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<マイナンバー特集>日立システムズ、日立トリプルウィン マイナンバーの意外な“副次現象”“給与計算”のアウトソーシング需要が顕在化
2015/12/24 19:55
週刊BCN 2015年12月21日vol.1609掲載
「給与計算も一緒に外部委託したい」
マイナンバーサービス統括本部
中田龍二 氏
その筆頭に挙げられるのが、給与計算のアウトソーシング需要の多さだ。給与計算業務は、マイナンバーと最も関連性の高い業務であり、給与計算の受託サービスを手がけているベンダーは、必然的にマイナンバーの管理業務も受託しているケースが多い。日立システムズの顧客も、この点では共通しており、マイナンバー対応BPOサービスへの引き合いや発注をしたユーザー企業のうち、実に3割ほどがマイナンバー管理業務のアウトソーシングを機に、給与計算も一緒に外部委託する意向を示しているという。
給与計算の受託サービスは、日立グループの日立トリプルウィンが手がけていたことから、日立システムズではマイナンバー対応BPOサービスを、急遽、拡張するかたちで、日立トリプルウィンの給与計算サービスと連携。顧客ニーズを迅速にサービスに反映させた。
BPOは“業務的なメリット”が大きい
日立トリプルウィンは、日立グループのバックオフィス業務を受託するシェアードサービス会社としてスタートし、今は日立グループ向けの事業を別会社に切り出して一般顧客に向けた業務アウトソーシングサービスに特化している。なかでも給与計算の受託で実績があり、およそ100社、従業員数4万人規模を受託している。BPO事業本部ソリューション営業部長
栗原 徹 氏
マイナンバー対応BPOサービスに強い関心を示す顧客ニーズを分析してみると、(1)万が一の情報漏えいのリスクがつきまとうマイナンバーを自社内で管理したくない(2)できる限り自社の業務フローを変えたくない(3)マイナンバーと密接不可分の給与計算をアウトソーシングすることで、コスト削減や本来業務へ集中するなど、“業務的なメリット”を見出している──といったことがみえてきた。
給与計算の顧客倍増に確かな手応え
とくに(3)は重要で、日立トリプルウィンのあるユーザー企業では、グループ従業員約1500人分の給与計算をアウトソーシングしたところ、同業務にかかるコストを2割削減できたという。そればかりか、ユーザー企業の担当者が給与計算に費やしていた時間を、従業員のスキルやキャリアを管理し、人材を適材適所に配置するタレントマネジメントや、優秀な従業員の行動様式であるコンピテンシーの分析に充てることで、従業員のスキル全体の底上げにつなげている。また、削減した時間をユーザー企業の売り上げや利益につながる本来業務へと振り分けることで、「直接的なコスト削減以上の効果を挙げている例も少なくない」(栗原氏)と指摘している。
日立システムズの「マイナンバー対応BPOサービス」の引き合いや受注状況は、ユーザー企業自身の手作業では対応が困難な、従業員数1万人規模の大企業からの発注が先行しており、年末から年初にかけては、従業員数500人程度の中堅規模企業からの受注が増えていく見通しだ。
引き合いや受注が決まったユーザー企業の約3割がマイナンバー対応BPOサービスの活用を契機に給与計算のアウトソーシングの意向が強く、日立トリプルウィンでは日立システムズや、行政機関に実際の書類を提出する社会保険労務士や税理士と密接に連携しながら、2018年度(19年3月期)末を目処に給与計算アウトソーシングサービスのユーザー企業数を直近の2倍に相当する200社、従業員数ベースで8万人規模に増やせると手応えを感じている。
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