Special Issue
日本ストラタステクノロジー HAクラスタよりレベルの高い可用性を実現 サーバーを堅牢にする「everRun」
2015/12/24 19:55
週刊BCN 2015年12月21日vol.1609掲載
使い慣れたハードウェアをFT化 アプリケーションもそのまま動く
ソフトウェア事業部
システム担当部長
everRunは、サーバー仮想化基盤を含むソフトウェア製品で、サーバー2台を組み合わせて冗長化して論理的な1台のサーバーにすることで、FT/HAを実現する。仮想化環境として広く使われているKVMが組み込まれているため、仮想マシン(VM)上のOSやミドルウェア、アプリケーションの構成は一般的な仮想サーバーで稼働させるのと変わらない。
本多章郎・ソフトウェア事業部システム担当部長は、「各社のサーバーをより堅牢にでき、使い慣れたハードウェアをFT化する点が最大の特徴だ。保守についても、当社が担当するのはeverRunのみで、ハードウェア部分は、普通のサーバーと同じくサーバーベンダーの保守サービスが使える」と説明する。
単なるハートビートではない HAクラスタよりワンランク上
サーバーの可用性を高める構成としては、しばしばHAクラスタが用いられている。一般的なHAクラスタの場合、2台のサーバーはアクティブ/スタンバイ構成となっている。双方のサーバー間を直結するネットワークで稼働状況(いわゆるハートビート)を通信し合い、アクティブ側に何らかの障害が発生したらスタンバイ側が入れ替わる形で稼働を引き継ぐ設計だが、この際にシステムの切り替えを伴うため、ダウンタイムが発生してしまう。また、データを双方のサーバーから共有できるよう外部ストレージを用いるなど、サーバー周辺の準備も欠かせない。これに対して、everRunは単なるハートビートでなく、サーバー間を直結するネットワークで、双方の物理サーバーのリソースを共有している点が大きく異なる。例えばデータは2台分の内蔵ストレージを利用し、両方に対し読み書きを行っているため、一方のストレージに障害が発生しても残った側で運用を継続。この際、フェールオーバーが発生しないため、業務処理は継続する。ネットワークも、両方のサーバーがもつインターフェースをチーミング(仮想的に単一のLANとして扱う手法)しており、やはり一方の側に障害が発生してもそのまま稼働し続ける。
さらにeverRunでは、物理サーバー間の直結ネットワークがVMをコピーしたり同期する機能も担っている。そのため、新たなVMを追加する際には一方のサーバー側に導入するだけですむなど、単一の仮想化環境として扱うことができる。
ベンダーやSIerと協調「止まっては困る」に応える
HAクラスタとは次元の異なる可用性を実現するeverRun。ライセンス費用も低く抑え、HAクラスタにつきものの構築・運用の負担、また外部ストレージなどへの初期投資を含めても、割安に構築できるという。「ITが使われる限り、高信頼性の需要は常に存在する。システム形態がどのように変わろうと、『止まっては困る』という要求は同じであり、当社はそのためのFT技術を時代に応じた形態で提供し続けている」と本多部長はいう。
everRunシリーズのユーザーは、日本国内では病院の医事会計システムや工場の生産ライン制御システムなどが多く、海外では施設の入退室管理システムや空調管理システムなどでも使われているという。
本多部長は、「日本でも、2020年の東京五輪に向けてセキュリティの向上が求められる施設が多く、入退室管理での高可用性ニーズが高まるだろう。もちろん、一般的な基幹系や業務系システムの障害対策にも役立つ。われわれは今後、こういった分野に向け、サーバーベンダー各社と協調して、HA基盤を積極的に提供していこうと考えている。もちろん、既存パッケージをそのままで運用基盤を無停止化できるという点から、SIerにとってもビジネスチャンスを拡大できる商材といえるだろう」と訴えている。
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