松本（日本HP）　何をすればパートナー様に喜んでいただけるか、積極的に知りたいと思います。これまでプリンタはほとんどが箱売りで違いが分かりにくかった。そこで、HPのバリュー（価値）を理解していただいたうえで販売してもらうことがWin・Winの関係を構築するために重要と考えています。こうした取り組みは、パソコンやサーバーで成功していますが、プリンタでいかに訴求できるかが今後の課題です。施策面では、「HP Officejet Pro Xシリーズ」でユーザーを囲い込むためのパートナー施策をすでに展開しており、このプログラムを通じて販売を強化します。

大澤（ブラザー販売）　お客様の生の声を聞く機会として、パートナー様から頂戴する情報はとても貴重です。その情報をもとに、ともにソリューションを構築し、パートナーの方が売りやすい環境を整えていきたいと考えています。施策面では、ルート別商材の充実に取り組み、「ジャスティオ プロ」というパートナー様に向けた製品の販売を展開していきます。

細谷（リコージャパン）　パートナー様の先にいるお客様に向けて、パートナー様とともに、価値あるソリューションを実現できるシステムをつくっていけるかに尽きると思います。例えば、お客様先で使われる用紙の検証やシステムとのマッチングを地道にやっていくこと。また、「ルールドプリント」で使い勝手を良くするツールももっていますので、これらを組み合わせることによってパートナー様とつくり上げたシステムが最大効果を生み出せるようにする。そんな関係を築くことが最上の売り方だと思います。

●収益向上にはサプライを含めた
トータル販売が不可欠

──収益性の向上はパートナーにとっても大きな課題ですが、その実現のための施策をお考えですか。

鈴村（エプソン販売）　具体的なことはこの場ではいえませんが（笑）、例えばビジネスインクジェットを拡販するには、パートナー様から売ってもらう機会を増やさないと成長はないと思います。それには今のやり方を変えていかなければならないと感じています。

沢田（キヤノンMJ）　本体の販売で完結せず、保守、サプライまで含めて販売する仕組みづくりを確立し、パートナー様に提供することだと考えています。

松本（日本HP）　やはり本体販売だけでは収益は上がりませんから、サプライ、保守までを含めて販売できるように考えることが、メーカーの役割だと思います。

大澤（ブラザー販売）　例えば、モバイルプリントなど、プリントする新たな機会をいかに増やしていけるかも重要と思います。

細谷（リコージャパン）　世の流れはペーパーレスです。これは仕方がないので、タブレットなど新しいデバイスと組み合わせたソリューションの提供で、収益を確保することが重要と思います。

──今、IT業界ではサービス主体など大きなイノベーションが起こっていますが、今後、プリンタ業界にも同様のイノベーションが起こると思いますか。

細谷（リコージャパン）　イノベーションが起こる可能性として、一つはモノとサービスをどうやって結びつけるかということです。もう一つは、基本性能を徹底して向上させることだと思います。

大澤（ブラザー販売）　環境が変化したとき、その変化にいち早く対応できるかどうかは重要です。昨年、「ブラザーオンライン」というクラウドサービスを立ち上げましたが、それを通じてクラウド上のデータを加工できるような仕組みを追加しており、今後も革新的なサービスの可能性を追求したいと思います。

松本（日本HP）　70ppmという世界最速を実現したビジネスインクジェットは、一つのイノベーションと自負しています。また、「インク定額パック」も新たなビジネスモデルだと思っています。このイノベーションを新たなマーケティング施策で打ち出し、今までにないお客様からの“引き”を作っていきたいと考えています。

沢田（キヤノンMJ）　プリンタ単体のスペック向上も大切ですが、それよりも他のデバイスとの組み合わせで、価値を提供することに業界としての活路があると思います。

鈴村（エプソン販売）　お客様がプリンタに最も求めているのは、突き詰めるとコストです。また、ペーパーレスといっても、やはり紙に勝るわかりやすくて読みやすい媒体はないので、コストは関係ないというならばタブレットよりも紙を選択したいというのが実際のところだと思います。そこにどんな解決策を見出せるかが、業界の課題だと思います。

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