Special Issue
NTTコミュニケーションズ 安心して利用できるようにするためのグローバルICTインフラへのこだわり
2015/04/16 19:55
週刊BCN 2015年04月13日vol.1575掲載
通信キャリアならではの
ネットワーク技術を生かす
── BHECおよびCloudnのそれぞれの特徴を教えてください。 取締役
クラウドサービス部部長
最新ネットワーク技術を駆使したクラウドを活用し、パートナー企業の皆様が信頼してご利用いただけるよう尽力していきます。
一方、Cloudnは、パブリッククラウドサービスとして低価格で手軽に利用していただけるのが最大の特徴です。データ転送料は無料で、サービス利用のお申し込みをいただくと、すぐにサーバーリソースを使っていただくことができます。オペレーションはすべて自動化されており、ロードバランサによってリソースの自動増減や負荷分散を施しているので、コストパフォーマンスの高いクラウド利用を実現しています。
── 他社のサービスと比べた場合の強みは何でしょうか。
田中 クラウドサービスはICT、つまりコンピュータとネットワークの技術で成り立っていますが、当社のクラウドサービスはコンピュータだけでなく、通信キャリアとしての豊富なネットワーク技術を駆使して、他社にはないさまざまな連携サービスを提供できるところに最大の強みがあると自負しています。
例えば、ネットワークの最新技術であるSDN(Software-Defined Networking)を活用して、同一DC内や異なるDC間のクラウド/コロケーションを同一ネットワークセグメントで接続する「コロケーション接続サービス」を、昨年春に世界で初めて提供開始しました。こうしたネットワーク技術を駆使してクラウドのパワーをさらに拡大できるところが、当社の真骨頂だと考えています。
企業のグローバル展開を支える
クラウドサービス
── 御社のクラウドサービスは、どのような企業に導入されているのでしょうか。 田中 企業の海外進出や急変する市場環境に対応するため、お客様からは、グローバルに展開している事業を一元管理するために、クラウドサービスもグローバルで統合的に運用したいというご要望をよくうかがいます。当社はDCとネットワーク事業をグローバルで行い、あわせてクラウドサービスもグローバルに進出していることから、大手製造業をはじめとしてグローバルに事業を展開しているお客様にご活用いただいているケースが最も多いです。
── 顧客からの要望が多い、クラウドサービスにおけるグローバル展開の状況についてもお聞かせください。
田中 クラウドサービスにおけるグローバル展開については、BHECをこれまで9か国11拠点から提供してきましたが、2015年内にはこれを13か国16拠点に拡大する予定です。さらに、先ほどお話ししたお客様のご要望にお応えして、世界各地の仮想サーバーやネットワークの状態を一つのカスタマーポータルから一元的に管理・運用できるようにしたフェデレーションサービスをご提供しています。これも比類のないサービスだと自負しています(図1参照)。
── グローバル展開もそうだと思いますが、御社のクラウドサービスにおいて強くこだわっておられるところを聞かせてください。
田中 グローバル展開は、お客様のご要望にお応えするためにもしっかりと推進していくことが、当社の使命だと考えています。それとともに、クラウドサービスにおいて強くこだわっているのは、徹頭徹尾、インフラをベースとする高品質なサービスをご提供するということです。これはもともとネットワークというインフラを長年にわたって手がけてきた当社の基本姿勢に通じるものです。
しかも単にインフラをご提供するだけでなく、その全体を統合管理しながら支障なく運用することによって、お客様に安心して利用していただける環境を提供することが、当社の事業に対するこだわりの核心です。クラウドサービスもまさしくそのこだわりに基づいています。
一つの基盤で複数の
サーバーを管理する次世代クラウド
── 昨年秋、次世代クラウド基盤の開発計画を明らかにされましたが、どのようなことを実現しようとされているのですか。 田中 次世代クラウド基盤のコンセプトは、複数のタイプのサーバーを一つのクラウドサービスとして、オンデマンドで柔軟に、かつ一体的に利用できる環境ということです。それによって何が実現できるかというと、一つの基盤において共有タイプのパブリッククラウドと専有タイプのプライベートクラウドを提供し、異なる仮想化環境やベアメタルのような物理サーバーも利用できるようにすることによって、お客様のオンプレミスのサーバー環境をそのままクラウド化できるようにするというのが勘所です(図2参照)。
そこでカギとなる技術がSDNです。SDNを活用した柔軟なDC内ネットワークを構築し、異なるタイプのサーバー間を自由にセグメント設定することによって、一つのシステム基盤として利用できるようにするのです。ストレージもSDNによって柔軟に接続し、先ほどお話ししたコロケーション接続サービスなども適用すれば、クラウド利用のカバレッジを大きく広げることができるようになります。
また、サーバー、ストレージ、SDNを一体的にコントロールできる統合APIと、各ベンダーの個別APIの双方を提供し、システム環境に合わせて最適なAPIを選択できるようにするほか、統合管理ポータルを通じて他社のクラウドサービスも含めて管理できる環境を提供しようと考えています。こうした仕組みからなる次世代クラウド基盤を、今年下期から順次提供していきたいと考えています。
──次世代クラウド基盤によって、パートナー企業やユーザー企業はどのようなメリットを享受できるのでしょうか。
田中 これまで次世代クラウド基盤の仕組みを中心にお話ししてきましたが、利用シーンからみた本質的なポイントとして強調しておきたいのは、現行のBHECをさらに進化させたかたちで、セルフマネジメントによりクラウドを自由自在にコントロールできるようになることです。これはシンプルで柔軟なお客様主導のクラウド利用環境が実現するということです。
一方、パートナー企業の皆様にぜひお伝えしたいのは、当社は徹頭徹尾インフラに注力していきますので、この仕組みを組み入れてお客様にシステムを提供していただいたり、アプリケーションの開発環境として使ってもらうなどして、SaaS型サービスを展開していただきたいということです。パートナー企業の皆様に広く扱っていただけるように、当社は今後もインフラとしてのAPIやポータルを拡充してまいります。当社のグローバルなクラウド基盤を利用していただくことで、例えばSaaS型サービスを国内だけでなくグローバルに展開できるようにもなります。当社のインフラをパートナー様のサービス名称で提供していただける「ホワイトラベルサービス」もご用意しています。
「インフラはNTT Comのクラウドに任せよう」と、パートナー企業の皆様にご信頼いただいて使っていただけるように力を尽くしてまいります。
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