Special Issue

<業務ソフトメーカー座談会>“特需のあと”をどう生き抜くか クラウドへの流れが本格化

2014/04/24 19:56

週刊BCN 2014年04月21日vol.1527掲載

営業最前線編
主要メーカー各社のパートナー戦略
営業部門のトップが協業のメリットを語る

 業務ソフト分野は、間接販売の比率が非常に高く、ソフトメーカーにとっては、どのように販売代理店とのパートナーシップを深めて付加価値の高い商流をつくりあげるかが業績を大きく左右する。そこで、各社の営業部門トップにパートナー戦略について語ってもらった。

応研
岸川剛 取締役

 応研のパートナーは、販売パートナー、開発パートナー、連携パートナーの三つのカテゴリに分かれている。販売パートナーのビジネス拡大につながる製品提供や営業支援に関しては今まで粛々とやってきたが、開発パートナーにはERPの「大臣エンタープライズ」という新たな武器が加わった。これに伴い、SMBだけでなくミッドレンジのお客様向けの販売チャネルが着実に増えてきている。ここ数年、情報系と基幹系を連携させてソリューションを開発するパートナーが増えてきたが、これがSMB向けとミッドレンジ向けの両方で広がっている。

 2014年は、ミッドレンジ向けビジネスを手がけるパートナーをさらに積極的に開拓する。ミッドレンジのお客様は、消費税8%のタイミングではあまり基幹システムの改修の動きがなく、10%改正時に大きく動くと考えられる。そこにフォーカスできるパートナーを求めているが、すでにいいアライアンスの話もあり、引き合いも増えている。


OSK
田中努 代表取締役専務

 消費税改正への対応については、特需だが保守の範囲内なので単なる拡販材料としては考えていなかった。製品の品質を重視し、パートナーがお客様に提供しやすい製品の開発や機能強化を継続してやっていくという基本は変わらない。最終的には、エンドユーザーの利用満足を高めることがパートナーのビジネス拡大につながると考えている。

 2014年は、パートナーの販売力やサポート力の強化をメーカーとして積極的に支援していく方針だ。そのための販促インフラの充実や販売の教育、支援領域の拡充などに取り組む。

 もともとOSKは、100%間接販売で、100%保守契約を取るというスキームでビジネスを展開してきている。そのプロセスのなかでパートナーが感じている課題の解決に協力するということがポイントになる。

 エンドユーザーのビジネススタイルも多様化してきている。製品ラインアップの充実を含め、お客様のニーズに合わせてパートナーが売り方を柔軟に考えられるような環境づくりに取り組んでいきたい。


OBC
大原泉 取締役

 消費税改正やWindows XPのマイグレーションなど、今回の特需では非常に古くからOBC製品を使っていただいているお客様を改めてリストアップし、パートナーと協力して丁寧に対応した。結局は、それぞれのパートナーが抱えているユーザー数の多さが、当社のビジネスの強固な基盤になっていることを再認識できた。

 パートナーからは、4月以降の反動に対する不安の声も上がっているが、4月以降、安心して新規ユーザー獲得に動いてもらうために、既存ユーザーのサポートはOBCが責任をもってやり抜く。まずは、5月の連休明けまで、しっかりサポートサービスを展開していく。

 今後、消費税10%、社会保障・税番号制度まで基幹システムの需要は高い水準で推移する。こうした外部環境の変化をきっかけに、保守の重要性に対するお客様の認知も高まるだろう。パートナーと協力し、手堅くお客様との関係をつくっていく。クラウド商材については、市場動向を睨みながらタイムリーな展開を社内で準備している。


PCA
折登泰樹 専務取締役

 2013年度の第2四半期から始めた消費税改正対応の早割キャンペーンでは、販売パートナーとお客様情報を共有して徹底的に需要を掘り起こした。結果、2000年以前のPCA製品を使い続けていたユーザーの10%以上をアクティブなユーザーとして再び獲得することができた。

 消費税改正だけでなくWindows XPのマイグレーションとの相乗効果で特需が生まれたわけだが、当社は現在、Windows XPからのマイグレーション率や消費税改正対応のためのバージョンアップ率を割り出そうとしている。なかなか掴みづらい数字ではあるが、そういう情報をきちんと揃えて答えられるパートナーとは、戦略的なアライアンスが組めるので、しっかりとした関係を今後も構築していきたい。

 「PCAクラウド」については、正直なところまだ多くのパートナーが積極的に取り扱おうとはしていない。プリペイドプランなどの認知を高め、継続して訴求していく。PCAの考え方に賛同してくれるパートナーと連携を密にしてユーザー拡大に取り組んでいきたい。


弥生
岡本浩一郎 代表取締役社長

 弥生の販売チャネルは、家電量販店、会計事務所、販売会社の三つがメインだが、どのチャネルでも誠意をもってWin・Winの関係をつくるのが基本だ。

 そのなかで、会計事務所のパートナーである弥生PAP会員との連携が、今後、とくに戦略的に重要になると考えている。消費税改正に伴う特需で一番爆発的に伸びているチャネルでもある。こちらからの働きかけもあり、弥生PAP会員経由での販売は新規もバージョンアップも非常に多くのご注文をいただいている。

 中小企業にとって会計事務所は経営のアドバイザーであり、さらに弥生PAP会員のネットワークを拡大し、お客様の経営を支援していきたい。

 今後は、よりコンシューマに近い層をどう取り込んでいくかが課題だと思っている。潜在的なユーザーのボリュームが大きいので市場として魅力はある。まずは、クラウドサービスなどを武器に、当社が直接アプローチしていくことになるだろう。

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外部リンク

OSK=http://www.kk-osk.co.jp/

応研=http://www.ohken.co.jp/

オービックビジネスコンサルタント=http://www.obc.co.jp/

ピー・シー・エー=http://www.pca.co.jp/

弥生=http://www.yayoi-kk.co.jp/