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<BCN AWARD 2016 特集>シュナイダーエレクトリック 豊富なラインアップでトップを獲得 サービス時代だからこそUPSが注目の的に

2016/02/04 19:55

週刊BCN 2016年02月01日vol.1614掲載

 「BCN AWARD 2016」UPS部門で43.0%とメーカー別販売台数で圧倒的なシェアを獲得して最優秀賞に輝いたシュナイダーエレクトリック。UPS(無停電電源装置)の世界的なトップベンダーというブランドと、個人/法人を問わず顧客ニーズに応える豊富な製品ラインアップによって確固たる地位を築いている。クラウドサービスの台頭によって、重要なデータをオンプレミスに保存するようになり、UPSがますますフォーカスされているなか、同社はどのような戦略を立てているのか。神谷誠・戦略・事業開発本部ビジネスデベロップメントマネージャーに、高いシェアを確保できる秘訣と今後の取り組みについて聞いた。

UPSで個人向けと法人向けのラインアップが充実しているほか、世界初のモバイルバッテリも揃えている

ほぼすべての製品で正弦波に対応 UPSの利便性を伝える取り組みも

戦略・事業開発本部
ビジネスデベロップメント
マネージャー
神谷 誠 氏
 「2014年、お客様から機能が足りないという声があった」と神谷マネージャーは振り返る。そのため、UPS部門で独走態勢に入っていたにもかかわらず、「BCN AWARD 2015」では最優秀賞を獲得することができなかった。15年、シュナイダーエレクトリックは改めて顧客の声に応えるという原点に戻る。最も要望の多かった正弦波出力にエントリーモデルでも対応した。これによって、シュナイダーエレクトリック製UPSへの買い替えを促した。

 また、新規顧客の開拓に向けて取り組んだのはECとパートナー支援の強化だ。神谷マネージャーは「取引先のECサイトではランディングページをわかりやすくし、当社のホームページで製品を検索しやすくした」という。これにより、UPSに関する知識が低かったユーザーを獲得できるようになった。また、家電量販店の店頭では、夏など雷の多い季節に省スペースの小型UPSのデモなどを実施した。

 さらに、販売パートナーのイベントなどに積極的に参加し、NASや医療機器などサーバーだけではない製品と組み合わせた新しいソリューションを提案し、SMB(中堅・中小企業)や病院などへの導入を促進した。加えて、地方を中心にプライベートセミナーを実施し、PDU(電源タップ)やラック、空調製品などシュナイダーエレクトリックの製品で実現するソリューションの提案を行い、新規ユーザーの開拓につなげた。

 神谷マネージャーは、「顧客満足度の向上に力を注いだことが功を奏した」とかみ締める。これによって、15年はBCNランキングのメーカー別販売台数シェアで43.0%と、2位との差を10ポイント以上をつけてトップシェアを獲得したのだ。

重要なデータを失わない提案へ モバイルバッテリで新分野への参入も

 UPS市場でリーダーシップの地位を築いているシュナイダーエレクトリックが16年に取り組むのは、「重要なデータを失わないようにする」(神谷マネージャー)ことだ。とくに法人市場では、クラウドサービスを利用する企業が増えている一方、オンプレミスも継続して構築するというハイブリッド環境が主流になりつつある。

 「クラウドサービスが台頭したことで、オンプレミスには重要なデータを社内で保管しておくというケースが多くなっている。オンプレミスのデータを失わないよう、UPSを導入するニーズが高まっている」と神谷マネージャーは説明する。SIerやディストリビュータにとっては、サーバーなどとUPSを連携させたソリューションでの提供が、システム案件を獲得することになるというわけだ。神谷マネージャーは、「販売パートナーがビジネスを拡大できるよう、昨年に引き続き支援を強化していく」との方針を示す。

 また、シュナイダーエレクトリックでは新たな分野にも進出している。それが、世界初のネットワークバッテリバックアップ+モバイル電源パック「BGE50ML-JP」だ。自宅ではネットワーク機器向けUPS、外出時にはモバイルバッテリとして利用できるという一台二役をこなす製品だ。「家庭用UPSの新しいかたちを提案している」と神谷マネージャーはいう。今後は、IoTに代表されるように、さまざまな機器がネットワークにつながるようになり、法人での利用も増える可能性を秘めている。

 UPSを中心に、今では新しい分野にも参入したシュナイダーエレクトリック。他社に先駆けた取り組みで市場をさらにリードしていく。

UPS部門
メーカー別販売台数シェア



Analyst Comment

 ルータやNASなど、家庭内のネットワーク接続機器の増加に伴い、端末を電気トラブルから保護するUPSの需要は高まっている。最新家電に対応する正弦波出力モデルの増加や本体の小型化も導入を後押し。IoT時代のセーフティネットとして注目を集めている。(BCNアナリスト・道越一郎)
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外部リンク

シュナイダーエレクトリック=http://www.apc.com/jp/