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自治体向けソリューション特集 エンカレッジ・テクノロジ 金融市場の“強者”が自治体市場に本格参入!ファイル無害化「ESS FileGate」を提供へ
2016/09/29 19:54
週刊BCN 2016年09月26日vol.1646掲載
最適なソリューションが存在しない 蓄積した技術の応用で開発を決断
強靭性向上モデルでは、自治体の情報システムにおけるサイバー攻撃への抜本的対策として、インターネット接続が可能なネットワークとLGWANを接続するネットワークを分離して、LGWAN内のシステムの安全性を高めることになっている。マイナンバーを使った自治体間や政府との情報連携が始まる2017年7月までに、すべての自治体に対応が迫られている。そのため、各自治体ではインターネット接続環境からメールやインターネットを経由して取得したファイルを、マルウェアなどに感染されていない無害化の状態でLGWANに持ち込まなければならない。
代表取締役専務兼CTO
そこで、セキュリティ関連に厳しい金融市場で大手銀行を中心に事業を展開しているエンカレッジ・テクノロジでは、システム運用の統制基盤を提供するソリューション「ESS SmartIT Operation」をはじめ、金融機関向けに提供している製品・サービスのノウハウを生かしてESS FileGateを開発した。丸山良弘・代表取締役専務兼CTOは、「実際に、ある自治体さんから最適なソリューションを探しているとの話を聞いた。これまで当社が提供してきた技術を応用すれば開発できると判断した。多くの自治体がファイル無害化の実現に悩んでいるとの判断で開発が実現した」と話す。
「簡単に使える」がコンセプト SIerとの協業で全国に広める
ファイル無害化に最適なソリューションが存在しないということで開発したESS FileGateの強みはこうだ。まず、文書の内容を二重で画像化処理する方法で無害化処理を行うため、マルウェアに感染したファイルを確実に無害化することが可能という。丸山CTOは、「これによって、強靭性向上モデルに完全対応している」と強調する。
次に、文書の印刷機能を使用することからWordやExcelなどのオフィス文書、CADソフトや画像編集ソフトによるデータなど、印刷が可能な文書であればファイル形式を問わずに無害化する。「(職員など)使う側にとっては、印刷機能をクリックする感覚で簡単に無害化が実現できる」という。
また、Windows OSのクライアント端末からだけでなく、Linuxを含めたVDI(仮想デスクトップ環境)上からの無害化処理にも対応している。「自治体では、OSとしてWindowsだけでなくLinuxを選択する傾向がある。一方で、Windowsのみに対応している無害化ソリューションが多いため、自治体のニーズに応えた」と丸山CTOは説明する。
インターネット接続環境とLGWAN環境のゲートウェイとして設置することで、紛失リスクの高いUSBメモリなどの可搬型記憶媒体も不要だ。ファイルの持ち込みの際に上長承認のプロセスを徹底するワークフロー機能が同梱されるほか、文書の無害化によるLGWANへの持ち込みだけでなく、LGWAN側からインターネット接続側へのファイルの持ち出しについても対応している。さらに、月額4万円からという価格設定も魅力だ。※1
エンカレッジ・テクノロジは、これまで金融市場でのビジネスが中心だっただけに、パートナーシップを組むベンダーが少ないといえる。そのため、強靭性向上モデルをテーマにビジネスを拡大しようとしているSIerにとっては、ESS FileGateを提案材料として自治体へアプローチすることで、他社との差異化につながる可能性が高い。
丸山CTOは、「ESS FileGateを全国に広めていく。そのために地方の有力なSIerの方々とパートナーシップを組んで積極的に拡販していきたい」と意欲を示す。自治体市場で、エンカレッジ・テクノロジがどのような存在になるのか。注目が集まる。
※1 人口3万人未満の自治体の場合の価格。最小契約期間1年から
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