Special Issue
上海電通信息服務 中国で自社ソリューションの販売を強化 ファイナンス業界のITニーズを包括する「Lamp」
2014/09/11 19:55
週刊BCN 2014年09月08日vol.1545掲載
各種ファイナンス業務を統合管理
董事長総経理
既存ビジネスは、顧客との関係を強化しながら引き続き拡大していくが、ISID上海が今後の成長エンジンとして捉えているのは、中国のローカル企業や外資系など、非日系企業をターゲットに据えた自社ソリューションの販売だ。リース・ファイナンス業向けの基幹業務システム「Lamp」や、信用リスク管理システム「BANK・R」、位置情報とCRM(顧客関係管理)を組み合わせたマーケティングソリューション「+fooop!connect」など、電通国際情報サービスが日本で提供してきた商材に、中国市場のニーズに適合するカスタマイズを加えて提供する。
菅沼董事長総経理は、「中国経済は、成長が鈍化していると悲観的に捉えられることがあるが、実際には7%を超える成長率を維持し、アジアで最も勢いがある。この市場を開拓する余地は大きい」とみて、「日本本社が中期経営計画で掲げる『グローバル市場の開拓』に、当社が最も貢献していく」と意欲を示している。
融資租賃金融系統事業部
事業部長
秋山修司事業部長は、「Lamp」の強みを、「ファイナンスリースだけでなく、オペレーティングリースやローン、割賦、さらに近年中国で注目が高まっているファクタリングまでを管理対象としていること」と説明する。一般的なファイナンス業向け基幹業務システムは、リース、ローン、割賦、ファクタリングなど、業態に応じて個別にシステムを構成する。しかし、国によっては許認可の制度が異なり、多くのファイナンス企業が各ファイナンス業務を同時に手がけているなど、管理は複雑になりがちだ。「Lamp」は、複数の金融商品を販売しているファイナンス企業が、取引先情報や残高、与信情報・枠など情報を共通して把握することができるように、対象を広域化。単一システム内で、ファイナンス業務の統合的管理を実現している。
需要高まる与信管理機能を提供
すぐれた与信管理の機能を搭載していることも、「Lamp」の大きな魅力。秋山事業部長は、「中国国内のファイナンス企業が、現在最も注目しているキーワードの一つが『与信管理』だ。市場がリセッションの時期には、需要が高まる傾向がある」と指摘する。アジア有数の経済成長を誇る中国だが、成長率の鈍化は事実で、国内のファイナンス企業は、金融商品の不良債権化を防止するために、これまで以上に取引先や融資の案件に関するリスクを定量的に把握して、適切な判断を行う必要がある。最近では、上海市の自由貿易試験区を中心に、中国で売掛債権買取業務を手がけるファクタリング企業も急増していることから、与信管理の需要は日々高まっている。「Lamp」は、電通国際情報サービスが日本国内の銀行を中心に実績を積み上げてきた信用リスク管理パッケージ「BANK・R」をベースとした与信管理機能を内包し、ファイナンス企業の安心・安全な取引を支援している。さらに、ファイナンス企業は「Lamp」を導入することで、経営に必要な情報を一元的に把握して、経営判断を迅速に行うことができるようになる。「Lamp」は、蓄積されたデータをもとに、視覚的にデータ解析する機能も備えている。
「Lamp」の提供方法は、ユーザー環境にインストールする一括納入のオンプレミス型と、定額制で使用料を徴収するクラウド型の2種類を用意。周辺モジュールとして、代理店向けウェブシステムや売掛金消込システムなど複数を揃え、ユーザーはニーズに合わせて導入することができる。
「Lamp」は、すでに中国のほか、シンガポール、フィリピン、インドネシア、マレーシアなど、ASEAN5か国で提供。中国では、三菱UFJリースの現地法人、三菱日聯(中国)融資租賃や、興銀リース現地法人の興銀融資租賃(中国)など、日系リース企業の14社/29拠点で利用されている。
ISID上海は、金融業に強いSIerや、業務コンサルティング企業などの販売パートナー網を構築しながら、今後の「Lamp」の販売に勢いをつけていく。また、中国だけでなく、日本本社やインドネシア、タイなど、各国のISID現地法人とも連携を強化して、ASEAN地域での市場開拓を同時に進めていく。菅沼董事長総経理は、「本社中計の2016年度(17年3月期)までに、中国・ASEAN地域の日系企業を25社、非日系企業を30社以上新規顧客として獲得したい」という目標を掲げる。
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