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日立システムズ 中国でリース会社向け基幹システム引き合い好調 2015年度末シェア10%獲得に手応え
2014/04/03 19:55
週刊BCN 2014年03月31日vol.1524掲載
中国の旺盛な資金需要に対応
金融情報サービス事業部
事業開発部
金子清志 担当部長
目覚ましい経済発展を遂げる中国の企業は、事業拡大に向けた資金を必要とするものの、「あまりに急速に発展したために、金融サービスが十分に追いついていない」(金子担当部長)のが実際のところだ。銀行を中心とする金融機関は、大手や準大手企業向けの金融サービスを優先するあまり、中小企業が資金不足になるケースが少なくなく、しかも貸金業の規制から商工ローンなどの事業者金融が未発達の状態が続いている。ファイナンス・リースは、この資金需要を満たす役割を果たしている。
リースをはじめとするノンバンクは、段階的に規制が緩和されており、中国でファイナンス・リースを手がける会社も急速に増えている。2011年末頃の時点で、中国に286社あったリース会社は、直近では800社規模に増加。うち多くはファイナンス・リースを重視する会社で、事業拡大を狙う中国の民間企業の資金需要に呼応している。だが、新興のリース会社のシステム化は十分ではなく、またリース会社そのもののIT投資余力も限られていることから、今回開発した中国向けの「日立融資租賃管理系統」では、「安価に手軽に使えるリース管理システムであること」(金子担当部長)を重点に置いた。
地場SIerとの協業推進を重視
新興のリース会社は、業務フローがまだ固まっていなかったり、むしろ完成度の高い既存のパッケージソフトに業務を合わせることで業務フローを確立させるケースも珍しくない。日本などの成熟市場では既存の業務フローがすでに確立されているので、パッケージソフトとのフィット&ギャップ分析が必要になる。場合によっては、大規模な改修を行うなどハードルが高いが、中国の若いリース会社ならばパッケージソフトに合わせやすい。さらに「日立融資租賃管理系統」では月額費用方式を採用しており、ユーザーは月額料金さえ支払えば、サーバーなどハードウェアの購入や運用をしなくてもすぐに利用できるので、導入のハードルが低い。日立システムズの調べによれば、ライバルは数社存在するが、他社はシステム導入型/一括支払モデルで、初期投資が高額になる。「当社はデータセンター運用月額料金モデルのため初期投資を抑えることができ、システム管理も任せることができる」(同)と、自社にIT体制を持たない新興リース会社を意識した提供モデルとしている。システム開発にあたっては、日立建機の中国法人と協業し、日立建機グループ製品の中国におけるリース事業で培ったノウハウと、日立システムズが40年余りにわたって日本国内で積み上げてきたリース業向けシステム開発の知見を融合。中国の法令や規制に対応したパッケージに仕上げている。「日立融資租賃管理系統」は、2013年12月に販売を始めた直後から引き合いが急増し、「毎週2~3件は資料取り寄せなど新規のお声がけをいただいている」(同)と、受注獲得に向けて自信をのぞかせる。中国のリース会社は都市部に集中する傾向が顕著で、リース会社の本社所在地は北京と上海、天津で全体の約6割を占める。日立システムズでは、日立グループの中国法人を通じて中国の大都市を中心に営業体制を強化。地場のノンバンク領域に強いSIerをはじめとする販売パートナーとの連携を加速させる。こうした取り組みによって、向こう2年程度の販売目標数約80社のうち半分以上は、地場の有力ビジネスパートナー経由で販売していく方針を示す。
今回はファイナンス・リースに特化したシステムのパッケージ化だが、将来的にはリース会社向けの債権管理や営業支援システムなど中国およびASEANにおけるノンバンク分野のパッケージ型製品の強化を進めることで、金融分野における事業拡大に努める。
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