Special Issue
<業務ソフトメーカー座談会>“特需のあと”をどう生き抜くか クラウドへの流れが本格化
2014/04/24 19:56
週刊BCN 2014年04月21日vol.1527掲載
さらに「PCAクラウド」が他社のクラウド系業務システムと違うのは、カスタマイズできるところです。オンプレミスとのハイブリッドでの運用も可能ですし、セールスフォースやAWSなど、ほかのプラットフォーム上のウェブサービスとの連携も準備中です。あくまでも、当社は基幹システム部分の強みにこだわり、ほかのシステムとスムーズに補完し合えるような方向でクラウドの技術開発に傾注していきます。
和田(OBC) 仮想化技術が世界を変え、クラウドの流れが来ています。さまざまなテクノロジーがそこに集約されるでしょう。クラウドを取り入れることで、アプリケーションがどう変化していくのかという研究は、かなり力を入れてやってきました。大きな変革の時代で先は見えませんが、クラウド事業は着実に進めていきたいと考えています。
岡本(弥生) freeeやマネーフォワードといったクラウド会計ソフトのベンダーは、ユーザー層という観点でみても当社を意識してくれていると思いますが、そうした新しいベンダーが出てくることは市場の活性化にとっていいことです。これまでは、消費税改正への対応もあり、クラウドサービスの開発・展開をフルスピードでできなかった部分がありました。しかし、これからはそこにリソースを集中できます。サーバー側はWindows Azure(現Microsoft Azure)を使い、端末側の開発はHTML5で行っていますが、これが想像以上にうまくいっています。
当社のクラウドサービスは、オープンイノベーションが基本です。freeeなどで話題になっている金融機関のオンライン明細の取り込みなどは、実はかなり以前から当社もやっています。これをさらに推し進めて、スマートデバイスとの連携も含め、サードパーティのアプリケーションプロバイダとつながる世界をつくりたい。そのための汎用的なプラットフォームを現在構築しています。
岡本浩一郎 氏
保守サポート加入者を増やすことができれば、“谷”はそれほど深くならないでしょう。そのために重要な存在の一つが会計事務所です。
──最後に、2014年の目標をお聞かせください。
水谷(PCA) 特定の業種などを重点的に攻めるということはないのですが、地域的に弱い東北エリア、北海道エリアでの巻き返しを図りたいと考えています。テレビコマーシャルによる認知度向上や、営業部隊の拡充も図ります。
クラウドについても、先ほどから申し上げているように、トップランナーとしてさらに成長を目指します。中長期的な視点でお客様に新たな価値や利益をもたらす事業のバックボーンとして訴求し、早期に1万ユーザー獲得を果たしたいですね。
和田(OBC) 私たちは今、消費税改正や番号制度など、大きな制度改正が続く変化の時代の真っただ中にいます。さらに、クラウドという新しいテクノロジーが一般化しつつある。ITベンダーにも、積極的なチャレンジが必要な時期だと思います。
まずは、消費税改正対応をしっかりクリアして、次のステージとしてクラウドの第一弾を打ち出します。OBCの大胆な変化をみていただけると思いますし、新しい時代に向けて業務ソフトの大きな変革をリードしていきたいと考えています。
上野(応研) 「大臣エンタープライズ」の拡販にあたっては、開発パートナーとも連携し、業種別に提案できるソリューションのラインアップも揃えていきたいと考えています。将来的には、その先にクラウドの活用という考え方も出てくるでしょう。
「大臣エンタープライズ」は、カスタマイズの工数を既存製品に比べて大幅に削減できる、パートナーにとって利益を上げやすい製品です。確実に存在するニーズをすくいあげることができると自負しています。パートナーの皆さんとともに、大きく事業を育てていきたいですね。
宇佐美(OSK) 「SMILE」については、1年に最低1回はバージョンアップをするというのが基本的な開発方針ですので、2014年もこれは実行します。また、今年以降、CRM、SFA、BIなどのニーズが大きくなると予想しています。ほとんどOSKがこれまで注力してきた分野ですので、こうした周辺系と合わせて、基幹系のさらなる販売ボリュームアップも狙います。2014年は、Windows XP、消費税改正特需に頼ることができないビジネス環境になるので、ソフトウェアメーカーの本当の実力が問われることになります。OSKにとっては非常にいい環境だと思っています。
岡本(弥生) 直近では、OBCの和田社長がおっしゃったように、5月の連休明けあたりまでの消費税改正、Windows XPマイグレーションに伴う需要のサポートをしっかりやるということに尽きます。
戦略的な施策という部分では、「やよいの白色申告 オンライン」の訴求に力を入れます。2014年1月から、所得金額が300万円以下の白色申告者も記帳が必要になり、これによって新たに約150万人に記帳・帳簿などの保存が義務づけられることになりましたので、潜在的なユーザーは非常に多い。この製品は今年いっぱいは無料で使えますし、リリース予定の「やよいの青色申告 オンライン(仮称)」にステップアップするユーザーも相当出てくると考えています。「やよいの白色申告 オンライン」のユーザー数を増やすことは、将来的なマネタイズを考えたときに大きな意味があります。
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オービックビジネスコンサルタント=http://www.obc.co.jp/