Special Issue
サイボウズ青野慶久社長と営業部門の幹部がその狙いを語る
2015/12/29 19:55
週刊BCN 2016年01月04日vol.1610掲載
「変化への覚悟」を問う社会提言
代表取締役社長
「日本が抱えている社会問題の多くは、クラウドで解決できる」と青野氏は語る。クラウドがあれば自宅で働くことも可能になり、場所を選ばずに仕事ができるため、たとえば地方にいてもコミュニケーションや連携がとりやすくなる。そして、「クラウドいりませんか、では気づいてもらえないが、日本社会で継続している問題から迫れば、クラウドニーズを掘り起こすことができるはず。こうした働き方まで考えた提案ができるベンダーは限られている。今、経営者が求めているのは自社のホワイト化。ホワイト化できないと人材を採用できないし、採用してもすぐに退職してしまう」と訴える。
サイボウズ自身、05年以降、ワークライフバランスに配慮した制度や、社内コミュニケーションを活性化する制度を採り入れた結果、離職率が28%から5%に低下したという実績がある。パートナーにもチャレンジする企業が増えており、人事制度を教えてほしいといった声も寄せられているという。「サイボウズのパートナーは、製品がよいとか単に売れるからといったところだけではなく、サイボウズの文化に共感して扱ってくれるところが多い。それがわれわれの誇りだ」と中原常務執行役員は胸を張る。
パートナー同士をつなぐ
常務執行役員
「クラウドの普及とkintoneによって、cybozu.comの事業環境は大きく変化した。新しいパートナーと組めるようになり、パートナーの数が増えただけでなく、地域、領域、業界とも多様になった。そのネットワーク化が、Connectの一つの取り組みである。“数を増やす”段階から“シナジーを生み出す”活動を本格化させていく」と青野氏は宣言する。
15年7月の東京日本橋タワーへの本社移転も、そうした取り組みの一環だ。「Big Hub for Teamwork」をコンセプトとする新オフィスは、異業種の人々が集い、新しいアイデアを出し、共同で価値を創造する中心拠点になることを狙う。「実際、去年よりも多くの方がご来社され、政治家や官僚、著名人など見学者も多彩になった。クラウドを活用して何をするかを議論している」と青野氏は説明する。
営業本部長
栗山氏によると、kintoneの営業担当は最近、パートナーに「売ってください」と言うことが少なくなる一方で、「これを使って何かできませんか」という問いかけをするようになったという。「うちでは今こうしたことをやっている、それなら、一緒にやりましょうという話に発展するようになった」と栗山氏はアピールしている。
基幹業務や大規模システムに「kintone」が浸透
4年前の立ち上げ当初、cybozu.comでは中小企業がユーザーの多くを占めていたが、昨年から1000ユーザーを超える大規模な契約企業が増えてきた。また、kintoneを基幹業務システムの構築に活用する例も目立つという。青野氏は、「ただし、kintoneだけで基幹系を本格的に変えることはできない。そこで、SIerがもつソリューションやノウハウとの組み合わせが大きな役割を果たす。パートナーのSI力を生かし、手間のかかる画面などを『Fast&Easy』が特徴のkintoneで開発することで、システム開発の生産性を大幅にアップできる。実際、ユーザーの面前で開発を行ってコンペに勝った事例もある」としている。kintoneには、セキュリティ、データベース、アプリケーションプラットフォームが揃う。そこでパートナー同士の協業でも、双方がkintoneを扱っていればビジネス面でもシステム面でもつながるのが早く、新しいビジネスを最速で立ち上げることができる。
サイボウズでは、パートナーを支援するため、kintoneやクラウドに関するトレーニングを充実させている。青野氏は、「導入事例が増えて、業種・業務に特化したノウハウが蓄積してきた。15年はそれを事例集にまとめたところ、とても使いやすいと多くのパートナー様にご好評いただいた。16年はこれを実際に使えるテンプレートとして、広く公開していきたいと考えている。多種多様なひな形を山ほど揃えることで、パートナーの方々がお客様に提案する際にイメージが広がるようにしたい」との考えを示す。さらに、地域のパートナーに向けた支援でも、仙台、松山に営業拠点を開設、また、大阪には営業所と開発拠点を統合した新たな事業拠点を開設し、本社、名古屋、福岡を合わせ、全国6拠点による支援体制を整えた。生まれ始めた“Connect”を、クラウドの力でさらに後押しする。サイボウズは今年、パートナーシップの新たな姿を描こうとしている。
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