南京華天科技発展（朱寧総経理）は、中国の原子力発電所や火力発電所に対して、水質分析機器や分析サービスを提供している。同社は、契約件数が増加するにつれて、顧客情報の管理が課題になってきていた。各々が属人的に顧客情報を管理していて、会社として一元的に把握できていなかったのだ。そこで、ソフトブレーンチャイナが提供するCRM（顧客関係管理）・SFA（営業支援）システム「eセールスマネージャー」を導入し、業務の効率化に成功。今後は、ソフトブレーンチャイナのアフターコンサルティングサービスを利用して、営業力の強化につなげようとしている。

CRM・SFAシステム導入で業務効率化
アフターコンサルティングで営業力も強化

●顧客情報の管理に限界

　原子力発電所や火力発電所の設備が安定して安全に稼働し続けるためには、使用する大量の水を適切な水質に保つことが欠かせない。南京華天科技発展は、そのための水質分析装置と、分析業務を請け負うサービスを提供している。同社が抱える顧客は中国全土におよび、とくに水質分析サービスは、中国の主要原子力発電所を中心に18社が採用。朱寧総経理は、「当社の水質分析サービスの市場シェアはトップクラスだ」と胸を張る。

　2003年に設立して以来、南京華天科技発展は順調に事業規模を拡大してきた。しかし、従業員数や顧客数が増え、契約件数が1000社を超えたあたりから、顧客情報の管理に綻びが生じてきた。情報管理のためのフォーマットを統一しておらず、商談・見積もり・契約・受発注・納品・領収書発行・入金といった一連のプロセスを、各担当者が大量の紙やメールで属人的に把握している状況だったのだ。

　例えば分析装置では、製品を入荷した情報を、即座に顧客に伝えることができなかったり、納品して領収書を発行したにもかかわらず、入金がないことに気づかなかったりといった事態が起こった。分析サービスでは、どの作業員をどの顧客先に配置したのか、どのようなサービスを行ったのか、結果はどうだったのかという記録を把握できなかった。朱総経理は、「一件の営業の進捗状況を把握するのに多大な時間を要していた。担当者が自分に都合のいいことしか報告しなければ、本当の状況を把握できない。顧客情報の管理レベルを向上させることは必須だった」と当時を振り返る。

　管理レベルを向上するには、専用の人員を確保する方法もあったが、人海戦術では、今後の契約件数の増加に伴って、人員を随時補強しなければならない。そこで南京華天科技発展は、システム導入を検討した。

●心強いアフターコンサルティング

　まず、スクラッチ開発で顧客情報の管理システムを構築する方法を考えた。しかし、高巍副総経理によると、「解決したいことは明確だが、それをどうシステム化したらいいのかわからなかった」という。IT企業ではない南京華天科技発展にとって、要件定義や仕様設計のハードルは高かったのだ。次に、汎用のERP（統合基幹業務システム）の導入を考えた。ところが、SAPやオラクルのERPは、南京華天科技発展にとっては大規模過ぎて、コスト負担も大きかった。

　最終的に選択したのは、ソフトブレーンチャイナのCRM（顧客関係管理）・SFA（営業支援）システム「eセールスマネージャー」だ。顧客情報の管理に必要な機能を網羅した専用システムとあって、邢介華副総経理は、「まさに当社のニーズに適合していた。BtoB企業の導入事例も豊富で、信頼できた」と語る。

　その後、南京華天科技発展は2013年に「eセールスマネージャー」を導入。すでに効果は現れている。従来、紙やメールベースで各人が一件ずつ手入力していた作業を、システムへの簡単入力で効率化。紙の資料の削減や作業時間の短縮で、コスト軽減につなげている。さらに、一連の営業フローを見える化したため、入荷や納品などの進捗状況をリアルタイムで顧客に伝えることができるようになった。顧客満足度の向上にも成功したのだ。

　今後は、これまでシステムに蓄積してきたデータを分析して、営業力の強化につなげようとしている。各フローの記録を細かく残すことができるので、例えば失敗した案件を細かく分析して、原因を追究すれば、今後の営業活動につなげることができる。経営計画を練る際にも、各営業担当者の活動記録をもとに、精度の高い業績目標を設定することが可能だ。

　ここで役立つのが、ソフトブレーンチャイナのアフターコンサルティングだ。同社では、eセールスマネージャーの導入後も、操作方法などのQ＆Aに対応するだけでなく、営業を改善して業績向上につなげるためのノウハウやコンサルティングサービスを提供している。朱総経理は、「システムを導入して業務を効率化しただけでなく、営業力の強化も期待でき、一石二鳥だ。システムを最大限に活用するためのコンサルティングサービスも頼もしい」と語った。