Special Issue
EMCジャパン 「EMC Business Partner Award 2016」を開催 授与式でパートナー社を称える
2016/06/02 19:55
週刊BCN 2016年05月30日vol.1630掲載
EMCのストレージビジネスに
大きく貢献したパートナーを表彰
EMC Business Partner Award 2016の総合部門でPartner of The Year 2016に輝いたのは、伊藤忠テクノソリューションズ。4年連続受賞の同社は、前年を上回る高い取引額を達成し、EMC製品の国内シェア拡大に大きく寄与した。とくに、オールフラッシュアレイ「XtremIO」は構築サービスも提供して2ケタ増、スケールアウトNAS「Isilon」も150%を達成。製品ポートフォリオの拡充と強化を図った。16年は、クラウド管理サービス「Virtustream」との基幹系に特化したクラウドサービス「CUVICmc2」の提供開始で、さらなる活躍が期待される。ビジネスリーダーシップ部門は、新日鉄住金ソリューションズが「フラッシュ賞」、IDCフロンティアとNTTコミュニケーションズが「クラウドサービスプロバイダー賞」をそれぞれ受賞した。
新日鉄住金ソリューションズは、XtremIOの大型SI案件の獲得や、国内クラウドサービスプロバイダとして自社のIaaS「absonne」やDaaS「M3DaaS」のストレージ基盤に、XtremIOをいち早く採用した。IDCフロンティアは、自社の「IDCFクラウド」にXtremIOをサービス基盤として国内で初採用。西日本リージョンと東日本リージョンで、XtremIOを利用したパブリッククラウドサービスをリリースした。NTTコミュニケーションズは、16年は営業面、コンサルティングサービス、新規サービス開発面など、多面的な強化に取り組む計画だ。
ソリューション部門は、「DPS賞」に日本ビジネスシステムズ、「Isilon賞」にNEC、「ニューテクノロジー賞」にネットワンシステムズが選出された。日本ビジネスシステムズは、15年のデータプロテクションソリューションビジネスで最も高い成長率を達成。2年連続で前年比5倍以上の成長を維持した。また、15年に開始したバックアップ/アーカイブソリューションの「Data Domain」ビジネスで、最新・最上位モデルを日本で初受注するなど大躍進した。NECは、技術力、大規模プロジェクト管理、厳しい品質基準などで強みを生かして4年越しにIsilonで大型案件を受注し、前年比194%と大幅に伸張させた。ネットワンシステムズは、次世代DC構築に向けた新たなソリューションの開拓に積極的に取り組んだこと、SDS「ScaleIO」で国内1号案件を獲得したことが評価された。
特別分野部門では、「インプリサービス品質賞」に新日鉄住金ソリューションズ、「保守サービス賞」にNEC、「オーソライズドリセラー賞」に富士通エフサス、「RSA賞」にテクマトリックス、「Pivotal賞」に東京エレクトロン デバイス、「SMB賞」にネットワールド、「ベストグロース賞」にノックスと、合計7社が選出された。新日鉄住金ソリューションズは、サービス品質の維持、向上に積極的に取り組み、顧客から高い評価を獲得したほか、新製品のサービス化にもいち早く対応してビジネス拡大に貢献した。NECは、新製品を含めたEMC製品ポートフォリオの拡充、自営保守化を推進してEMC製品をサービスとともに積極的に展開。サービスの品質向上にも貢献した。富士通エフサスは、15年のオーソライズドリセラーでNo.1の実績を達成。マルチベンダー・ワンストップサービスにIsilonやユニファイド・ストレージ「VNX」を組み込んで拡販に貢献した。テクマトリックスは、15年にセキュリティ関連製品の「RSA Security Analytics」「RSA Archer」で大型案件を獲得し、それぞれのソリューションで前年比2倍以上の売り上げを達成した。東京エレクトロン デバイスは独自のマーケティング活動に力を入れ、Hadoopディストリビューション「Pivotal HD」やDBエンジン 「HAWQ」とIsilonを組み合わせた大規模案件などで多くの受注を果たした。ネットワールドは、SMB市場を主なターゲットとして、新規案件の獲得件数で1500件、前年比27%増、出荷台数400台以上と、大幅な伸長を記録した。ノックスは、15年の総取引額が前年比250%、インクリメンタルビジネスが前年比255%という高い成長を達成。とくに、データプロテクションビジネスで国内No.1の取引額を記録した。
受賞者からは、「EMCから次々に登場する新製品に、いち早くキャッチアップして、マーケットやお客様にお届けしていきたい」(伊藤忠テクノソリューションズの西崎学・ITサービス事業グループ製品・保守事業推進本部長)、「XtremIOの採用で想像以上のパフォーマンスを得ることができた。サービスの性能面にはこだわりたいと考えており、今後もEMCジャパンに大いに期待している」(IDCフロンティアの石田誠司社長)、「自社のシステムに採用している、ハイパーコンバージドインフラストラクチャアプライアンス『VSPEX BLUE』で大幅な業務効率化を実証した。後継の『VCE VxRail』に近くアップグレードする予定で、さらなるパフォーマンス向上を期待している。VxRailはSMBのクラウドになる」(ネットワールドの森田晶一社長)など、受賞の喜びとともにEMC製品への賞賛のコメントが寄せられ、さらなる拡販に向けた強い意気込みが語られた。
ソフトウェアドリブン時代に向けパートナーとのエコシステムを推進
EMCジャパン
執行役員
パートナー営業本部長
冒頭、渡部執行役員は15年の実績について「昨年は前年比で2ケタ成長し、当社が目指すプラットフォーム2.0とプラットフォーム3.0の推進に向けて大きく前進した。パートナーの方々の尽力に感謝している」と述べた。製品については、「ユニファイドストレージも、RSAも、Data Domainも着実に伸びた。とくにIsilonは最も成長し、過去2年間で2倍になった。また、XtremIOはグローバルで急速に伸びて、日本でも大きく成長し始めた」と語った。そしてパートナー各社の成功事例を紹介し、「お客様の課題を一緒になって解決するとともに、エコシステムを強力に推進していく」と強調した。
次いで渡部執行役員は、「2020年のデジタル社会」を示した。具体的には、70億の人口、300億のデバイス、44ゼタバイトのデータが存在する社会になると、ソフトウェアドリブン(ソフトウェア主導)のシステムに移行していくことを説明したうえで、「多くの産業が構造的な変化に直面することになるが、ソフトウェアドリブンで、新しいビジネスモデル、新しいマーケットをつくっていかなければならない。当社には、そうした時代の課題解決の方法がある。従来のような製品単体ではなく、パートナーの方々とソリューションをともに考えて販売していきたい」と述べた。
16年のテーマとしてEMCが掲げているのが、「Modernize(モダナイズ)」「オールフラッシュ」「コンバージドプラットフォーム」、そして「ハイブリッドクラウド」である。「これらをベースに、皆様とともに新しいビジネスをつくっていくためにも、われわれも変わっていく。新しい製品がどのソリューションにどういう役割を果たすのかといったアプローチをさせていただき、皆様のビジネスに貢献していく」とした。
最後に、渡部執行役員は三つのアプローチとして「お客様のビジネスアウトカムに貢献し得るパートナー様との価値提案の強化」「パートナー様とのエンタープライズに加え、ミッドマーケットでの新たなお客様の獲得」「パートナー様と共同でのお客様の需要喚起」を挙げ、ともに取り組んでいくと力を込めた。
「EMC Partner of The Year」を4年連続受賞
新サービスを通じてさらなる関係強化が進む
──「EMC Partner of The Year 2016」の受賞、おめでとうございます。4年連続の受賞になりました。伊藤忠テクノソリューションズ
取締役兼常務執行役員
ITサービス事業グループ
担当役員兼CTO
大久保 4年連続でこの賞をいただいたことを非常に誇りに思います。4年間、EMC様にご協力いただきながら、さまざまなアプローチを思考し、ビジネス拡大を目指しました。
過去を振り返ると、当初はハイエンドストレージの「VMAX」で大手企業に食い込み、2年目からはVNXでシスコ製品との組み合わせでシェアを拡大していきました。昨年は、Isilonに注力しました。市場は常に変化していますし、われわれも実績に安住せず、変化に機敏に対応していかなければならないと思っています。
──15年の市場の傾向と取り組まれた施策を教えてください。
大久保 ビッグデータやIoTが注目され、クラウド化といわれる一方で、オンプレミスのニーズも根強い。ビッグデータやIoTは、自社でデータを長期に渡って蓄積することが必要になるためです。
一方、SDSの波が確実に到来しようとしています。そこでSDS技術を使用して、お客様の要望に応じたストレージを柔軟に構成できるストレージシステム「Custom Order Storage」の提供を昨年11月に開始しました。当社のシステム構築におけるノウハウと、総合検証センターの「Technical Solution Center」を活用し、ご要望に最適なストレージ環境を構築します。そこに、ScaleIOが大きく貢献してくれるでしょう。
IoTの時代、予測を超える膨大なデータがストレージに蓄積される。それをスケールアップで対応するのは効率的ではなく、ソフトウェアでの制御が必須になるでしょう。実際、当社はSDSを活用してストレージ環境のスケールアウトを実現する案件もすでに手がけています。
また、企業の基幹系システムでフラッシュ製品の採用例が急速に増えています。そのニーズに応えるため、マルチベンダーのフラッシュストレージを検証する「Flash Storage LAB」を昨年12月1日に立ち上げました。
──今後、EMCとの協業にどのようなことを期待されますか。
大久保 製品では、超高速フラッシュアプライアンス「DSSD D5」に期待しています。CPUの近くにデータを配置しつつ、共有ストレージのメリットを享受できるため、ハイパフォーマンスコンピューティングを必要とする分野で、高いリアルタイム性が提供できます。
協業で大いに期待しているのは、当社とEMCの子会社であるVirtustream、SAPの3社の提携で4月に開始した基幹系特化型クラウドサービスのCUVICmc2です。これは、基幹システムのクラウド移行を検討されるお客様を対象として、Virtustreamの技術と、当社のデータセンターおよびグループの総合力を生かして、トータルサービスを提供するものです。また、パフォーマンスに対する性能保証、高セキュリティ、そしてコンピューティングリソースの実使用量をベースとした従量課金も実現しています。
こうした取り組みを通じ、EMCとの関係をさらに強固なものとして、当社が提供する価値をさらに高めていきたいと考えています。
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