
プリンストン
代表取締役社長
高橋 私から中出さんに直接打診しました。それまでは競合関係でもありましたが、快く応じていただけたので、会って話を切り出しました。
中出 高橋さんとは、もともと業界内で長くお付き合いをいただいておりましたがシスコに入られてから連絡をいただいたのは久々でした。2016年6月に製品ポートフォリオやロードマップの説明を受け、これをきっかけに両社内で具体的な調整を開始しました。
高橋 思い切って相談してみたら、互いに秘めた思いがあって、実は相思相愛だったというわけです(笑)。
中出 同じような思いは現場にもあったのでしょうね。協業が決まったら社員たちはものすごい勢いでシスコの資格を取っています。シスコのみなさんも本気でやってくれて、驚くほどの早さで話が進んでいきました。協業を進める過程で、シスコの提唱する「チームコラボレーション」を新鮮に感じました。プリンストン社内でもCisco Sparkを導入して実際に使い、チームコラボレーションの力をみんなが身をもって体験しています。
高橋 Cisco Sparkのビジネスチャットは簡単に資料共有ができるほか、ログが残るため、過去を振り返って議論の流れをみることができます。打ち合わせに使えば、そのまま議事録として使うことができ、スピーディに業務を進められます。
シスコのプロダクトにプリンストンの付加価値で独自のソリューションを展開
――今回の協業は、現時点では具体的にどのような内容なのですか。中出 われわれは今回、まずシスコのリセラーとなりました。競合製品では付加価値ディストリビュータ(VAD)となっておりますが、多くの社員がシスコ資格を取得しているのは、われわれがシスコ製品のサポートを行うためでもあり、これも一つの付加価値としていきます。
付加価値ソリューションとしては、例えばCMRクラウドやCisco Sparkにわれわれが扱うEdgeWaterを組み合わせたパッケージにより、中堅・中小ユーザーやブランチオフィスに適した価格を設定します。シスコが提供するクラウドは25拠点まで同時接続をサポートするため、ちょうど手頃なソリューションとなるよう工夫しました。また、ユーザーのみなさまに実際のイメージを掴んでいただくためのデモ機も準備しています。
高橋 シスコはものづくりにも自信があります。ノルウェーの開発拠点には中出さんにもきていただきました。ここでは新製品の開発や競合製品との比較をしつつさまざまなベンチマークを行って、常に改善を繰り返しています。ビデオ会議では、例えばパケットロスや帯域が狭まったときの映像品質なども、いろいろ条件を変えながらテストし、より安定したコミュニケーションが成立するようにしています。
また価格面はもちろん、扱いやすさの面でも、最近の製品ではStartシリーズをはじめ各製品で日本語UIにも力を入れており、ようやく少しずつユーザーから評価されてきました。しかし日本市場というのは、日本語のUIだけでなくマニュアルやサポートも日本語で揃えてこそ売り込んでいけるもので、そこがシスコにはまだ足りていませんでした。それゆえ、プリンストンのようなリセラーがまさに必要だったのです。
ビデオ会議ソリューション市場が活気づいてきたとはいえ、まだボリュームは小さく、リセラーが独自にスキルを蓄積することが難しい状況です。また、シスコの既存パートナーでもUC/VCソリューションを手がけていないところが少なからずあります。機会はもっていても実際のリソースや市場の状況から手を出していない、といったことも多いようです。そこにプリンストンが加わってくれたことで、そういった実質的なパートナーポートフォリオの拡大も期待しています。
――協業は今後どのように展開していく方針でしょうか。
中出 共同でサービスを企画しているところです。このサービスを実際に世に出せば、かなりのインパクトがあるはずです。低価格領域では日本のベンダーが勢力を伸ばしており、そこにどこまで食い込めるかが今後の挑戦です。
高橋 シスコでは今後も、新しいマーケットをつくり出せるプロダクトサービスを提供していきます。そのなかで、当社にとって唯一の「ユーザーに見える製品」であるUC/VC領域はとくに重要です。例えばIoTに関連したものとして、人間のリアリティと既存ツールとの連携を行うといったプロダクトを用意しており、近くアナウンスができる見込みです。
「働き方改革」で活気づく日本のUC/VC市場に両社の思いを重ねて取り組んでいく
――最後に、SIerやリセラーに対するメッセージをお願いします。高橋 これまでのシスコは日本での訴求力がやや弱く、社内外の体制の都合などもあって、それをなかなか改善できずにいました。しかし今回、いよいよみなさまに販売いただける強力なアライアンスができたと思います。
ビデオ会議には過去に不幸な歴史があり、「設定が面倒」「頻繁に通信が途切れる」といったイメージが今もあり、敬遠されているところもあるでしょう。そういった古い時代のイメージを払拭していただくためにも、ぜひ触っていただきたい、使っていただきたいというのが、今回の協業の狙いでもあります。
シスコは、2020年の東京五輪のパートナーにもなりました。プリンストンの協力も得て、これから一層、日本市場に力を入れていきます。とくに近年、政府が推進する「働き方改革」もあって日本のUC/VC市場は活気づいており、新たに日本の家電メーカーや中国ベンダーなども参入してきています。われわれもさらなる市場拡大の一翼を担いたいと考えています。
中出 触っていただく、使っていただくというのは、まさにプリンストンの仕事です。社内もいろいろな意味で活気づいており、高橋さんには今回の協業をもちかけていただいて本当に感謝しています。いい意味でのプレッシャーをいただいたので、成果を出して応えていかねばなりません。
プリンストンとしては、今後も一貫してマルチベンダーVADの姿勢を貫いていきます。われわれの先にいるパートナーのみなさま、そしてユーザーのみなさまに対しては、付加価値をつけて最適な商材を提供していきます。そのなかで、シスコが提唱する新たな考え方や、新たなプロダクトサービスを提案していきたいと思います。
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