Special Issue
PTCジャパン パートナーと組んで新領域の開拓へ 「ThingWorx」を核にトータルソリューションを提供
2016/03/10 19:55
週刊BCN 2016年03月07日vol.1619掲載
IoT分野に積極的に投資
テクノロジープラット
フォーム事業部
事業部長
PTCがIoT分野に本格的に進出したきっかけが、2013年12月に買収した「ThingWorx(シングワークス)」。IoT向けアプリケーション開発・運用のプラットフォームThingWorxを中核に据えて戦略を拡張し、製造業に向けたスマート製品の開発やサービスで競争力を強化。さらに、これまでPTCの顧客ではなかった非製造業に向けてIoT関連のソリューションを積極的に展開していく基盤が整った。
14年8月には、ネット接続したデバイスのモニタリングを可能にするクラウドサービスを手がける「Axeda(アクシーダ)」を買収。15年5月には、自動予測分析プラットフォームNeuronをもつColdlight(コールドライト、現製品名は ThingWorx Machine Learning)を買収。さらに、15年11月にはクアルコムの子会社からVuforia事業を買収して、拡張現実(AR)プラットフォームを手に入れた。これら製品を軸に、CADやPLMといった既存製品やサービスを組み合わせ、幅広いIoTソリューションの提供を進めている。
「非製造業に向けたIoTソリューションの提供には、それぞれの分野に強いパートナーと組むことが不可欠。そこでIoTソリューション分野を別カンパニー化し、パートナーとのエコシステム構築を進めている。現在、世界で800人がIoT分野に従事し、一連の買収を含めIoT技術に7億ドル以上を投資している。以前は、CADやPLMが売上高の大半を占めていたが、現在はIoT事業が急速に伸びている」とPTCジャパンの山口達也・テクノロジープラットフォーム事業部事業部長は語る。
必要な要素を単一基盤で提供
IoTアプリ開発ではスピードが重要だ。せっかく魅力的なビジネスモデルを思いついても、アプリ開発に何か月もかけていては好機を逃す。その点、ThingWorxはノンプログラミングによる開発効率の高さが大きな特徴となっている。ライブラリに必要な要素が揃うため、操作はドラッグ&ドロップで済む。また、画面作成やデータ連携用のサードパーティアプリが利用できるIoT業界初のマーケットプレイスも立ち上げた。山口事業部長は、「ThingWorxの利用で、開発スピードが10倍となって、開発コストを大幅削減できたというケースもある」という。IoTで収集された膨大なデータは、そのままでは製品やビジネスの改善につながらない。データの意味を「Analytics(分析)」し、どうすべきかを判断できるようにするのがThingWorx Machine Learningだ。さらに、これまで一般消費者やエンタテインメントでの活用が多かったARをPTCの既存ソリューションと組み合わせることで、エンタープライズでの活用も進めていく。Vuforia とPTC Creo、PTC Windchill を組み合わせることで、デジタルとリアルを融合したソリューションが提供できる。例えば、設計面と現実の製品との整合性をとったり、保守作業をオーバーレイ表示して指示したりといったことが可能となる。
「IoTアプリの開発、データ解析、ARを用いたサービスまでを単一のプラットフォームで一気通貫で実現できる唯一のベンダーがPTC」と山口事業部長は強調する。
パートナー開拓を強く推進
現在、PTCではスマートコネクテッドをベースに「プロダクト(デバイスの運用解析やリモートサービス)」「オペレーション(スマートファクトリー)」「システム(スマートシティなど)」という三つのIoTソリューションを展開している。グローバルの販売比率はプロダクトが6割だが、日本ではオペレーションが6割を占める。山口事業部長は、「海外工場の実態を把握したいというニーズに加え、昨年のGEやボッシュとの提携の影響が大きい」と話し、次のように続ける。「今後、有望なのはスマートシティやスマートファームなどシステムの分野。この領域は自治体や通信、流通など、われわれが未知の領域であるため、強みをもつSIerなどのパートナーの方々と組みたい。通常のリセラープログラムのほか、自社ソリューションへの組み込みやOEM提供、技術パートナーなど、各種プログラムを用意しているので、ぜひ活用してほしい」と呼びかける。
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