シスコシステムズ（シスコ）は、従業員100人以下の中小企業に特化したネットワークソリューションの新しいブランド「Cisco Start」を発表した。Cisco Startは、シスコの日本法人が米国本社に要請して開発された製品を扱う、日本企業向けのブランドだ。日本語対応のGUIとサポート体制をもち、中小企業でも購入しやすいリーズナブルな価格設定となっている。シスコでは、ディストリビュータや販売パートナーとの連携を強化することで、従来の製品ではリーチできていなかった中小企業のユーザーを獲得していく構え。ディストリビュータのなかで、積極的に拡販することをコミットしているのがダイワボウ情報システム（DIS）だ。

中小企業向けに価格を抑えた高品質な製品

　シスコが発表したCisco Startは「シンプル」「スマート」「セキュア」の三つをコンセプトとした新ブランド。エンタープライズのユーザー企業を中心に30年の実績をもつネットワークソリューションを、日本の中小企業に適したスケールと価格帯で提供する。

　従来、シスコは中小企業に向けた製品を大きく打ち出せていなかったが、「多くのパートナー様の要望をいただき、米国本社に要求して製品開発が実現した。まさに、日本のマーケットの要望を反映した製品」と、シスコの鎌田道子・執行役員マーケティング本部本部長は語る。加えて、「日本とグローバル各国との一番の違いは、日本のベンダー様がユーザー企業のニーズに合わせながら非常に高品質の製品・サービスを出しているところ。中小企業向けに価格を抑えつつ、シスコらしい高品質な機能とセキュリティをもった製品を開発することは、米国本社としても大きなチャレンジだった」としている。

　Cisco Startシリーズは、日本語GUIによる簡単なセットアップウィザード、「Cisco IOS」による充実した機能群、VPN機能やURLフィルタリングなどのセキュリティ機能を搭載しているのが強みだ。サポートも日本語で対応する窓口を設けている。鎌田本部長は、「日本語でのサポートは、中小企業に製品を提供していくうえで最も重要な点と考えている。サポートと合わせてコミュニティサイトも新設し、ユーザー同士の会話やサイト内のドキュメント、あるいはシスコのエンジニアからのコメントにより、サポート窓口に相談する前に問題解決できるような環境も提供している。これは、Cisco Startシリーズの製品開発と同じぐらい大きなチャレンジだった」とアピールする。

シスコ製品が扱えなかった販売店が新しいチャンスをつかむ機会となる

　Cisco Startシリーズの提供にあたって、シスコとともに米国の本社に中小企業向け製品の必要性を説き、製品開発を後押ししたのが、DISだ。これまでのシスコの製品は、価格帯や機能面の高さからSMB（中堅・中小企業）のマーケットでは敬遠されるケースも多く、DISがもつ約1万9000社の販売パートナーでも、シスコ製品を取り扱っているところは2300社にとどまっていたという。松本裕之・取締役販売推進本部長は、「Cisco Startシリーズは、これまでシスコ製品が扱えなかったパートナーにとっても新しいチャンスだ。Cisco Startをきっかけに、その上のクラスのシスコ製品も販売店が扱えるように、トレーニングやサポートを通じて支援していきたい。まずは、市場のすそ野を広げていくことが急務だ」としている。

　DISでは、Cisco Startシリーズのルータ製品「Cisco 841MJシリーズ」を、サポートフィーもバンドルで提供し、今後1年間で1万5000台を販売することを目標としている。「もともと中小企業に強いチャネルをもっているわれわれと、新たに中小企業にアプローチしたいシスコにとって、Cisco Startは思惑が合致する製品だ。シスコにとって新しいポートフォリオを、当社も一緒になって育てていきたい」と松本取締役は意気込む。また、「いつでもどこでも、業務を止めることなく、ビジネスを続けるためのネットワークとセキュリティというニーズは、中小企業のマーケットでも大きい。われわれはルータやスイッチだけではなくて、セキュリティやコラボレーションなど、すべてのラインアップをもっている。中小企業のニーズに対してすべての答えをもっているという総合力に、シスコの強みを生かすことで、今後、中小企業向けの市場を開拓していきたい」との考えを示している。