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<医薬クラウド特集>日立システムズ 医薬クラウドサービスの第一弾 バリデーティッド・リソースオンデマンドサービスを投入
2014/07/03 19:55
週刊BCN 2014年06月30日vol.1536掲載
バリデーション対応によるシステムの信頼性の向上
製薬業向けIaaS/PaaS型クラウド基盤サービス「VROD」は、厚生労働省が定めたガイドラインに準拠したクラウドサービス。製薬会社の情報システムは、薬事法や所轄官庁である厚生労働省の省令にもとづく厳しい規制に準拠しなければならない。金融業や自治体と同様、製薬業は汎用クラウドサービスにはなじまない業種で、日立システムズは、こうした特定業界のニーズを捉えた「業種クラウド」の一つとして「VROD」を開発した。「VROD」は、国際製薬技術協会(ISPE)が策定した「コンピュータ化システムバリデーション(CSV)」のガイドラインである「GAMP5」や、厚生労働省が定めた「医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドライン」に対応できるように構築されており、製薬会社の情報システムを運用するのに最適化したクラウドサービスに仕上がっている。
人の命や健康に直接関わる製薬会社の情報システムには、計画にもとづくクオリフィケーション(検証)活動とその維持が求められる。上場会社を中心に適用が進んだ「内部統制の強化」と同じような監査や、問題が発生したとき、過去にさかのぼって検証できる証跡を残しておく必要がある。企業の内部統制の強化では「監査」という表現だったが、医薬品業界では「バリデーション」と呼び、とくに情報システムの妥当性を担保する取り組みを「CSV」というわけだ。
製薬会社の薬事法に基づく業務は、原則としてバリデーションされていることが求められるが、これらの業務を支える情報システムにも同様にバリデーションされていることが要求される。システムが適正に構築・運用されていなければ、正しいアウトプットや証跡を残すことができないからだ。「VROD」は、先述の国際基準「GAMP5」の考え方を取り入れ、しかも厚生労働省の「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」に沿って開発・検証されたクラウドサービスである。製薬会社が「VROD」を活用すれば、少なくともクラウド基盤部分についてのバリデーションは日立システムズによって担保されることになる。
なお、上記の考え方にもとづき整備したクラウドサービスは、医療機器分野や医療分野、一部の化粧品、食品分野などにも適している。
業界標準クラウドを狙う
関西支社
第二営業本部
産業営業部
担当部長
ヘルスケア領域のクラウドサービスの一つ、「医薬クラウド」の第一弾として発表した「VROD」 は、まずクラウド基盤だけをバリデーションの対象にした。汎用クラウドサービスは一般的にクラウドの中身を公開しないが、「VROD」は管理・運用手法や文書管理などについて、当該機関からの監査を受けられるようにしたことでバリデーションの透明性を担保している。
関西支社 西本町オフィス
産業・流通情報サービス
第一事業部
西日本システム本部
医薬システムサービス部
主任技師
従来のように個別でシステムを構築し、個別でバリデーションを実施していては、コストがかさむ。「VROD」を使えば、システムの構築や運用のコストや作業負担を減らすことができるだけでなく、将来、SaaS領域までサービス対象が広がることで、運用にかかるコストや作業工数をさらに削減することも期待できる。日立システムズは、自社の業務アプリケーションだけでなく、同業他社の製品についても「VROD」の活用を積極的に働きかけていくことで、医薬品業界向けの業界標準クラウドプラットフォームの役割を果たしていく考えだ。
また、日立システムズでは、製薬会社の情報システムを「VROD」へ積極的に取り込んでいくことで、今後2年で、クラウド関連サービス事業で6億円の増収を狙っている。
※1 IaaS:Infrastructure as a Serviceの略。コンピュータシステムのハードウェアをインターネット経由のサービスとして提供すること
※2 PasS:Platform as a Serviceの略。ソフトウェア構築の土台となるプラットフォームをインターネット経由のサービスとして提供すること
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