Special Issue
エンカレッジ・テクノロジ 分離ネットワーク間での安全なファイル受け渡しを実現
2016/12/08 15:49
週刊BCN 2016年12月05日vol.1656掲載
エンカレッジ・テクノロジのファイル無害化ソリューション「ESS FileGate(EFG)」が出荷開始となった。本ソリューションは、組織のLANをインターネットから分離した環境で、内外のファイルの受け渡しをセキュアに行うことができ、総務省の「自治体情報システム強靭性向上モデル」で示されたLGWANへはファイルを無害化して持ち込まなければならない要件を容易に実現できる。合わせて新たなパートナー制度も展開し、自治体市場でのプレゼンス強化を加速させている。
ファイル形式を問わず無害化が可能 ユーザーの利便性にも配慮
総務省では2017年上期をめどに、「自治体情報システム強靱性向上モデル」に対し、各自治体での対応を完了させるとしている。自治体のネットワークにおいては、LGWAN接続系のシステムをインターネット接続系から分離させ、両者の間で通信する場合には、ウイルスの感染のない無害化通信を図ることが求められる。EFGは、この無害化通信のなかでもファイルの無害化に特化したソリューションとして開発されたものだ。丸山良弘
EFGは、インターネット系とLGWAN系の間に中間サーバーとして配置するが、インターネット接続系の端末からは仮想的なプリンタとして位置づけられる。無害化を行う場合、アプリケーションの印刷機能を用いてEFGにデータ送信しPDF化を行う。PDF化の過程では、二度の画像変換が行われ、それぞれの段階で画像以外の情報が切り捨てられていくため、マクロや画像データ内に仕込まれたマルウェアなどは排除される。印刷機能を用いているので、印刷可能なデータ形式ならすべて対応が可能。Windows OSに加えLinux OSからの印刷要求にも対応しており、ネットワーク分離にLinuxベースの仮想デスクトップを採用した環境でも利用できる。
さらにEFGでは、日々の業務で運用されることを意識し、上長などの承認ワークフロー機能も搭載している。このワークフローはLGWAN側へファイルの持ち込みはもちろん、インターネット側への持ち出しにも対応するため、外からのマルウェア侵入のみならず、職員のミスや故意による情報流出リスク低減に役立つ点も大きな特徴だ。
丸山CTOは、「持ち込まれるファイルの無害化にはすでに誰もが注目しているが、ユーザーの業務を考えるとファイルの持ち出し時にも安全を担保したいというニーズも根強くあるはず。EFGではそこにも対応した。幅広いユーザーに、高いセキュリティと利便性を提供できる」ところに強みがあると考えている。
パートナー向けコミュニティ発足で自治体への提案をバックアップ
総務省が対応完了のめどとする17年上期まで残り半年あまり。これまで主に金融系の市場で事業を展開してきたエンカレッジ・テクノロジにとって、自治体市場に強いSIerへのEFG周知が急務となる。そこで同社では11月1日、EFGのベンダー向けコミュニティ制度「ESS FileGate Vender Community」(EFG-VC)を発足。EFGの詳細な資料や販売関連情報の提供やベータ版・デモ環境の提供などを開始した。丸山CTOは、「無害化ソリューションは全国自治体で一斉に導入が進められることもあり、数々のソリューションが出ているためSIerも選定に悩んでいると思う。まずは、より多くのSIerにその選択肢の一つとしてEFGの可能性を検討してもらいたいと考え、気軽に参加できるコミュニティを設けた」としている。
また、本プログラムは販売代理店契約とは別で、情報提供を主な目的としており、参加手続きも非常に簡単なものとなっている。丸山CTOは、「ベンダーコミュニティを通じて、まずはEFGについて詳しく知っていただきたい。そのうえで、今の自治体ユーザーの悩みに、EFGがどのように役立つかを考えていただきたい」と語る。さらなる拡販に向けてパートナーシップを強化していく構えだ。
- 1
関連記事
エンカレッジの証跡管理製品「ESS REC」、アイペット損保が採用し運用
エンカレッジ、「ESS FileGate」のコミュニティ制度