●EOSで残るのはファイルサーバー　SMBに向けた提案パターンを用意

──Windows Server 2003 EOS関連など、今年の前半で具体的に取り組んだ製品、販売施策と成果はいかがだったでしょうか。SMB市場の予測とあわせてお聞かせください。

橘（日本HP）　国内のサーバーはすでに成熟市場ですから、限られたパイを奪い合うことになります。そこで勝ち抜くには、明確な戦略が必要と考えています。

　2003のリプレース需要はまだ本格的に立ち上がっていませんが、OSのサポート切れと同時にハードウェアのサポートも切れるという現実があります。両方のサポートが同時に切れると、リスクはさらに高くなります。

　一方、お客様は、とくにSMBの方々は、安定している限り、サーバーには触りたくないものです。そこで、その意識とサポート切れのリスクを天秤にかけて、どう判断するかになります。お客様へのアプローチは、奇をてらったことをやってもダメで、結局は地道な取り組みが大切です。

瀬尾（富士通）　取り組んでいるのは、製品面で前述した運用を向上させる商品や、HPC（ハイパフォーマンスコンピューティング）領域の商品の拡充です。

　今年の重点テーマの一つは、Windows Server 2003 EOSですが、SMBのお客様から課題認識を引き出すのはとても難しいと感じています。お客様にとっては、OSのぜい弱性だけでは大きな動機になりにくいんですね。むしろ、アプリケーションを停止させたくない、さらには不安定になる可能性があるので、パッチも当てたくないというのが本音です。そこで進めているのは、業務・アプリケーション軸の提案と現場に負担をかけないような提案をパターン化し簡素化する取り組みです。そうすることで、販売後も手離れがよくなります。

馬場（日立）　パートナーの方々が少しでも、積極的に提案できるよう、お客様のシステム環境に応じ、抱える個々の課題に合ったモデルやガイドを提供しています。あわせて、単にサーバーのリプレースだけに終わらせず、プラスアルファの案件に発展させることを目指して取り組んできました。

　例えば、グループ会社の日立ソリューションズが提供しているファイルサーバーをスリム化する「MEANS」と当社のファイルストレージ「Hitachi Virtual File Platform」を組み合わせた、ファイルサーバー運用管理ソリューションを提供しています。また、統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」を活用したシステム全体の運用管理の効率を向上する提案など、Windows Server 2003 EOSを機に、前向きにIT投資を検討いただく提案を行っています。

魚田（デル）　ワイズテクノロジーの買収によって、VDI（仮想デスクトップインフラ）ソリューションを提供できるようになりました。また、同じく買収したクエスト・ソフトウェアの技術によって、サーバーOSを移行する際のバックアップが簡単になるなど、Windows Server 2003 EOSに絡んだ需要を取り込むための有力なソリューションを提供できています。

　また、ビジネスモデルも大きく変化させ、今年8月4日にパートナー事業本部を新設しました。製品では、いかに提案を簡素化して、パートナーの方々に稼いでいただくかに力点を置いた製品を充実させています。今後、コンバージドインフラストラクチャをさらに簡単に構築できるようにするようなプラットフォームソリューションを提供していく予定です。

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