Special Issue
セゾン情報システムズ 「HULFT」でプラットフォームを越えたデータ共有を実現
2014/05/30 19:55
マルチプラットフォームでデータを連携する「HULFT」
セゾン情報システムズHULFT事業部 商品開発部 開発二課
北澤正樹課長
マルチプラットフォーム環境で動作するデータ連携ミドルウェア「HULFT」。「クラウドコンピューティングEXPO」では、オレンジ色を基調にした大きなブースを設けた。まずは、HULFT事業部商品開発部開発二課の北澤正樹課長にお話をうかがった。
「『HULFT』はファイル転送を行うソフトウェアで、メインフレームやオフコン、Linux、UNIXなど、さまざまな環境で動作するのが特徴。プラットフォームによって異なる文字コードの差異を吸収することで、データ交換を可能にしている」(北澤課長)。
「HULFT」は20年以上の歴史をもつファイル転送ミドルウェア。企業が導入するファイル転送ソリューションとしては、国内で圧倒的なシェアをもち、大手金融・保険、製造業、運輸業を中心に海外販売も含め、累計7,700社が利用している。日本の本社と海外拠点、取引先といったロケーションもシステムも異なる拠点同士で各種業務処理と連携したファイル転送を自動化でき、スクラッチ開発と比較した場合の開発や動作検証のコスト削減効果や、自動化による工数削減等のメリットがある。さらに、独自のプロトコルによってセキュアに通信できるという安心感も、トップシェアの理由の一つ。オプションで、AES 256ビット暗号による暗号化機能も用意している。
2014年末には、新バージョン「HULFT 8」がリリースされる予定だ。通信プロトコルの改良とデータ圧縮機能によって、現行の「HULFT 7」から約70%高速化を実現(両製品とも各種設定は初期値で計測)。データを圧縮して送信し、受信側で展開することで実質の通信量を抑えている。加えて、新たに「HULFT Script」を搭載する。
北澤課長は、「『HULFT』をご利用いただいているお客様は、ファイル転送処理の前後で、常に何らかの処理を行っている。現在は、それらをシェルスクリプトやバッチファイルを独自につくって連携していただいているが、『我々に期待を寄せられるのは、ファイル転送に関わる部分がやはり多い。その連携としてよくありがちなバックアップやメール通知など、ファイル転送前後のシンプルなシステム処理は、コードを書かなくても簡単に作れるツールを提供しよう』ということで開発したのが、『HULFT Script』だ。構築したHULFT環境には影響を与えず、豊富なテンプレートを使って手軽な処理なら5分で制作できるようになります。」と、その開発の経緯を説明してくれた。
ASEANで絶好調! グローバルで展開する「HULFT」
セゾン情報システムズHULFT事業部
事業推進部 事業推進課
橋本隆司氏
日立システムズ
日立・企業情報サービス事業部
プラットフォームソリューション本部
パッケージソリューション部第1グループ
塚田佳予氏
「HULFT 7」には、日本語版に加えて、英語版の「HULFT 7e」、そして「海度(ハイドゥ)」という別ブランドで提供している中国版HULFT「海度」がある。英語版は日立システムズとパートナーを組み、グローバルで展開している。
HULFT事業部 事業推進部 事業推進課の橋本隆司氏は、「現在、世界25か国で正式販売・サポートを提供しています。お客様自身で運用いただいているところを含めると、40か国でご利用いただいています。海外と日本の拠点間でデータを連携する場合、地域によっては電力事情が不安定だったり、回線速度が遅かったりして、ネットワークが不安定なことがありますが、『HULFT』なら確実にファイルを転送できます」と、強みを説明する。
実際に「HULFT」を導入し、日本の本社と海外の支社や取引先とデータを共有するなど、グローバルビジネスにおける活用事例は多い。アメリカをはじめヨーロッパ、中国などで導入が進み、近年は特に東南アジアでの売り上げが伸びているという。
HULFTはメールによる日本語/英語での24時間サポートを提供しており、時差のある海外でも迅速に対応できるサポート体制を敷いている。日立システムズの日立・企業情報サービス事業部プラットフォームソリューション本部パッケージソリューション部第1グループの塚田佳予氏は、「日立システムズは海外にも販売代理店があるので、お客様は現地で『HULFT』を購入でき、サポートも現地の言語で受けることができる」と説明する。
「HULFT」は、シリーズ製品として他にもファイル転送に関連するツールを用意しているが、これらの英語化も進めているところだ。3月には「HULFTDataMagic」というデータ変換・コード変換ツールの英語版をリリースした。今後も順次英語化していくという。ちなみに、2014年末に発売予定の「HULFT8」は、最初からグローバルに対応したマルチランゲージ版だ。
次世代ファイアウォール「PAシリーズ」が「HULFT」をサポート
パロアルトネットワークスシニアシステムエンジニア
荒木裕二氏
セゾン情報システムズのブースでは、「HULFT」のビジネスパートナーの展示を見ることができた。その一つ、パロアルトネットワークスのコーナーでは、同社の次世代ファイアウォール製品「PAシリーズ」が、「HULFT」に対応したことを紹介。「PAシリーズ」は、従来のポート番号による監視ではなく、アプリケーションを識別できるのが特徴で、さまざまなソフトウェアや、匿名掲示板、SNSなどのウェブサイトを含めて約1,900種類を判別し、通信を制御する。「HULFT」をサポートしたことで、これまで出所が不明だった通信も「HULFT」の通信であることを識別できるようになり、HULFT使用状況の可視化と制御が可能となった。
アメリカ発祥の製品だが、日本でも多くの販売実績をもつ。2013年2月には、調査会社ガートナーのレポートで、エンタープライズ・ネットワーク・ファイアウォール部門のマジッククアドラントにおいて、パロアルトネットワークが「リーダー」であると発表されている。
パロアルトネットワークスの荒木裕二シニアシステムエンジニアは、「現在も、製品サポートが終了したWindows 2000やXPを使っている企業は多い。『PAシリーズ』を導入すれば、『HULFT』の通信だけを通過させることができる。つまり、ゲートウェイでプラットフォームへの攻撃をブロックできる」と、「HULFT」対応の成果を語ってくれた。
小規模拠点でのデータ連携を実現する「HULFT CONNECTION SERVICE」
イーセクタープロダクトソリューション部技術グループ
岡周史氏(右)
イーセクター
プロダクトソリューション部営業グループ
副主査
岸田光司氏
イーセクター
プロダクトソリューション部技術グループ
浜義晃氏(左)
「HULFT」は、小規模の拠点では、コストやメンテナンスの点を考えると、導入に踏み切るにはハードルが高いこともある。とはいえ、小規模拠点であってもデータ連携のニーズはある。そこで「HULFT」パートナーのイーセクターは、今年1月、HULFTシリーズ製品のひとつ「HULFTクラウド」を自社でサービス化したSaaS型のデータ転送サービス「HULFT CONNECTION SERVICE」を提供開始した。
「HULFTクラウド」は、「HULFT」を運用する企業側でクラウド環境を構築し、ブラウザ(Internet Explorer等)を介してファイル転送を行うサービスだ。当然、オンプレミスのサービスになるが、このクラウド環境部分をサービスとしてイーセクターが提供するのが「HULFT CONNECTION SERVICE」だ。
イーセクタープロダクトソリューション部技術グループの岡周史氏は、「ユーザーはブラウザからインターネット経由でアクセスする。その際、通信はAES 256ビットの暗号で保護されているので、安全にデータを連携できる。さらに、送信元と送信先でデータの欠損がないかを確認するので、確実にやりとりできる」と、そのメリットを説明する。
ユーザー企業が「HULFTクラウド」を構築するのに比べ、発注してから最短5営業日でサービスが利用できるスピード感も魅力。1ユーザーごとの月額で済むので、小規模拠点ではコストメリットも大きい。もちろん、小規模拠点が基幹システムとシームレスに連携することで、業務効率の向上が期待できる。
★ ★ ★
今回、お話をうかがったように、セゾン情報システムズの「HULFT」は強力なパートナーと連携し、利便性を高め、さらなる進化を続けている。2014年末に発売予定の「HULFT 8」では、さらに魅力的な世界をみせてくれることだろう。
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