Special Issue
<ワークスタイル変革ソリューション特集>ITの活用で働き方を変える 総務部門主導で変革に取り組む
2014/07/17 15:49
週刊BCN 2014年07月14日vol.1538掲載
管理系の部門を意識した提案を強化
生産性向上の本質を突き詰めていくと、従業員の働き方そのものを変える「ワークスタイル変革」に行きあたる。従業員の勤怠を管理している総務部門はITの専門集団ではないが、ワークスタイルの変革となれば、総務部門の理解と協力は欠かせない。いや、企業の生産性向上は、むしろ経営者と総務あるいは人事といった管理部門が主導するかたちで取り組まなければ、前に進まないはずだ。いま、ITベンダーは総務部門の重要性を再認識し、管理系の部門に向けた提案に力を入れている。SMB向けのITビジネスに豊富な実績をもつ日立システムズは、ユーザー企業の総務など管理部門に対する提案を強化している。キーワードは「ワークスタイルの変革」で、社内で関連するIT商材を体系立ててまとめ上げ、IT活用型のワークスタイル変革推進を提案する。
具体的には、デスクトップの仮想化による「どこでもオフィス」や「在宅勤務」、働き方の多様化に対応する「就業管理システム」、ユーザー企業の電話や光熱費、クラウド利用料金などを取りまとめる「一括請求サービス」、採用担当者向けの「交通費支払いサービス」など、総務/人事部門を強く意識した商材を社内横断で体系化。ワークスタイルを変えるには、働き方や制度、さらにその運用を見直す必要があるので、実現には総務/人事部門に働きかけるのが近道というわけである。
例えば、日立グループが力を入れている仮想デスクトップ商材についても、「大手ユーザー企業は、ワークスタイルの変革に取り組む体力があるので、仮想デスクトップ関連の商材は必然的に売れていく」(日立システムズの松尾昌治・ネットワークサービス事業部ネットSaaS推進本部ネットワークドサービス推進第一部部長代理)というが、SMBには少々ハードルが高い。そこで、ワークスタイルの変革と絡めたかたちで、主に経営者や総務部門に向けて仮想デスクトップの提案を強化。勤務体系の見直しとITシステムの支援を同時に提案し、推進してもらうことで、ユーザー企業の生産性を高める取り組みに力を入れている。
「3K」を排して人手不足を防ぐ
労働力人口の頭打ちや景況感の変化によって、企業はときに深刻な人手不足に見舞われる。中長期でみても日本の人口は減少していく見通しであることから、女性の労働参加率の向上による労働力人口の維持や、一人あたりの生産性の向上は欠かせない。もし何もしなければ、人手不足の解消や女性の活用は進まず、生産性はいっこうに高まらない。それどころか従業員に無理な勤務を強いることで「3K」と揶揄され、人材募集の際に避けられてしまう危険もある。こうした課題に対処するために、日立システムズは「就業管理システム」の導入を強く勧めている。同社が開発した「HIPLUS就業管理システム」は、シフト勤務管理とプロジェクト管理の機能が充実しているのが特徴だ。とくにプロジェクト管理は、作業内訳を入力していくことでプロジェクト別の作業時間を集計し、原価管理にも応用できる。
作業のスケジュール管理だけでなく、どの仕事にどれだけの時間を費やしたかも集計することで、原価や粗利を随時把握するとともに、無理やムダな作業をなくして、従業員の負荷を軽減する役割も期待できる。
もう一つ、見逃してはならない環境の変化が、情報システムのコモディティ化(日用品化)だ。情報システムの導入の際、電話や光熱費と同じ扱いで、情報システム部門に代わって総務部門が意思決定を下すケースが増えてきている。従来、ITベンダーから総務部門に提案するのはPBX(構内電話交換機)など、一部のシステムに限られていたが、例えばグループウェアや情報共有ツール、表計算・ワープロなど、オフィスソフト系のクラウドサービスは、すでに限りなく電話や光熱費に近い存在になっている。
日立システムズはここに着目し、電話代や光熱費、クラウドサービスなどの料金をユーザー企業に代わって集計し、部門ごとに項目を仕分けしたうえで、ユーザー企業に一括請求するサービスを拡充。総務部門の作業負荷を軽減しようとしている。また、人事部門向けには、面接に来社した採用予定者への交通費支払いサービスによって、管理業務の工数削減を推進。節約した時間をワークスタイルの変革に向けた取り組みに充ててもらうことで、生産性の向上を支援する。
この日立システムズの取り組みを、次ページで詳報する。
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