Special Issue
<中国企業の成長を支えるIT導入事例>蘇州捷揚数碼科技有限公司 転換期を迎える中国民間企業が求めたSFAはシステムではなく、営業支援そのもの 営業支援の専門ツールにシステムを刷新 決め手は導入後のコンサルティングサービス
2015/06/25 19:55
週刊BCN 2015年06月22日vol.1584掲載
所在地 江蘇省蘇州市
設立 1995年
業種 卸売・小売業
年商 7900万元(2014年度)
従業員数 約120人
事業内容 OA機器の販売とサポートサービスの提供
URL http://www.jumoa.com.cn/
従来のシステムに不満
蘇州捷揚数碼科技は、キヤノン製品を中心としたプリンタ・複合機などのOA機器の販売・サポートを手がけている。1995年に設立し、現在では、蘇州市を中心に5拠点、約120人の従業員を抱えるまでに事業規模を拡大している。石書南総経理は、「最近は、OA機器を販売するだけでなく、とくに納品後のアフターサービスに力を入れている。ユーザーにとって、ただの仕入れ先ではない、ビジネスパートナーになることを目指している」と説明する。蘇州捷揚数碼科技は、基本的に直接販売の形式で顧客を開拓していて、営業活動の効率化は、業績の向上に直結する最重要課題となっている。そのため、システムを活用して業務を効率化する方針をとっていて、中国企業が提供するCRMを導入していた。
しかし、石総経理は、「導入していたシステムは、顧客情報の管理にはすぐれていたが、営業支援の機能および営業改善に関するアドバイスが乏しかった」と当時を語る。案件ごとに営業プロセスを管理したり、適切なタイミングで顧客に提案したりするための機能が搭載されていなかったのだ。足りない機能があることはわかっていたものの、石総経理は具体的な改善策を講じるきっかけをつかめずにいた。
2014年2月、転機が訪れた。キヤノンからの誘いで、日本に渡って、日系大手SIerのビジネス現場を視察する機会があったのだ。「日本で大きく成長しているITベンダーのシステム環境はよく整備されていて、当社との差は歴然だった。同時に、このままではいけない、もっと自社の管理レベルを向上させ、営業組織の仕組みを強化しなければならないという危機感を覚えた」という。中国に帰国して、石総経理はすぐにシステムを強化するための策を検討し始めた。
ノウハウを含む提案が決め手
視察した日本のITベンダーは、システムをスクラッチ開発で構築していた。しかし、蘇州捷揚数碼科技にとって、ゼロからシステムをつくり上げるのは、費用がかかりすぎる。SAPなどのグローバルERP(統合基幹業務システム)を導入する方法もあったが、これも蘇州捷揚数碼科技の規模には大きすぎて、コストも割に合わなかった。そこで石総経理は、会社にとって本当に必要なシステムを、営業支援システム、グループウェア、アフターサービスの管理システム三つに絞り込んだ。そして、コストを抑えて、自社に合わせたライセンスで導入できるパッケージソフトを選定した。
とくに選定に時間がかかったのが、SFAシステムだ。石総経理は、3社の製品で検討。数回のコンペを開催し、各社からのプレゼンテーションやデモンストレーションを経た後、最終的にソフトブレーンチャイナが提供する「eセールスマネージャー」に決定した。
eセールスマネージャーを選んだ理由について、石総経理は次のように語る。「他の2社は、自社の営業支援システムがいかにシステム的にすぐれているのかをアピールすることに終始していた。しかし、システムはプログラミング言語の羅列ではない。実際に使いこなして、業務を効率化できなければ意味がない。一方、ソフトブレーンチャイナは、営業成績が向上するためにはどうしたらいいのかを提案してくれた」。システムは導入して終わりではなく、むしろ導入後のサポートのほうが重要となる。日本で培ってきた経験・ノウハウを生かして、営業成績が向上するためのコンサルティングサービスを提供できることが、ソフトブレーンチャイナの採用を決定づけたわけだ。
蘇州捷揚数碼科技でeセールスマネージャーが稼働したのは、2014年11月。使用感について石総経理は、「ターゲット顧客の優先度を決めて、優先度順に適切なタイミングで提案できるので、複数の案件を抱えている営業担当者から重宝されている。また、案件のプロセスも管理できるので、大手の顧客の時間がかかる案件でも、取りこぼしを心配する必要がない」と語る。今後は、これまで使用していたCRMから、eセールスマネージャーに全面的な移行を進める方針だ。まだ稼働を開始して数か月だが、石総経理は、「1年後には大きく業績を向上させたい」と期待を込めて語った。
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