Special Issue
クララオンライン アジアビジネス支援サービスを拡充へ 東アジア・ASEAN地域の商圏を徹底分析
2014/04/03 19:55
週刊BCN 2014年03月31日vol.1524掲載
“商圏”単位で市場を捉える
長岡利幸 ゼネラルマネージャー
グローバルソリューション事業部
ビジネス推進グループ長
アジアビジネスに着手した当初は、ほかのITサービスベンダー同様にユーザーのITインフラまわりのサービスを中心に提供してきたクララオンラインだが、あるとき「ユーザーにとって、まず必要なのは、進出先市場の網羅的で的確な情報であり、ITサービスはその次の段階だと気づいた」と、長岡利幸・ゼネラルマネージャーグローバルソリューション事業部ビジネス推進グループ長は述懐する。以来、中国大手のIT系調査会社である易観国際との業務提携を足がかりに、独自の調査に基づくアジアITビジネス調査レポートも数多く発表している。
直近では、「アマゾンAWSがついに中国リージョンを開設」「台湾EC(B2C)市場の概要」「韓国ゲームの輸出入の現況及びゲームパブリッシングの実情」「ASEANの通信市場概況」など、自社の拠点がある商圏を中心に、詳細でタイムリーな調査レポートが並んでいる。
ここで浮き彫りになったのが“商圏”単位で市場を捉えるアプローチだ。アジア市場は大きく分けて、中国、台湾、シンガポール、マレーシアとインドネシアの一部という広義の華人圏、タイやミャンマーなどの仏教圏、マレーシアとインドネシアのイスラム圏に大別される。なかでも華人圏は規模が大きく、中国本土だけでも北京や上海で規制や趣味嗜好が異なっている。「都市商圏単位でビジネスを組み立てないと成功は難しい」と、長岡ゼネラルマネージャーは捉えている。実際にビジネスを立ち上げる段階では、クララオンライン自身で提供するクラウドやホスティングサービスはもちろん、同社が窓口となって地場の通信キャリアやコンテンツデリバリネットワーク(CDN)事業者、パブリッシャーなどへ橋渡しするなど総合的なサービスを組み上げている。
台湾活用型ビジネスを有力視
また、アジア市場でビジネスを立ち上げるにあたっての“難易度”を測定し、ユーザーの経験値と照らし合わせて、「難易度の低いところからステップアップ方式で海外ビジネスを立ち上げるサービスメニューを取り揃えている」(長岡ゼネラルマネージャー)という。台湾を起点に中国市場へアプローチするルートや、シンガポールを起点としてマレーシアやインドネシアへ段階的に進出する方式だ。とくに、「台湾活用型中国ビジネス」は人気が高く、「引き合いや問い合わせが倍増している」と、長岡ゼネラルマネージャーは手応えを感じている。台湾と中国は政治的、経済的に良好な関係が続いており、日本との関係もよい。台中両岸を結ぶ海底ケーブルも段階的に拡充しており、最大帯域容量が毎秒9.6テラバイトの海底ケーブルが2012年に開通してからは、エンドユーザーが体感できるほど台中間のインターネット通信速度が向上した。クララオンラインの調べによれば、日中と台中のインターネット通信速度の実測値は実に2~3倍ほど異なり、台湾から中国に接続するほうが速い。こうしたことから、ネットを活用するサービスを始める場合、まずは台湾でテストマーケティングを行い、その後、台湾を起点に中国のターゲットとする都市圏へ展開する「台湾活用型中国ビジネス」が有力視されている。
まずは台湾に進出して、「広義の華人圏でのビジネスの“お作法”をしっかり学び、そこから中国への展開を支援するメニューを拡充している」(長岡ゼネラルマネージャー)という。ITサービスだけに偏るのではなく、市場特性を綿密に調べ上げて、商圏単位でビジネス的な側面における支援策を充実させているのがクララオンラインの最大の強みである。
一方、韓国の現地法人では日系ユーザー支援だけでなく、「韓国の先進的なIT企業を日本に誘致する」という狙いも兼ねていることを、長岡ゼネラルマネージャーは強調する。韓国IT産業では、サムスンやLINEなどの先進的なグローバルIT企業が次々と誕生しており、日本市場への進出意欲も高い。クララオンラインは、東アジアやASEANでの海外ビジネス支援を積極的に展開することで、2013年度(2013年12月期)の海外関連売上高は前年同期比3割増を果たした。2014年度も、同様の高いビジネスの伸びを目指している。
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