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OKIデータ ユーザーが「より買いやすく」、パートナーが「より売りやすい」販売形態 複合機のTCOをさらに削減する「消耗品バリューサービス」
2016/09/29 19:55
週刊BCN 2016年09月26日vol.1646掲載
飽和傾向が著しい複合機市場 LED方式を生かして付加価値戦略を展開
OKIデータは、SFP(Single Function Printer)やMFP(Multi function Printer)において、一貫してLED方式を採用している。この方式は、他社の多くが採用するレーザー方式に比べて駆動部が少なく構造がシンプルで、信頼性や耐久性、メンテナンス性にすぐれているほか、きょう体をコンパクトにできるといった特長をもつ。取締役国内営業本部長
「かつて当社のシェアは小さなものだったが、2008年にCOREFIDOを投入して以来、売り方の工夫によって商品および付帯サービスの魅力を皆様にご理解いただき、おかげで、売り上げを2倍近く伸ばすことに成功した。COREFIDOは、保守員がすぐに行けないような山間部やプレハブのような省スペースを必要とする場所にも設置できるが、これはまさに故障しづらく耐久性が高い当製品だからこそできるものだ」と栗本清・取締役国内営業本部長は強調する。
さらに同社では、2015年度には市場別ビジネスユニットを立ち上げ、一般オフィス向けのほか、流通、デザイン、医療の各市場にフォーカスした拡販を進めている。例えば流通向けでは、高精細な印字品質に加え、フラットペーパーパス(紙を水平に送り込んで水平のままプリントアウトする)LED方式ならではの長尺や厚手といった多彩な用紙対応を生かしたPOP印刷などを提案。以前から同社が得意としていたデザイン市場には、通常の4色(CMYK)に特色ホワイトまたは特色クリアーを加えた5色印刷に対応し、透明フィルムへの印刷なども可能な「MICROLINE VINCIシリーズ」を投入し、表現力の高いデザインサンプルを内製化できるといった魅力を訴求している。
また、印刷ボリュームの大きい医療市場においては、保守コストを抑えられるCOREFIDOのメリットを提案している。保守員対応の頻度が少なく済むことから、ユーザーにとってはダウンタイムや保守費用の抑制になり、しかもパートナーにとっても販売後の手離れがよくなる。この点から医療系システムベンダーやインテグレータに評価され、多くの医療機関での採用が進んでいるという。
COREFIDO3Sで新しい売り方を提案
閉鎖性の高いA3 MFP市場を切り開く
7月にOKIデータは、新たに複合機の導入コストと消耗品コストを削減する「消耗品バリューサービス」を提供する「COREFIDO3S(コアフィードスリーエス)」を発表した。このサービスは、対応機種の5年相当分の消耗品(トナーカートリッジおよびイメージドラム)をタイムリーに届けるサービスを付帯して販売するというもので、消耗品の数量はS/M/L/XLの4タイプのなかから想定印刷量に応じて選べるようになっている。 COREFIDO3Sの対応機種となっているのは、A3カラーMFPの「MC883dnwvバリューSタイプ」「MC883dnwvバリューMタイプ」「MC883dnwvバリューLタイプ」「MC883dnwvバリューXLタイプ」の4モデルだ。同社の森孝廣・国内営業本部副本部長は次のように説明する。
国内営業本部副本部長
MFPといえば、カウンターチャージ方式が当然のようになっていた商材だ。すなわち、ユーザーにとっては、製品本体の価格に加え、月間の印刷枚数に応じた料金を支払う形態だ。だが、これではTCOがみえにくいという課題があった。
MFPは頻繁にトラブルが生じるうえ、機器が複雑であるため、保守員を呼んでのメンテナンスが一般的だが、この課題はすでにCOREFIDO3で大幅に削減され、今回のCOREFIDO3Sでは、さらにカウンターチャージをなくすことになり、TCOが明瞭になるというメリットをもたらす。
森副本部長は、「COREFIDO3Sに別途リース※を組んでいただければ、月額一定額で利用し続けることも可能となる。消耗品の発注も、トナー切れやドラムの寿命が近づくと機器が自動的に申込書を印刷してくれるため、それに記入して送付していただくだけでよい。消耗品代を都度支払う必要がないため、社内の調達プロセスを経ることもなく、まったく手間がかからない。多数のMFPを使う大手企業では管理するだけでも大変だが、COREFIDO3Sなら事務負担軽減だけでも大きなものとなるはずだ」と説明する。
なお、COREFIDO3Sでは、消耗品はOKIデータが直接ユーザーに送付する形態を取る。販売パートナーにとっては、いちいち消耗品の販売を行う必要がなく、最初に一括で売り上げを計上できるため、手離れが非常によい販売形態だ。森副本部長は、「価格競争の挙句、販売パートナーにとってまったく旨味のなくなったカウンターチャージ方式と比べ、とても売りやすくなった」とアピールする。
また、OKIデータではS/M/L/XLのタイプを選定する手助けになるよう、販売店向けの資料およびユーザー向けのウェブサイトで価格シミュレーションツールも提供している。また、A3カラーMFPのMC883dnw/dnwvは、同社の特定のA3カラーSFPと印刷エンジンの共通度が高く、消耗品を共有することもできるため、両方を利用するユーザーにとっては思わぬメリットになる。
※OKIデータはリースサービスを提供していないため、希望の際は顧客にてリース会社と契約する
販売店やユーザーからも好感触
特に販売店には「守りやすい商材」
同社によると、消耗品バリューサービスは販売パートナーにもユーザーにも好評とのことだ。例えば、新規に取り扱いを打診した販社14社のうち、なんと13社がCOREFIDO3Sを取り扱う意向を示したという高打率だ。価格シミュレーションを用いたユーザーへの調査でも、かなりの好感度が得られているという。 「教育機関、医療機関、自治体などのユーザーでは、月によって消耗品費や保守費が突出するような不確定要素がなく、年次予算で決めることができるとして好評だ。そのせいか、入札案件でも意外なほど落札できている。またパートナーにとっては、例えば数千万円や億単位の案件を中心とするところではトナーカートリッジなど小さな商材は『安くて』『面倒で』『儲からない』というイメージがあるが、当社の場合はそうではない。その点でも評価をいただいている」(栗本本部長)。
消耗品バリューサービスはカウンターチャージ方式のように御用聞きを兼ねて毎月の訪問が行いやすい形態ではないが、販売店もサービスで提供される消耗品の残りを把握できるため、使い切る頃を見計らって更新の提案もでき、「守りやすい商材」との評価もあるという。
「もちろん、消耗品バリューサービスがすべてのパートナーやユーザーに適応するとは考えていないが、選択肢の一つとして、しっかりした商品を手頃な費用感で利用できるかたちで販売することには大きな意味があると考えている。また、今後はPC系の販売店に消耗品バリューサービスで新たにMFPを売っていただきたいとも考えており、それを想定した販売マニュアル拡充などに取り組んでいく」と、森副本部長は今後への意欲を示している。
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