Special Issue
日本マイクロソフト 「Windows Server 2003」のリプレースを機にクラウドサービスを拡充 SMBビジネス促進に向け「Azure」「Office 365」のパートナー施策を強化
2014/10/02 19:55
週刊BCN 2014年09月29日vol.1548掲載
クラウドのメリット訴求でパートナービジネスを加速
米マイクロソフトは、2014年2月にサティア・ナデラ氏がCEOに就任して以来、「モバイルファースト、クラウドファースト」の取り組みを加速している。このうちクラウド事業は、「Microsoft Azure」「Office 365」「Microsoft Dynamics CRM Online」が三本柱。Office 365を中心に製品の認知度は急上昇しているというが、日本マイクロソフトのSMB営業統括本部SMBマーケティング本部の藤嶋いづみ本部長は、「昨年より、 Office 365の知名度は市場に約80%まで高まってきたが、実際に何ができるか、どんなベネフィットがあるかといったところまでは、まだまだ伝え切れていない」と現状を分析。「今年度(2014年7月からの1年間)は、クラウドのメリットを中心に訴求していきたい」という。日本マイクロソフトのビジネスパートナーにとって、今年4月の「Windows XP」サポート終了に伴うパソコンの買い替えは大きなビジネスチャンスだった。来年7月のWindows Server 2003のサポート終了にも、再び大きな商機としての期待が集まる。「サーバーのリプレースは、ITシステム全体を見直すきっかけになる。そこで、クラウド化や、オンプレミスとMicrosoft Azureを組み合わせたハイブリッド化を提案し、パートナー様と一緒にSMB市場に対するクラウドビジネスの促進を図っていく」と、藤嶋本部長はアピールする。
日本マイクロソフトは、パートナーとのクラウドビジネス促進のため、新たなMicrosoft Azureのオープンライセンスプログラムの提供を開始した。さらに10月には、Office 365のSMB向けプランとしてOffice 365 Businessを発売する。
オープンライセンスを採用 支援プログラムも用意
SMB営業統括本部
SMBマーケティング本部 本部長
Microsoft Azureのオープンライセンスは、1ライセンスを約1万200円(100ドル)分のプリペイド方式で購入する。例えば、5万円分利用する場合は、5ライセンスを購入する。ユーザー企業には、従量課金制で必要な分だけ購入すればいいというメリットがある。パートナーにとっても、売り切りモデルではない仕入れ再販売ができることに加えて、ユーザー企業のアカウント管理ができるなど、SMBをはじめとするユーザー企業と密な関係を築くことができるという利点がある。
Windows Server 2003からのリプレースにあたっては、「BCP(事業継続計画)対策として、Microsoft Azureのバックアップ機能を使ってクラウド上にサーバーのデータバックアップを構築する」「BCP対策として、オンプレミスの仮想マシンのスタンバイをクラウド上に構築する」「Microsoft Azureにサーバー機能をすべて移行してクラウド化する」という三つのクラウド化シナリオが想定される。日本マイクロソフトは、Microsoft Azureを販売するパートナーに向けて、特別セミナーやトレーニング、技術支援や見積もり支援などを行う「Microsoft Azure対応支援プログラム」を無償で提供し、パートナーによる提案を強力に支援していく。
SMB向けプランを刷新 ビジネス用「OneDrive」も提供
さらに日本マイクロソフトは、SMB向けプランのOffice 365 Small BusinessとOffice 365 Midsize Businessを終息し、新たにOffice 365 Businessの提供を10月に開始する。これまではSmall Business、Midsize Business、さらにエンタープライズ向けのEnterpriseの三つのプランがあり、プランが混在した環境では管理が難しいという課題があった。SMB向けのプランを統合し、Office 365 Businessとして提供することで、Enterpriseと混在した環境でも一つの管理体系で管理できるようになる。Office 365 Businessには、さらに「Premium」「Business」「Essentials」という三つのプランを用意。Businessが、現在多くの企業が利用しているパッケージ版のOffice Standardに相当する製品だ。Office 365は、専任のIT担当者がいなくても容易に管理でき、常に最新の環境で利用できるという特徴がある。Office 365 Businessでは、さらに1TB分が無償で利用できるビジネス向けクラウドストレージサービス「OneDrive for Business」もあわせて提供する。
藤嶋本部長は、「OneDrive for Businessは、コンシューマ版にはないセキュリティ機能を備えていて、『クラウドにデータを置くのは不安』という企業に最適。Office 365 BusinessとOneDrive for Businessは、タブレット端末やスマートフォンでも利用できるので、SMBのワークスタイル変革にも活用できる」と特徴を説明する。
「Cloud SureStep」でSMB向けの提案力と販売力を向上
Microsoft Azureのオープンライセンスと、Office 365の新プランの提供で、日本マイクロソフトは、とくにSMB向けのクラウド分野でパートナービジネスを加速していく。Microsoft AzureもOffice 365も、売り切り型の商材ではないので、パートナーにとっては継続したビジネスになる。さらに、アップセルやクロスセルの提案を行っていく契機にもなる。「今年、われわれはクラウドに対して昨年以上に大きな投資を行っている。パートナー様のクラウドの販売力や提案力を強化するために、グローバルのフレームワーク『Cloud SureStep』を通じて、トレーニングや提案シナリオの提供、テクニカルサポート支援などを実施している。また新規のパートナー様も対象になるインセンティブやサポートプログラムも用意した」と、藤嶋本部長は訴える。
日本マイクロソフトにとっても販売パートナーにとっても、従来のオンプレミスやパッケージ製品から、クラウドによる長期的・継続的なビジネスに移行する大きな節目を迎えたといえそうだ。
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