Special Issue
恩梯梯数据英特瑪軟件系統(上海) NTTデータ イントラマート 業種テンプレートで中国市場を攻略 内部統制、コンプライアンスで需要増
2016/12/15 19:54
週刊BCN 2016年12月12日vol.1657掲載
保険会社の案件を“横展開”
董事総経理
保険会社の業務プロセスでは、新規契約審査から保険金支払査定まで複雑な業務運用を強いられる。国によって制度も異なり、拠点別で使うシステムとの柔軟な連携が求められる。IM-BISを使うと、保険の種類に応じて振り分けられた部門のボトムアップで、部門別に発生するフローに応じシステムを組むことが可能だ。現在、この大手保険会社の近隣国の現地法人に同等のシステムを横展開し、全体として案件が大型化した。
大利董事総経理は、「保険会社だけでなく、同じ金融系の銀行やリース会社にも展開する」と意欲をみせる。大手保険会社の多くは、メインフレームのERPなどのうえにスクラッチでワークフローシステムを開発している。「基幹システムにデータを蓄積する以前のデータの精査が重要になる。内部統制上、ワークフロー上のデータと財務データなどが、正確にリンクしていなければならないためだ」(大利董事総経理)と、IM-BISは、内部統制の面でも威力を発揮すると説明する。
自動車部品でIoTのBPMを獲得
中国国内では保険会社に加え、自動車メーカーの調達部門からIoT(Internet of Things)に関連したBPM案件を獲得。自動車ディーラーや整備会社向けに提供する部品の調達や在庫管理、販売などの部品管理に関するアフターサービスを効率化するため、intra-martを使ったBPMシステムを導入した。「各部品にGPS(全地球測位システム)を付け、センサから出たデータを取得し蓄積する。どの部品をどういう経緯をたどり提供すれば、納期に正確に届けられるかを確立した」(大利董事総経理)。この案件はこれまでintra-martをオフショア開発で活用していた、IoTとビッグデータを分析するインフラを提供する中国系ベンダーと共同で提案した。自動車メーカーや関連メーカーに限らず、日系の製造業は中国市場の低迷を受けて苦戦を強いられている。このため、「収益を得るため、新しい発想でサービスをつくり差異化する必要がある」(大利董事総経理)と、こうした案件で同社のBPMシステムが受け入れられる可能性が高いとみている。現在、日系を問わず欧米の自動車を含めた大手製造業や関連メーカーは、NTTデータグループの中国現地法人や製造メーカー系の日系ベンダー、それらの業種が得意な中国ローカルのパートナーと共同で提案している。今後、注力領域を拡大するため「パートナーを意欲的に囲い込む」 (大利董事総経理)としている。
取引先とデータを共有する仕組みも
アジア・オセアニア地域での受注案件は、これまでに180社を超えた。半年から1年の開発案件は、年間20~30件が動いている。中国市場では今後、日系現地法人のSMB(中堅・中小企業)とローカル企業へのアプローチを強化する。日系向けには、内部統制とコンプライアンスに関連した案件を発掘する。大手企業で不正が相次ぎ、取引先との内容などを可視化する必要に迫られているとみている。商取引に関連する見積り、請求、顧客管理などを取引先と共有するため、「サプライヤポータルのような画面を公開し取引先とのやり取りを可視化するという要望が多く出ている。日系企業の脇の甘い部分を当社システムが担う」(大利董事総経理)と意欲を示す。
17年4月には、中国ローカル企業向けにクラウドサービスを提供する計画だ。中国国内にある既存のパブリッククラウドを使ったサービスで、価格要求の厳しいローカル企業を攻める。前述した企業案件にもとづくテンプレートは15種類以上になる。こうしたテンプレートを、クラウドで展開することも検討している。大利董事総経理は、「現地の力のあるパートナーに対して、intra-martをOEM提供することも視野に入れている」と明かす。
NTTデータ イントラマートは現在、中山義人社長が「パッケージカンパニーからソリューションカンパニーになる」ことを宣言し、業態変革を急いでいる。中国では、「日本で開発したintra-martをローカライズして提供するだけでなく、現地ローカル企業の使い勝手に即して提供していく」(大利董事総経理)と、パソコン環境に加え、中国で普及するスマートフォンなどモバイル環境などを意識したインターフェースの開発を検討している。
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