Special Issue

<プリンタメーカー座談会 2016>「課題解決のためのプリンタ」が求められる時代に

2016/02/25 19:56

週刊BCN 2016年02月22日vol.1617掲載

石田 複合機ではプリントチャージ管理の必要もあり、認証の仕組みが搭載されていますが、今後はプリンタでも需要が高まると考えています。これまでの業務用プリンタは、帳票を必要な場所へ、とにかく速く出力することが求められていましたが、マイナンバー制度の導入もあり、今後はプリント作業や文書管理のセキュリティを高めるソリューションが求められるのではないでしょうか。

──パートナー戦略、求めるパートナー像についてはどのように描かれていますか。

沢田 パートナー戦略というと、ともすると「いかに効率的に販売するか」という視点になりがちですが、最も重要なのは、パートナー様の先にいるお客様にいかに価値を提供するかという視点です。お客様視点でいうと、プリンタ以外にも会議室にはプロジェクター、店舗にはネットワークカメラなど、必要とされているものは多いので、パートナー様がお客様と点ではなく面でおつき合いできるよう、ソリューションの幅を広げていきます。

北村 パートナー様にはお得感を訴求するだけでなく、インクジェットのよさや特徴をお客様にお伝えいただきたいと考えています。「インクジェットは印刷がにじむのではないか」と思っていらっしゃるお客様も多いのですが、例えば「マーカーを引いても大丈夫ですよ」とご説明いただく。ただ、お客様のニーズにお応えすることが第一ですので、インクジェット一辺倒ではなく、ご提案いただく製品は、レーザープリンタなど課題に対して最適なものを提案いただきたいと思います。

石田 “プリンタ発”で考えるのではなく、お客様の業務視点で、必要とされるソリューションのなかにプリンタが入っている、そういう考え方で提案をしていかないといけない。自社で提供できるソリューションの範囲は少ないので、コラボレーターとしてのパートナー様のソリューションと合わせて提案をしていくことで、価値を認めてくれると思っています。

大澤 メーカーが拾いきれない、お客様の課題や要望をピックアップしていただけるパートナー様との協業が不可欠です。先ほど、免税販売用システムのお話がありましたが、あのように急速に需要が盛り上がる領域があるなか、プリンタメーカーとして具体的に何をするのか。例えば、プリンタのカスタム対応では接続性や用紙対応などでいろいろな課題がありますが、当社とパートナー様で一緒になって解決していける形を目指しています。

大容量インクや長期保証で変わるプリンタビジネス

──ここからはフリートークの時間として、各社お互いに気になる製品や施策などについて意見交換ができればと思います。

大澤 昨年もこの場で、大容量タンク搭載のインクジェットプリンタについて北村さんにお聞きしたのですが、今年ついに「エコタンク」という形で国内でも商品化されました。ターゲット層はどのようにお考えでしょうか。

北村 エコタンク搭載のモノクロ機では、SOHO向けにA4レーザーの置き換えや、省スペースを求める業種・業務ユーザーを取り込もうとしています。コンシューマ向け製品では、われわれはもともと写真高画質の追求に力を入れていましたが、エコタンク搭載のカラー機ではカートリッジ交換を気にせずたくさん印刷したいというニーズにお応えするもので、自宅に仕事をもち帰ってされるお客様や、お子様の勉強用教材といったドキュメントを多く出力されるお客様を想定しています。

 キヤノンMJさんは、「MAXIFY」発売以降、レーザープリンタ事業への影響はいかがですか。

沢田 お客様からみれば、レーザーかインクジェットかは関係なく、ニーズに合った出力機器を安価に導入できればよい訳です。インクジェットでもビジネス向けのブランドを立ち上げたことで、レーザーとインクジェットを並べてプロモーションするなど、お客様やパートナー様とのコミュニケーション機会が広がったことはメリットだと考え、お互いの価値が最大化する取り組みを心がけています。

石田 皆さんにお聞きしたいのですが、今プリンタ業界では5年といった長期で修理や保守部品を無償提供する動きがありますよね。われわれの考え方としては、今のところ追随する計画はないのですが、どうお考えですか。

沢田 われわれも基本的にリコージャパンさんと同じ考えですね。しかし、純正トナーの使用が長期保証の条件となることで、純正品使用率が向上するというメリットには注目しています。機器を販売されたパートナー様が、それにひもづく形で消耗品も売っていただけないと、パートナー様のビジネスメリットも生まれないですからね。

大澤 われわれは常に逆手をとるやり方なので(笑)、「ジャスティオ プロ」に5年保証を付けさせていただいています。量販店主体の商流で法人市場に入っていく一つの方法として、また、お客様と長くおつき合いする継続性の部分での施策として行っています。もちろん、お客様によって保守に求められる内容も異なりますので、一律につけるのがよいのかという議論はありますが、法人市場に食い込むための一つのステップにはなったと考えています。

業種・業務の攻略推進と、地道な販促活動がテーマ


キヤノンマーケティングジャパン
沢田泰一
ビジネスソリューションカンパニー
オフィスデバイス企画本部
ページプリンタ企画部
部長

ページプリンタ「Satera」ブランドのマーケティングを担当。




MAXIFY MB5330
 モノクロ 約23ipm、カラー 約15ipm
 用紙サイズ:最大A4
 価格情報:オープン価格
製品訴求ポイント
(1)同時両面スキャン対応高速コピー
(2)大容量インクタンクで低ランニン グコストを実現
(3)2段カセットによる普通紙最大  500枚の大容量給紙
(4)無線LAN/有線LAN対応


Satera LBP9950Ci
モノクロ 55枚/分、カラー 51枚/分
 用紙サイズ:最大A3
 価格情報:46万8000円
 (標準価格、税別)
製品訴求ポイント
(1)カラー 51枚/分の高速プリント
(2)本体耐久200万ページの高耐久
(3)カラー8.8円、モノクロ2.0円の低ラン コス
(4)ファーストプリント約4.9秒
 (A4モノクロ)

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外部リンク

エプソン販売=http://www.epson.jp/

キヤノンマーケティングジャパン=http://canon.jp/

ブラザー販売=http://www.brother.co.jp/

リコージャパン=http://www.ricoh.co.jp/