Special Issue
イベントレジスト オンラインチケット販売で“業界標準”へ 海外展開やサービス拡張など事業を強化
2014/11/27 19:55
週刊BCN 2014年11月24日vol.1556掲載
「CEATEC JAPAN」など、大規模イベントで採用に
ヒラヤマCEOは、ヤフーで「Yahoo!ショッピング」、マイクロソフト(現日本マイクロソフト)でリッチメディア広告、グーグルではYouTubeを立ち上げた経験があり、「ソーシャルが普及する一方で、リアルな場で交流するイベントが増える」と考えて、チケット販売の事業化に目をつけた。
EventRegistは、イベント作成から事前集金、領収書発行やクレジットカード決済、参加者管理などの機能を備え、イベントに関する作業を誰でも簡単にオンラインで行うことができる。無料で使える基本機能に加え、主催者の要望にもとづいて機能の拡張を続ける。
創業以来、ヒラヤマCEOがこだわっているのが「顧客が困っていることを徹底的に聞くこと」だ。主催者の目線でオプション機能を迅速に開発している。オンラインのチケット販売の領域では、国内外に複数のプレーヤーが存在する。しかし、利用者が本当に望む機能を備えているサービスが少ないのが事実だ。
一方、EventRegistはセルフサービスの側面から、主催企業向けにプレミアム機能が充実していることを強みにしている。BtoBの顧客に特化し、徹底して顧客要望に沿った機能を実装できるので、「競合は存在しない」(ヒラヤマCEO)のだ。例えば、スマートフォンでイベントにチェックインし、決済から当日の受付まで完結する機能は、今の市場環境にマッチしている。主催者にすれば、当日受付の人員配置を最小限にでき、迅速に参加者を会場に誘導できるメリットがある。
イベントレジストは、今年11月でサービス開始から3周年を迎えた。これまで、CEATEC JAPAN、国内最大のゲームイベント「東京ゲームショウ」など、1万人以上の来場者がある大規模イベントで採用。この短期間での実績には目を瞠るものがある。加えて、リピート率も高い。当面の目標は、2020年の東京五輪までに「誰でもプレイガイドが手軽にできる」(ヒラヤマCEO)ことを訴求し、デファクト・スタンダード(事実上の業界標準)になることを目標に据える。
海外やアドテクへ積極参入も
イベントレジストでは、サービスの方向性として、小規模な集まりから大規模イベントまで利用が拡大することを目指している。使い方も、1回だけの料金で単発イベントで利用できるようにしたり、複数回、定期的に実施するイベントの場合は継続的に利用するところまでの機能と料金設定を用意したりと、イベントによってさまざまなサービスメニューを用意している。ヒラヤマCEOは、EventRegistのサービスの特徴をこうたとえる。「自家用車ではなく、カーシェアリングモデルだ」と。まずは、この領域で業界標準を目指すが、ヒラヤマCEOの視線は、その先をみている。EventRegistは、日本語に加えて英語、インドネシア語、タイ語、中国語(繁体)の5か国語に対応している。今年7月には、シンガポールに子会社を設立し、インドネシアに取締役を配置するなど、東南アジアへの足がかりをつけている。
外国人が日本で開催するイベントに参加する場合や、逆に日本人が海外で開催のイベントに登録して参加するケースなどを想定し、海外展開を強化しているところだ。日本国内の市場が縮小するなかにあって、海外市場でビジネス拡大を目指す企業は増えている。そんな流れにいち早く対応している。近く、ベトナムにも拠点を構える計画だ。「日本には、“おもてなし文化”がある。これをリアルイベントの場でも発揮して、日本企業の発信力を高めたい」(ヒラヤマCEO)と力を込める。
業務提携や資本参加にも積極的だ。日本経済新聞社と資本・業務提携を行い、「日経ID」保有者が簡単にイベントに参加できる仕組みづくりを構築した。また、インターネット広告のデータ解析などを展開するマザーズ上場のフリークアウトを割当先とする第三者割当増資を実施。EventRegistのユーザーのアドテクノロジーやビッグデータを活用したデジタルマーケティング領域まで支援を拡大する。他社とのこのような協業は、今後も続けていく意向だ。
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