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<特集 IT投資の伸びが顕著な文教市場>日本事務器 文教市場への拡販を積極的に推進 トータルソリューションと全国のサポート網を強みに中学・高校に進出

2014/05/22 19:55

週刊BCN 2014年05月19日vol.1530掲載

 日本事務器は、「基幹業務」「アクティブ・ラーニング」「学術研究」「クラウド・プラットフォーム」の四つの柱を軸とする文教ソリューションの展開を強化している。クラウド版の図書館情報システム「ネオシリウス・クラウド」や学園向けトータルパッケージ「キャンパスプラン .NET Framework」の提供を拡大するほか、産学連携の取り組み、さらに中学校や高校にも進出し、文教市場での拡販を強化する。

四つの柱を軸に文教ソリューションを提供

 今年、創業90周年を迎えた日本事務器は、教育機関向けICTソリューションの分野でも30年以上の実績をもっている。教育機関向けソリューションの柱は、「基幹業務」「アクティブ・ラーニング」「学術研究」「クラウド・プラットフォーム」の四つだ(図参照)。


 なかでも、「近年ニーズが高まっているのが『アクティブ・ラーニング』の領域です」と、事業推進本部ヘルスケア・文教ソリューション事業推進部文教ソリューショングループマネージャの渡辺哲成氏は語る。「少子化が進むなか、いかに手厚いICTサービスを提供して能動的な学修や意欲的な研究をサポートするかが、大学の課題となっています。学生サービスは多岐にわたっていますが、とくに学校のICT市場で圧倒的に伸びを示しているのがLMS(学習管理システム)です。当社は、いくつかのLMSサービス企業と協業して、一昨年より本格的にこの分野へ参入しています」。

 日本事務器はもともと、大学で利用される情報システムや会計システムなどを受託開発してきたベンダーだ。ここ数年はダウンサイジングの波を受け、受託開発からパッケージ製品の提供・販売にシフトしている。大学システムの受託開発の経験とノウハウから、最適なICTソリューションの提供を行っていると、文教ソリューショングループリーダーの高橋修氏はいう。「基幹業務の分野では、長らく行ってきた自社パッケージの提供から、当社パートナー企業のシステムディが提供する学園向けトータルパッケージ『キャンパスプラン .NET Framework』の提供へと大きく舵を切っています。ここに、全国にサポート拠点をもつ当社の強みをプラスすることで、より安心して学校・学園運営にご利用いただけるようになりました」と説明する。

左から事業推進本部ヘルスケア・文教ソリューション事業推進部文教ソリューショングループマネージャの渡辺哲成氏、同 リーダーの高橋修氏、同 武藤あい子氏

学術研究の支援に産学連携の取り組みを実施

 「学術研究」分野の主力製品は、図書館情報システム「ネオシリウス」だ。日本事務器では、競合他社に先駆けてクラウド版の図書館情報システム「ネオシリウス・クラウド」を2012年にリリースし、着実に導入校を増やしている。

 「当社は、クラウド事業にも注力しており、クラウド版の図書館情報システムを販売したところ、予想の2倍近い売り上げを記録しました。とくにコストパフォーマンスとBCP(事業継続計画)の観点から『ネオシリウス・クラウド』のメリットを感じていただいているようです。今後、さらにプランやオプション機能を拡充させていきます」と、渡辺氏は強調する。

 また、「当社の学術研究支援は、パッケージの開発・販売にとどまりません」と、文教ソリューショングループの武藤あい子氏は続ける。2013年度(2014年3月期)に十文字学園女子大学と産学連携の取り組みを行った。図書館司書課程の一つである「図書館基礎特論」の授業で、当社文教サポートセンターの女性SEより司書資格を生かしたキャリア形成について発表、また「図書館情報技術論」の授業では、図書館システム開発者の立場として渡辺氏が講義を行ったという。

 武藤氏は「図書館司書のキャリア形成や図書館システム開発の昔と最前線についての講義を行いました。また『ネオシリウス・クラウド』を実際に使ってもらうという授業も実施しています。今年度は、学生のインターンシップを実施して、エンドユーザーに近い視点から、図書館システムや教務システムの企画開発に参加していただく計画です」としている。

新たに私立の中学校や高校へソリューションの提供を拡大

 30年以上にわたって教育機関向けICTソリューションを提供し、これまで大学への導入実績が多かった日本事務器だが、今年からは中学校や高等学校にも展開していく。

 中学・高校のICT市場の規模は大学市場にも匹敵し、大学で培った技術や製品は中学・高校向けに応用しやすい点が強みになると、渡辺氏はこの分野への進出に強い自信をみせる。「当社は文教ソリューションのサポートに特化したSEチームの拠点を東京と大阪に設けています。さらにハードウェアのトラブルやサポートには、全国の拠点に配したサービスエンジニアがオンサイトで対応します。こうした二層構造により、信頼性の高い学校運営サービスを提供していきます」とアピールする。

 日本事務器は今後、文教市場に強い販社と協業したソリューションの提供も行っていく予定だ。教育機関のICT化が進むなか、全国拠点網をもち、トータルな文教ソリューションを提供する日本事務器はさらに存在感を増しそうだ。

「第5回 教育ITソリューションEXPO」に出展

 日本事務器は5月21日から23日まで東京ビッグサイトで開催される「第5回 教育ITソリューションEXPO」の学校業務支援ゾーンに出展する。ブースでは、「キャンパスプラン .NET Framework」や図書館情報システム「ネオシリウス」「ネオシリウス・クラウド」を紹介するとともに、150校を超える同社のユーザーのなかからおよそ20校の導入事例を紹介する予定だ。
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外部リンク

日本事務器=http://www.njc.co.jp/