Special Issue
クラウディアン ディープラーニングとオブジェクトストレージによる 新たな可能性 リアルタイムターゲティング広告に向けプロジェクト発足
2016/06/02 19:55
週刊BCN 2016年05月30日vol.1630掲載
屋外広告に新たな価値を生む
ディープラーニング
これまでのデジタルサイネージによる屋外広告は、ターゲティング広告が困難だったといわざるを得ない。そこで、OOHプロジェクトではディープラーニングによるAI(人工知能)とIoT(Internet of Things)が集める膨大な画像情報と属性情報、高速にビッグデータを保存・分析するソフトウェア技術とハードウェアを最適に組み合わせて活用して、屋外でのターゲティング広告の実用化を目指すことになった。プロジェクトの参加企業は、クラウディアンをはじめ、電通、スマートインサイト、Quanta Cloud Technology Japanの4社だ。 電通がディープラーニングを活用した屋外広告の企画・販売、媒体の開発、クラウディアンがディープラーニングを活用したシステムの開発とオブジェクトストレージ「CLOUDIAN HyperStore」の提供、スマートインサイトがデータ統合&ディスカバリ製品「Mμgen」の提供と屋外広告最適化のための分析支援、Quanta Cloud Technology Japanがディープラーニング用高性能サーバーなどを提供する。また、インテルがディープラーニングをCPU上で高速演算するための次世代高速ベクター処理技術で協力する。
代表取締役
CEO
「これまで屋外広告は『マス』に向けて事前に決めたスケジュールに従って流しているだけだった。そこにディープラーニングを加えることで『ターゲティング』が可能となり、広告価値を判断できるようになるなど、新たな価値を生み出すことができる」と太田代表取締役はメリットを強調する。
IoT時代のデータ活用基盤に
不可欠なオブジェクトストレージ
ディープラーニングの教師データに必要となる、IoTが集める映像をはじめとしたセンサ情報と属性情報は、従来のRDBMSが扱うデータとは異なる「非構造化データ」で、膨大な量だ。このビッグデータを保存し、ディープラーニングの学習や分析のための環境構築に最適なのが、オブジェクトストレージとなる。 R&D
プリンシパル
ソフトウェア
エンジニア
「IoT、ビッグデータの活用基盤において企業が扱うデータが画像、音声、ウェブコンテンツなど大量の非構造化データが主流となってハイブリッド化が進んでいるなか、効率の高い分析を行ううえでオブジェクトストレージの果たす役割は大きい。ディープラーニングによる認識・判別と属性情報を連携することによって、さらに分析効率を高めることが可能となる」と佐藤剛宣・R&Dプリンシパルソフトウェアエンジニアは説明する。
クラウディアンは、オブジェクトストレージのスペシャリストであり、製品は国内外のサービスプロバイダのクラウドストレージサービスをはじめ、大手企業のストレージ基盤として数多く採用されている。
交通量や消費者の行動分析など
幅広い展開を計画
プロジェクトでは、デジタルサイネージへの広告配信だけでなく、さらなる活用を目指す。その一つが交通量調査だ。時間帯別・車種別交通量や走行速度も自動計測して、数値化することが可能になるため、人手による計測データとは異なり、長期間にわたり正確な交通量の把握ができるようになる。「自治体や企業の出店計画など、交通量調査の需要は少なくない。そうしたニーズにも応えれば、ディープラーニングでストレージの新たなビジネスを提案できる」と太田代表取締役は語る。今後は、自動車のターゲティング広告とショッピングモールや観光地での行動アトリビュート連動や、人(消費者)の行動分析などについての実証実験も計画している。 蓄積した膨大な映像データなどは、現場から生のデータをそのままデータセンターに送り続けて分析するにはあまりにネットワーク負荷が大き過ぎる。そこで、クラウディアンでは現場でデータをディープラーニングなどでリアルタイムに認識・判別・分類(スマートデータ化)して、利用し易いデータに加工する「エッジ」での処理が進むと捉えている。
「エッジ処理を含めた分析モデルをソリューション化して提供することを模索している。さらに、グローバル展開も進めていきたい」と太田代表取締役は意欲を示している。
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