Special Issue
富士通 サーバー選定の「新基準」。選ばれるサーバーの三つの視点とは? 第一回「統」――多様なシステムや設備を統合的に一元管理
2014/02/27 19:55
週刊BCN 2014年02月24日vol.1519掲載
運用改革を実現する三つの取り組み
データセンター
プロダクト事業部
データセンター
プロダクト開発部
部長 津留 清 氏
一つ目の取り組みは「統」。サーバーの運用管理を「個別最適」から「全体最適」へ転換するための取り組みである。仮想/物理環境を問わず、サーバーを一元管理するだけではなく、サーバー、ストレージ、ネットワークなどのICT機器に加え、PDU(電源タップ)やUPS(無停電電源装置)、空調機器などのファシリティ機器まで“統合”の範囲を広げて運用しようというところに大きな特長がある。「インフラ全体を一元管理し、運用負荷を低減することによってコスト削減に貢献していきます」と、IAサーバ事業本部データセンタープロダクト事業部データセンタープロダクト開発部部長の津留清氏は言う。
また、津留氏は「サーバー管理者の管理対象はICT機器全般へ広がっています。仮想化統合によってインフラが複雑化した今、負荷なく運用するにはシンプルな管理が必要です。問題発生時にトラブル内容と機器とを正確に結びつけて解決へたどりつくには、視覚化が有効となります。PRIMERGYのサーバー運用管理製品『FUJITSU Software ServerView Suite(ServerView)』は統合管理ツール群であり、そのなかの『FUJITSU Software ServerView Infrastructure Manager(ISM)』は、多種多様な機器の管理画面をServerViewのポータル画面に呼び出して利用できる製品になっています」という。従来、各種の機器は個別のツールで管理、設定を行うのが一般的であったが、ISMを通して多様な機器を一つの統合された画面上で管理できる。
ISMによる運用管理は、ラック単位で行うようになっている。その管理画面は「ラックビュー」と呼ばれ、一つの画面にラック内の機器全体を画像で表示する。画像をクリックするだけで管理画面を呼び出せるのだ。インターフェースのデザインも、統一ルールにもとづいており、使い勝手が極めてよい。「データセンターで使用するサーバーやネットワーク、ファシリティを一元的に管理するツールは、業界のなかでも先進的です。今後、運用現場からは、このような統合型の運用支援機能を求める声がさらに増えてくると考えています」(津留氏)。
ブレード増設の作業負荷を大幅削減
データセンター
プロダクト事業部
サーバソフト技術部
部長 美間 俊哉 氏
現場の作業者は、システムのライフサイクルのなかで日々、さまざまな作業に追われている。システムの構築(新規・変更・拡張・更新)、機器故障時の復旧(部品の入れ替えやパラメータなどの再設定)、BIOSやファームウェアの更新など機器の品質維持、ICT機器や空調/電力設備の点検やトラブルに伴う一時的な運用の変更などだ。高度な経験や知識、状況に応じた判断が必要な作業もあれば、ルーチン化しているが膨大な手番を要する作業もある。このような作業をできるだけ自動化していくことが運用負荷の軽減と品質の向上につながる。例えば、サーバー管理者に大きな負担がかかる業務として、サーバーの増設作業が挙げられる。サーバーとネットワークの物理的な接続関係を調べ、ファームやBIOSを設定し、OSをインストールし、仮想化ソフトウェアのリソースプールに登録する。これら複数のツールを切り替えながら行っていた一連の作業が、ISMならば事前に設定ファイルを定義しておくことで、BIOS設定以降の作業はボタン一つで実行できる。例えば、「VMware vSphere ESXi」サーバーの増設作業で、従来に比べ操作数が最大74%と大幅に削減される。さらに、美間氏によれば「手作業自体を減らすことで、操作ミスの確率が下がり、作業品質も向上します」と利点を述べる。
サーバービジネスを展開するSIerや販社にとっても、手離れのよさや保守業務の軽減などのメリットをもたらす。保守業務では、装置の製造番号の管理も容易に行えるようになり、資産管理のために行う期末の棚卸作業の軽減にも役立つ。また、最大5年分のイベントや、消費電力などの情報を保存できるので、数年単位でトレンドの変化を分析すれば、運用や費用の改善ポイントを見つけることができるかもしれない。従来は難しかった経営施策やICT投資などに対する効果測定が容易になるだろう。
「ログの長期保存は、地味ながらも重要な機能です。ログは、データセンター事業者にとって、その先にいるエンドユーザーへのエビデンスにもなり、また、トラブルが起きたときの原因究明の重要な手掛かりにもなります。信頼性の高いサービスを提供するには不可欠です」(津留氏)。
遠隔制御で運用効率をさらに改善
機器を集約する一方で、事業の継続性の観点からはセカンドサイトやバックアップサイトの併設などが必要になってくる。この場合、地理的に離れた場所にサイトを構えることが一般的だ。「運用全般に精通した管理者は多くありません。限られた運用管理者で複数のセンターを効率よく運用していくには、故障した機器の交換など現場でしかできない作業と、判断や分析など高度なスキルが必要な作業を分けて、後者を中央のセンターから集中的に行うことのできる仕掛けが必要です」(津留氏)。ISMによって遠隔制御が容易になるので、遠隔地にバックアップサイトを設置している場合でも、迅速かつ的確なトラブル対応が可能となる。「遠隔からのBIOSやファームウェアの更新作業も可能で、現地作業の負荷を減らすことができます」(美間氏)。その他にも、ISMはシステム全体の消費電力が指定値を超えないように、稼働優先順位が低いサーバーから順に性能を自動的に抑制したりすることも可能である。また、富士通ではコンテナ型のモジュラーデータセンターを提供しており、ISMを使って空調や電力設備などのファシリティの監視/制御を行っている。このような機能を上手に使えば、センター全体の消費電力のピークを下げて電気代を削減したり、設備の規模を縮小するなど、費用削減のための新たなアイデアが出てくる。
「ISMではICT機器とそれを搭載するラック周囲のファシリティの範囲を主にカバーします。現場ではすでに実績のあるビル管理システムなどが使われていると思いますので、これらのソフトとの連携機能を提供することで使い易さを向上させていきたいと考えています」(津留氏)。
ISMは、統合管理ツールであると同時に、ビジュアル化によってユーザーの課題を発見する“見える化ツール”でもある。美間氏は「販社様にとっても、統合化と可視化によって自社やエンドユーザー企業の課題を洗い出し、次の課題解決策を提案するツールとなります。つまり、運用管理ツールが次につながるビジネス機会を創出するのです」と、PRIMERGYとServerViewのメリットを強調する。
富士通が提案するPRIMERGYのシステム運用を改革する取り組みを紹介する連載の第1回は、「統」を詳説した。次回は、サーバー、ストレージ、ネットワーク、物理環境と仮想環境の接続を劇的にシンプル化する「柔」の取り組みを解説する。
URL http://jp.fujitsu.com/platform/server/primergy/
TEL 0120-933-200 (富士通コンタクトライン) 受付時間 9:00~17:30(土・日・祝・年末年始除く)
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